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    hanepiyoenstar

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    hanepiyoenstar

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    書きかけの紅千Aに入れるかBに入れるか悩んでる一幕。
    けめすとりのWing of Wordsが頭の中をずっとぐるぐると・・・

     もう、我慢がならなかった。
     作り笑いをする守沢の後頭部に手を回して、ぐいと胸元に引き寄せる。
    「き、鬼龍? どうしたんだ?」
    「泣け、守沢。こうすりゃ誰も見ねえ……俺も見えねえ」
     守沢がもぞもぞ動くのを、さらに強い力で押さえつける。「苦しい」とか文句を言うのも無視だ。
    「いいから泣け。――泣いていいんだ、てめえだって」
     ぴたりと、守沢が動きを止めた。
    「しかし……大丈夫なんだ。俺はつらくなんてない。俺が弱いだけなんだ」
    「だから!」
     言い募る守沢に、さらに苛立ちが増す。いや、守沢に対する苛立ちではないのだ、これは。守沢の周りに、守沢が進んで背負おうとする重荷に。そんなの、お前ひとりのせいじゃないって、どんなに言っても守沢は聞かないのだ。自分が強くあれば解決することなんだと、進んで苦しい方へ苦しい方へ向かっていってしまう。
     そんなの、守沢が壊れてしまう。
     浮かんだ考えにぞっとして、もう片方の手も守沢の背中に回して抱きしめる。
     こんな荒んだ学院生活の中でも、守沢はいつも明るく希望をうたう太陽のような男だと思っていた。弱気なくせに押しが強くて、何事にもまっすぐで。だけど、そうだ、守沢だって自分と同じ、まだ高校生の子どもなのだ。辛くないわけない、それに押しつぶされてしまったって、おかしくない。
     ――いやだ、失いたくない。
     その想いが、抱きしめる力を強くする。
     失いたくない。ここで初めてできた友達を、支え許してくれた親友を、……いつの間にか、心の奥を占めてしまった、大事な相手を。
     唐突に、鬼龍は守沢のことをどうしてこうも放っておけないのか理解した――理解して、しまった。
    「お前が辛そうで――俺が見てらんねえんだ」
     だから泣け、俺のせいにしていいから。
     しばらくの沈黙の後、鬼龍の胸に守沢の嗚咽が響いてきた。
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    hanepiyoenstar

    MEMO書きかけの紅千Aに入れるかBに入れるか悩んでる一幕。
    けめすとりのWing of Wordsが頭の中をずっとぐるぐると・・・
     もう、我慢がならなかった。
     作り笑いをする守沢の後頭部に手を回して、ぐいと胸元に引き寄せる。
    「き、鬼龍? どうしたんだ?」
    「泣け、守沢。こうすりゃ誰も見ねえ……俺も見えねえ」
     守沢がもぞもぞ動くのを、さらに強い力で押さえつける。「苦しい」とか文句を言うのも無視だ。
    「いいから泣け。――泣いていいんだ、てめえだって」
     ぴたりと、守沢が動きを止めた。
    「しかし……大丈夫なんだ。俺はつらくなんてない。俺が弱いだけなんだ」
    「だから!」
     言い募る守沢に、さらに苛立ちが増す。いや、守沢に対する苛立ちではないのだ、これは。守沢の周りに、守沢が進んで背負おうとする重荷に。そんなの、お前ひとりのせいじゃないって、どんなに言っても守沢は聞かないのだ。自分が強くあれば解決することなんだと、進んで苦しい方へ苦しい方へ向かっていってしまう。
     そんなの、守沢が壊れてしまう。
     浮かんだ考えにぞっとして、もう片方の手も守沢の背中に回して抱きしめる。
     こんな荒んだ学院生活の中でも、守沢はいつも明るく希望をうたう太陽のような男だと思っていた。弱気なくせに押しが強くて、何事にもまっすぐで。だけど、そう 774

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    前→https://poipiku.com/532896/9061911.html
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     重厚な木の門である。その左右には白い漆喰の壁がはるか先まで繋がって、どこまで続くのか見当もつかない。
     唖然としている少年の後ろから、五条はすたすたと歩いてその門へと向かっていく。
     ぎぎ、と軋んだ音を立てて開く、身の丈の倍はあるだろう木製の扉。黒い蝶番は一体いつからこの扉を支えているのか、しかし手入れはしっかりされているらしく、汚れた様子もなく誇らしげにその動きを支えていた。
    「ようこそ、五条の本家へ」
     先に一歩敷地に入り、振り向きながら微笑んで見せる男。この男こそが、この途方もない空間の主であった。
     東京から、新幹線で三時間足らず。京都で下車した夏油を迎えにきたのは、磨き上げられた黒のリムジンだった。その後部座席でにこにこと手を振る見知った顔に、僅かばかり緊張していた夏油は少しだけその緊張が解けるように感じていたのだけれど。
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