清澄と食事をするとき、実はちょっと緊張する。
食事そのものというより、店選びに緊張するのだ。
だって清澄、俺と違ってめちゃめちゃ良いもの食べてそうじゃない!?
実家もでかいし、きっとすごいもの食べてるんだろうなって勝手に想像してしまう。
実際、清澄とのデートのときはちょっと良さそうなお店探したりするし…
そんなわけでまさに今、そのプレッシャーと戦っているわけだけど、お昼時ということもあって全然開いてるお店が見つからない…!
あんまり清澄を連れ回すわけにもいかないし、どうしようと思っていたところ、ある看板が目に入った。
それは、どの街にもあるファミリーレストラン。
幸運なことに待ち人はいなそうだ。
ただ、清澄ってファミレスとか入るのかな…?
一瞬迷ったけど、思い切って誘ってみることにした。
「清澄、ファミレスあるけどどう?」
「私は構いませんよ、行きましょう」
だ、大丈夫だった!!
さっそく店内に入り、ソファ席に案内してもらった。
清澄は平然としていて、特に変わった様子もない。
どうしても気になったので、彼に訪ねてみることにした。
「あのさ、清澄ってファミレスとか行くの?」
「行きますよ。特に猫柳さんと華村さんとはよく寄ります」
「へー!そうなんだ!!」
知らなかった。彩もファミレスとか行くんだな。
俺たちもよく事務所の近くの店舗に寄ったりするけど、そんな感じなのかな。
勝手に高級料亭とか行ってるイメージだったけど、意外と庶民的だ。
なんとなく安心して、俺はメニューを開いた。
「和定食などもありますから、ファミリーレストランは便利ですよね」
「そうそう!いろんな料理があるから選べていいよな!」
清澄と寄れる店がまた一つ増えて、俺は思わず笑顔になった。
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