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    のくたの諸々倉庫

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    POIPOI 57

    前にもこんなん書いた気がする。大体トーマと空くんが話してるだけ。

    #若トマ
    youngThomas

    転生学パロ若トマ 昼食時。牛乳パックを片手に、俺は以前から気になっていたことをトーマに問うことにした。
    「トーマはさ、神里先輩のこと好きなんでしょ?」
    「ッげほ、がふッ!?」
     うわ、むせた。とはいえ俺の責任でもあるので、おとなしくティッシュを差し出してやる。
    「そ、空……? どうしてそんなこと、げほ、っ言うんだい……?」
    「んー、見ててめちゃくちゃそう思うから。違う?」
    「お嬢のことじゃ、ない、よな」
    「そりゃあ綾華も二年だし。俺たちと同じ学年じゃん」
     言えば少し、というか大分苦い顔をされた。どうせ昼時の教室内なんて、食堂まで出向く者や別の場所を選んで食べに行く者ばかりなせいで俺たち以外誰もいない。しかしまあ、さすがにデリカシーのない質問だったか。
    「……まあ、合ってはいる、けどさ。そんなにオレ、分かりやすかったかい……?」
    「大丈夫、元から距離感おかしいし」
    「そういうことじゃないんだよなあぁ……」
     机の上に突っ伏したトーマは、耳がぺたんと垂れた犬を彷彿とさせる。綾華や綾人先輩を嫌う者からは、神里家の犬とまで言われているが多分間違っていない。
    「でもまあ多分、俺とあと数人くらいしか気付いてないと思うよ。みんなのこと『前』から知ってるの人なんてそう多くないし。
     でも大分、懐いた犬みたいな印象はあるよなーって」
     おそらくは神里兄妹のついでに自分の分、という作り方をしているのだろう。決して粗末というわけではないが、切れ端や歪な形をした具材まみれのトーマの弁当を見やる。
    「それにこれ、ぶっちゃけ二人の弁当の、飾りつけ具材の余りでしょこれ」
    「そ、素材はすごくいいんだよ。無駄にしたくないじゃないか」
    「責めてない責めてない。
     ……でもまあなるほど、根掘り葉掘り訊いてもいい?」
    「なんでそんなに興味津々なんだい……」
    「だってトーマ、記憶ないふりしてるじゃん」
     ぴし、と音がしそうなほど、ぎこちなく彼の動きが止まる。
    「……なんの、ことかな」
    「そりゃあもちろん、テイワットでのことだよ。綾華はしっかり騙せてるっぽいね、たまに悲しそうに話してくれるし」
     窓からの光で逆光気味になった、トーマの表情は読めない。けれど数秒の後、諦めたように脱力しながら息をついた。
    「……これはオレの自己満足なんだよ、空。まさかまた会えるとは思ってなかった、そんなふたりと今度こそずっと、一緒にいたいっていうだけの」
    「それで悲しませてたら本末転倒な気もするけどね」
    「言っただろ、自己満足だって。
     ……オレはさ、いつかふたりに悲しい思いをさせた。だからもう、近付きすぎることはしたくない。けど必要とはされたい、なんて都合のいい話なのは分かってるけどね」
    「ふうん……」
     ずずず、牛乳パックの底から音がする。いつの間にか飲み干していたようだ。
    「……問い詰められたことはあったけど、言えるわけないじゃないか。いつかの若は、オレのことを愛したからこその苦労が多かったんだから」
    「『綾人』だって、それを理解した上で好きだって言ったんじゃないの?」
    「それはそうだろうけどさ。理由はなんだったか……辻斬りだったかな、ともあれそれでオレが死ぬ直前にさ、オレを抱えてた若の声が忘れられないんだよ。
     ……泣きも叫びもしなかったけどさ、『逝くのかい』って。ひどく震えた声で、オレの手を握って。そんなこともう二度と、言わせたくないんだ」
     そんなものだろうか。そのような別れ方をしたからこそ、再会はとても喜ばしいものだっただろうに。
    「それじゃあトーマは、この先どうするつもりなの」
    「卒業したら本格的に、神里家の使用人として働くさ。それこそ一生、うん、一生かけてふたりのそばにいる」
    「でも先輩の想いには、応えてあげないんだね」
    「……はは、若だってもう新しく好きな人くらいできてるだろうし。いいんだよ空、そんな顔しなくてもさ」
     そうしてトーマは笑うのだ。未だ彼の想いを一身に浴びていることも知らず。
    「この気持ちは、墓まで持っていく。そしてもう二度と、戻らないことを願うばかりだよ」




