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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    ガラハイ🐺🦇【play-biting】Xに上げたもの。記録用。最後ちょっとだけいかがわしい雰囲気。

    #ガラハイ
    #コーヒートーク
    coffeeTalk
    #Coffeetalk

    【play-biting】「〜♪」
     家主の名を呼ぶ上機嫌な声。それから、でたらめな鼻歌がリビングまで響いてくる。ガラは寛いでいたソファから立ち上がり、やれやれとため息を吐くと玄関へと足を向けた。
     壁掛け時計の針は丁度真上、シアトルの夜空を指している。ハイドがこのアパートに足を踏み入れる時、彼は大抵酒に酔った状態でやって来る。玄関まで迎えに行ってやらなければ酔いどれの吸血鬼は上等なジャケットを脱ぎもせずにソファやベッドに転がり込んであっという間に皺を作ってしまう。善良なるこの家の主はそれを見るに耐えかねて、千鳥足の来訪者の上着を都度引っ剥がすのだった。

     ハンガーを片手に見たこともない構造の衣服と格闘しているガラ。それを置き去りに、ハイドは我が物顔でリビングへと上がり込む。しばらくはファブリックソファに背を委ねていたが狼男が隣に腰掛けるや否や、今度は体重を掛ける先を恰幅の良い肩へと移した。
    「なあ、ガラ」
     ハイドがガラに向け、手のひらを差し出す。何のことだと困惑する大男を前に吸血鬼は無邪気に笑む。
    「Shake.(お手)」
    「……お前さん、相当酔ってるな?」
     期待の眼差しを一身に受け、ガラは頭を掻いた。アルコールに侵されたハイド氏のじゃれ合いには大人しく付き合っておくのが得策である。適当にあしらうと面倒臭さがじめじめと加速することを彼はこれまでの度重なる経験上知っていた。事実、部屋のスペアキーを渡して以降、こうした状況に陥る度に上手くいなそうとしては失敗し続けて来たのである。
    「はいはい、やればいいんだろ……」
     言われるがまま手を重ねれば、命令に従ったことに満足したようでハイドは良い子だと大きな仔犬の頭を反対の手でぐしゃぐしゃに撫でた。
     そう、いつもなら酔っ払いのお遊びはそれで終わるはずだった。
    「ん、?」
     終わったはずの「お手」は飼い主の意思ではなく仔犬自身によってまだ続けられている。ハイドよりも一回り大きく傷だらけの手が細い指の一本一本へ、その輪郭を確かめるように触れる。指を絡め、熱を持ってなぞる。
    「おい……」
     むず痒さに体をひねるが絆創膏だらけの乾いた指がハイドの指と指の間に強引に割り込み、捉えて離さない。密着する手と手の間は互いの体温で汗ばんだ。それはともすれば不快感に繋がるであろうものだったが、ガラに手を離す素振りはない。
    「ガラ、もういい。離せ……」
    「何言ってる? お前が言い出したことだろう」
     ハイドの指先が無駄なことと知りながら、それでも不安げにもがく。堅物なこの男をちょっとばかり揶揄ってやるつもりが、何やらまずいことになったと赤い目が宙を泳ぐ。仔犬はその視線を追いかけ逃さない。指を擦り合わせ、次の指示を仰ぐ。
    「次はどんな芸を見せたら良いんだ? ご主人様」
    「Down(伏せ)!」
     焦るような吸血鬼の声が次のコマンドを告げる。ガラはソファから腰を上げると長い脚の間を割ってハイドの面前、フローリングの床に膝をつく。そして彼の腰元へ手を伸ばすと──ブランドの革ベルトを引き抜いた。
    「おい! 言うことを聞け駄犬!」
    「飼い主の躾がなってないんじゃないか?」
    「……こ、の……」
     それ以上を言い淀み、ソファに沈むハイドを柔らかな力で押さえ付ける。吸血鬼という種族。彼が本気でこれを望まないのであれば、元軍人相手と言えど抵抗することは難しくないはずだった。が、今もなお彼の腕に力が込められる様子はない。

     利口な仔犬は仕方のない飼い主だと主のスラックス、そのファスナーを焦らすように、落とした。
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    last_of_QED

    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

    last_of_QED

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

    last_of_QED

    DONER18 執事閣下🐺🦇「うっかり相手の名前を間違えてお仕置きプレイされる主従ください🐺🦇」という有難いご命令に恐れ多くもお応えしました。謹んでお詫び申し上げます。後日談はこちら→ https://poipiku.com/1651141/5571351.html
    呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】



     抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
     深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。

     棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
     あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
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