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    3iiRo27

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    3iiRo27

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    ritk版深夜の60分一発勝負
    第四十四回 お題:「お月見」「復縁」
    司視点 ?思い

    #類司
    Ruikasa
    #ワンドロ

    結局は似た者同士だねと、笑われた。街灯も何もない、坂を登っていく。
    手に持った袋は、足の動きに合わせてがさがさと音を立てる。

    去年は、わいわいと皆で話しながら登っていたんだがな。
    否、今年は誘ってもいないんだから、いないのは当然か。

    苦笑しながら、目の前を見る。
    坂の頂上は、もうすぐだった。






    ---------------------




    オレが類と別れたのは、進路を本格的に考えなければいけない、高3の秋のことだった。
    そう考えると1年も経っていなかったが。それでも、とても幸せだった。



    お互い、初恋で。告白も、理想とするような、かっこいい形になんて、できなくて。
    それでも、手探りで、愛を伝えて、愛を伝えられて。

    キス止まりではあったけれど。それでも、幸せだったんだ。








    別れを告げたのは、オレからだった。
    オレはまた、類のことが好きだった。そして類もまた、オレのことが好きだった。



    でも、進路を。未来を考えた時に。きっと足枷になるであろうそれに耐えながら、オレ達は夢に向かっていけるのか。

    それがどうしても、不安だった。
    そしてそれは、類も同じだった。


    だから、別れを切り出した時に。類と、約束をした。









    例え別れても、オレは類が好きだ。類も、オレが好きなままでいい。

    お互い未来を見据えて、色んな人と交流して。
    未来を、夢を見るために、この思いは一度封印する。


    その過程で、別の人を選ぶのなら、止めない。
    類まで止めようとは思わないから、好きにするといい。






    でももし、その上で、お互いがお互いを選んだら。


    その時は、また付き合おう。







    そう言って、指きりげんまんをした。

    オレは泣いていて、類も泣いていた。




    その時に見えたセカイは、未来の希望でキラキラしていたけれど、どこか悲しい色をしていた。






    ---------------------




    昔のことを思い出しながら、漸く坂の頂上にたどり着いた。

    真っ暗な空に、大きな月が映える。セカイであることが勿体無いくらい、綺麗な景色が見れる場所だ。




    ……思えば、あの日のことを告げたのも、ここだったな。
    そう思いながら、持ってきていたレジャーシートを広げる。




    別れたことは、家族やワンダショの2人にも伝えた。
    驚かれはしたけれど、お互いの考えを伝えたら、ちゃんと納得してくれて。

    そのお陰もあって、別れても「ワンダーランズ×ショウタイム」の座長と演出家でいれた。


    今は全員、大学生活が忙しいのも相まって、ショーの舞台に立つことは少なくなっていった。
    それでも一緒にできるショーは楽しいし、いい刺激になっている。


    入った当初に懸念されていたワンダーステージは、後継の子が入ってきた。
    その子達を指導するのは、今はえむの仕事だ。もう、ワンダーステージが壊されてる心配はない。


    でも、チーム名は各々で付けてもらった。
    類とえむ、寧々。そしてオレの4人だけが、「ワンダーランズ×ショウタイム」だから。




    そんな「ワンダーランズ×ショウタイム」だが、オレ達の大学卒業に合わせて、少しずつ後継の子にショーのシフトを移していっている。

    オレも類も、大学いる間に色んなオーディションや面接を受け、希望する劇団に所属することができた。
    そうなったらきっと、いやがおうにも「ワンダーランズ×ショウタイム」は解散となるだろう。

    それはもう、目前に迫ってきていた。









    だから、だろうか。

    オレは3人に、連絡を取ることができなくなってきていた。




    世界一のスターになりたい。その思いは、今でも変わってない。


    ……それでもどこか、寂しいという気持ちを、抱えていた。

    3人でやるショーが、何よりも楽しかったから。
    そして、類と無条件で繋がることができたから。


    これからはきっと、なかなか連絡は取れないだろう。
    類との関係も、「かつて仲間だった人」となってしまうのだ。


    そんな思いが溢れそうになるから、あんまり連絡を取れないでいた。







    今日のお月見も、いつもなら3人を誘って行っていたが。
    今年はいつも行く日よりも前に、1人で来てしまった。





    (まあ、思考を整理したいってのもあるんだがな)