    「……とのことだよ、どうするの綾人?」
    「ふふ、ありがとうございます。やはりあなたに頼んで正解でした。今日の夜にでも、しっかり話し合おうと思います」
    「……優しくしてあげるんだよ……」
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    nae_purin

    MOURNINGモブに色々改造されて先生に救出されてほっとするも(まだ公子の威厳ギリ保ってる)こんな体みないで!って絶望して(先生に見られてもう自分が公子に相応しくないって思ってしまって)鬱になってふらっと出た徘徊先で旅人にぼろぼろの姿見られてガン泣きしながら迎えにきた先生に回収されて欲しい、話です。供養。
     鍾離をの洞天を抜け出し、行く先もなく歩く。かろうじて履いたスラックスと、肩にひっかけただけの真っ白のシャツ。見下ろした自分の体は見慣れた傷しかない。鍾離に直してもらったばかりのまっさらな体。治療の際、ひとつひとつ鍾離の指先が辿っていったその傷たちはもうないはずなのに、隠すように振るえる指先シャツのボタンを留める。
     踏みしめた地面に転がる石を感じながら足元を見る。洞天から転がり出た先がどこにつながるのか考える暇もなかった。呆然としたまま辺りを見回す。先ほどから見える木々は黄金に色付き、璃月の地であることは伺える。しかし2人ほどが通れる程度の道は舗装されているともいえず、裸足で歩くような道ではないことだけが確かだ。差し込む光を遮る木の葉が影をつくり道を彩る。木漏れ日の隙間から除く青空は雲一つなく、暖かい。常であれば息をのむ景色だったのかもしれない。けれど、いまのタルタリヤにとって景色がどうなどとは関係無かった。ただ、この道の先を進めば鍾離の視界から少しでも遠くに行けると盲目的に信じているだけだ。足を傷つける小石が意識の端に引っかかっては消えてゆく。
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    hiwanoura

    DONEパティシエのタルタリヤと大学の先生をしてる鍾離先生の現パロ。鍾タルです。捏造しかないので要注意。(Twitterに上げていたものと一緒です)
    パティシエのタルタリヤと大学の先生な鍾離のお話①ふわり、と。
    鼻先を掠めた匂いに思わず顔を上げる。会話も、物音も少なく、かすかに聞こえるのは紙の擦れる僅かな音ばかりの図書館にはあまりにそぐわない、甘い匂い。それは書物へと没頭して、つい、食事を忘れがちな己の胃を起動させるには十分なものだった。壁にかかるシンプルな丸時計を見るともう昼はとうに過ぎ、どちらかと言えば八つ時に近い。なるほど、甘いものを食べるにはちょうどいいな、と。昼食すら食べてないことからは目を背け、手にしていた本を棚へと戻した。
    さて何が食べたいか…足音を飲み込むカーペット素材の床を踏み締めつつ、書籍で埋まる棚の間を進む。平日の昼間なせいか自分以外の人影を見かけなかったのだが、知らぬうちにもう一人、利用者が増えていたらしい。珍しい、と。なんとなしに興味が引かれ、知らず足が向く。こちらの事など気がついても居ないのだろうその人物は、立ったまま手にした本を熱心に読んでいた。赤みの強い茶色の髪の下、スッと通った鼻筋と伏せられた目を縁取る長い睫毛。恐らく自分よりは歳若いその青年は、特に目立つ格好をしている訳でもないのに、何故か無視できない存在感があった。ここまで気になるという事は、もしかしたらどこかで会った事のある同業者か…生徒の一人かもしれない、と。記憶の中で赤毛を探すが残念ながら思い当たる人物はみつからず。知り合いでは無いのならばあまり見ていては失礼にあたる、と無理やり視線を剥いで、青年の後ろを通り過ぎた。
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