最初の記憶は、眼前で息絶えた父の姿だった。あの人は最後まで、私に対する罵詈雑言や恨み辛みを語っていた。
生まれて五十年余り、私は『失敗作』としてそこにただ存在していたに過ぎない。
死物狂いで鎚を振るい、玉鋼をかき集め、火を燃やし、また失敗しては私を罵る。他の兄弟たちはその場で溶かされていたけれど、私だけは残された。父の暴言を受け止めるためだったのか、兄弟の中で一等美しいものであったからか、それとも、儚く美しい黒髪の、あの娘が刀身を褒め称えたからか。真相はわからない。
もし、私が日の目を見ることができていれば、父の名声は高まったのかもしれない。無銘では終わらなかったはずだ。だが、父にとって地位や名誉は何もかもが無意味であった。自分が作りたいと願った呪物を作ることができなければなんの意味もないのだと、毎晩語っていた。禍を退け福をもたらす刀を作らなければ、という強迫観念に取り憑かれていて、お前がきれいなだけの刀でなければよかったのにと泣き漏らす。そんな人間だった。
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