    広げたレジャーシートに、持ってきたお団子と、ペットボトルのお茶を置く。
    座って空を見上げると、変わらず綺麗な月が、輝いていた。






    (……セカイでは、常識は通用しないが、)

    月は、自ら輝く術を持っていない。
    あの輝きは、太陽光を反射したものだ。


    オレはよく周りから、「皆を照らす太陽だ」と言われていた。
    オレ自身、輝いてこそのスターだから、それを否定するつもりはないのだが。




    「……アレこそ、「オレ」みたいだよなあ」

    月は、太陽のお陰で、輝ける。
    演者は、演出家のお陰で、輝くことができる。

    オレにとって、類はまごう事なき、「太陽」だった。




    太陽がなければ、輝けない。
    太陽は、月にとって、なくてはならない存在。




    そう思い至ったところで、自分の思考を埋める存在に改めて気づき、苦笑した。










    「……やっぱり、無理だったな」


    色んな人と交流した。
    他の人の、色んな演出を体験した。
    色んな人に、好意を伝えられた。

    それでも、揺らぐことはなかった。
    オレは、類が好きなままで。そしてそれは、あの時よりもずっと、恋焦がれているものに、変わっていった。






    (……類は今頃、何をしてるんだろうな)

    最後に会ったのは、確か1月以上前だったか。
    課題が辛すぎて、ここの演出を考えるのがストレス発散になると、前より酷くなった顔色で告げられたんだったか。

    あの時の言葉通り、もし類も、まだオレのことが、好きだったら。










    (なんて。ただの妄想だ)


    そう思いながら、輝く月へ、手を伸ばす。



    明るい月が、更に明るく感じて。
    いっそこの光が、オレのこの思いを、連れ去ってくれたら。

    そう思って、更に手を伸ばした。














    筈、だった




    突然のことに、思考が。息が、止まった。


    座っているオレの背後から。強く、誰かに抱きしめられていた。


    ……否。

    その腕も、ほのかに香るそれも。強く記憶に残っているもので。
    だからこそ、本当にこれが現実なのかと、疑ってしまった。




    ゆっくりと、強く抱きしめている腕に触れる。

    間違いなく、現実だった。










    「…………類……?」

    小さな声で聞いたそれが聞こえたのが、ぴくりと反応した腕はゆっくりと離れていった。
    離れたのを見計らい、ゆっくりと振り返る。



    いたのは、間違いなく類だった。
    少しだけ青ざめた顔で、少しだけ息を切らしていた。

    目が合うと、少し泣きそうな顔になって、今度は正面から抱きしめてきた。








    「……類、どうした?」

    わからずに抱きしめてきた類の頭をそっと撫でると、抱きしめていた力が強くなった。




    「……司くんが、攫われそうで」
    「え?」
    「司くんが月に攫われそうだと思って。気づいたら、抱きしめてた」

    笑いたければ笑うといいよ、と拗ねた声が聞こえる。
    そんな類の頭を、オレはぺちぺちと叩いた。



    「何言ってる。笑わんぞ、オレは」
    「……でも、こんなくだらないこと、」
    「オレもさっき、攫われそうだなと思ってたんだ。だからお愛顧だ」
    「………………そ、っか」

    そう言って、ゆっくりと離れる。

    離れた類の顔は、真剣そのものだった。













    「…………?る、」


    「司くん。僕は君が好きだ」





    時が、止まったかと思った。
    驚きで何も言えないオレに、類は続けた。



    「色んな人にあって、好意を伝えられて。それでも、僕の思考を埋めるのは、司くんしかいなかったんだ。」
    「でも、もし司くんがそうじゃなかったらって。そう思ったら、言うことはできなかった」
    「…………」








