狼小鹿くんのお祝い「ほら、二人ともこれを持ってくれ」
「きゅう?」
「うん、じゃあこれをプロデューサーに渡すんだ。できるよな?」
「うー…」
「まあ、嬢ちゃんはいつも…うんアレだからお前が警戒すんのはわかる。けど、今日は嬢ちゃんの誕生日なんだ」
「きゅ!?」
「そうなんだ! プロデューサーにはいつも服もらったりお世話になってるだろ? …まあ、確かについでに『かわいいかわいいかわいい!』って大騒ぎしてきみたちを怖がらせてはいるが…」
「千秋、あんまフォローになってなくねえか」
「あう…面目ない…」
「きゅ!」
「…うー」
「小鹿くん、狼くん…!」
「よし、じゃあ頼むぜ」
プロデューサーの誕生日会。アイドルのものほど大げさではないが、それでも日頃の感謝を込めていつもの顔ぶれや、スタッフたちが集っている。
その中で、鬼龍と守沢は同居している子どもたちを連れてきていた。理由は一つ、プロデューサーが喜ぶから、である。プレゼントも当然用意していて、ただ渡すよりは子どもたちに渡してもらった方が喜ぶんじゃないかと思って。それで子どもたちにお願いしていたわけである。
人見知り、というか警戒心が強い子どもたちだけれど、なんだかんだでプロデューサーは騒ぎつつも彼らによくしてくれているから、子どもたちも納得したようで、それぞれがプレゼントを抱え、手を繋いでプロデューサーの方へ向かっていった。鬼龍と守沢もそっと後ろから付いていく。
「きゅっきゅきゅー!」
「うー!」
プレゼントを差し出され、喜びすぎたプロデューサーが子どもたちを抱き締める。いつもなら抵抗しそうな狼くんもしかめっ面だがおとなしくしているのは、彼なりのお祝いと感謝の気持ちだろう。小鹿くんはにこにこしているのでとてもかわいい。
『プロデューサー、誕生日おめでとう!』
鬼龍と守沢も、声を揃えてプロデューサーを祝った。
感激でプロデューサーが倒れるまでもう少し。