    「でもね」

    そう言って苦笑しながら、オレの手を取る。


    「司くんが月に攫われそうだと思ったら、もう何も許容できなかった。大好きな司くんを連れて行かないでと。それしか考えられなかった。」
    「………………」
    「ごめんね、司くん。でも、僕はこれからも、司くんと一緒にいたい」




    お願い、と頭を下げる類に、オレはぽかんとして。そして、笑ってしまった。
    結局俺たちは、似た者同士だったんだな。




    「……司く」
    「類。オレも同じなんだ」
    「え……?」

    びっくりした様子で慌てて顔をあげた類に、オレは微笑みかけた。


    「オレも、ずっと思考を埋めていたのは類で。でも、類のことを考えたらそのままがいいんじゃないかって、言えなかった」
    「………………」
    「きっと卒業したら、ワンダショも解散して。類との繋がりも切れるんじゃないかって。そればかり考えてしまって、連絡すら取れなくなってしまった」
    「……だから最近、ワンダショのグループの連絡のなかなかこなかったのかい?」
    「う………。まあ、そうだな」




    気まずさで思わず目線をそらしたオレに、類は嬉しそうに微笑みかけた。




    「なら、その不安はもうなくなるね」
    「……え?」
    「だって、司くんが言ったんじゃないか」












    「お互い色んな経験をした上でお互いを選んだら、もう一度付き合おうって」



    「…………あ……」


    嬉しそうに微笑んだ類の、その言葉で。オレは、漸く理解した。
    そうだ。そういう約束だったし、何より。


    「僕らは、また新しいもので繋がれたんだから。不安になることは、もうないだろう?」
    「…………」
    「それに、寧々もえむくんも言ってたよ。卒業して劇団に入っても、また4人でショーがしたいって」
    「…………え」


    「大丈夫。なくならない。これからもずっと、残るよ」








    「そ、っか……」

    目頭が、熱くなる。
    類はすぐにそれに気づいて、そっと抱きしめてくれる。



    「……類。オレも、好きだ」
    「…………うん」
    「オレもずっと、大好きだった。これからも、ずっと」
    「……うん。僕もずっと、司くんのことが大好きだよ」




    ああ、なんて、幸せなんだろう。
    そっと離れて見た目は、欲に塗れていて。
    きっとオレも、同じであろうと、感じた。

    そしてそのまま、ゆっくりと、近づいて……



















    テテテテーテーテーテッテテー♪

    「っ!?」
    「っわ!?」

    突如鳴り響いた音に。思わずお互い離れる。
    音源は類のスマホからだったようだ。




    「……え、っと。ごめん。」
    「いや……気に、するな。それより先にそっち見てやれ」
    「うん……」


    ションボリとしながらスマホを開く類に、思わず苦笑してしまう。
    類はスマホを開いて軽く操作をすると、目を見開いてオレの方を見た。



    「……うん?どうした?」
    「ふふ。やっぱり隠し事はできないみたいだね。ワンダショのグループからだったよ」
    「え?……今開く」

    通知をOFFにしていたスマホを開くと、本当に連絡がきていた。えむと、寧々からのようだ。








    『ねーねー!○○日に皆で今年もお月見しよ!司くんは絶対参加!』
    『何考えてるか知らないけど、覚悟しといてね』




    「…………月見団子を献上したら、手加減してくれるだろうか」
    「ふふ、どうだろうね。ちゃんと説明しよう。でもとりあえず先に」
    「え?……っわ!?」




    「今は、僕たちだけの時間。ね?」


    そう言いながら色っぽく微笑む類に、オレは何も言えずに身を任せるしかなかった。











    後日。

    正直に話して団子を献上するも手加減されることはなく、二人にもみくちゃにされ。
    その時に見つかったキスマークで、類と2人して正座しながら復縁しましたと暴露することになるのは

    もう少し先のお話。
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    タイトルは未定です!!!

    サンプル6P+R18シーン4P

    冒頭導入部とエッチシーン抜粋です🫡❣️

    あらすじ▼
    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
    打合せ後休憩しようとしたところに、自身で発明した🌟の中を再現したというお○ほを見つけてしまった🌟。
    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
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    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
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