遺していく思い出「嬉しい…。ありがとう、実弥」
義勇は手を胸に宛てた。そのまま左手の薬指にはめたものを右手で優しく覆い、春の花より優美に、可憐に、実弥の眼前で微笑んだ。喜びの色が満開の桜のように満ち、実弥を見つめ返した。
愛しい人の笑顔。実弥は口元を綻ばせる。その顔を見て、嬉しさ全開のぽやぽやした恋人も微笑んだ。実弥は義勇の肩と腰に手を回し、己の腕の中に引き寄せた。
抵抗することなく収まる青い着物。義勇の瞳と揃いの空色の着物は、すっかり見慣れたもので、書生風な装いが今の彼にはよく似合う。
あの特徴的な羽織ではないのにな。そちらの方が実弥も隊の者も長い付き合いなので、冨岡義勇といったら半羽織だったのに。当の羽織は、決戦後に禰豆子の手で仕立て直され、押し入れの奥の箱に大切に仕舞われている。
「もう、思い出になっちまうんだなァ」
「ん?」
「こっちの話だ、気にすんな。それより大きさは大丈夫か?一応、お前の指の大きさを紐で作って渡したんだけどよ、その………どうだァ?」
少し強ばった声音。心臓がバクバク跳び跳ねて壊れたように煩い。ああくそ、緊張しているな。努めて冷静にしたいが、その余裕は今の実弥にはない。喜んでくれたが、まさか大きさが合わなかった日には目も当てられない。
内緒で用意した義勇の誕生日の祝い。
何を渡そう?何なら喜ぶだろう?
我ながら浮かれていたし、張り切っていた。
何せ恋仲になり、初めての誕生日だから。
あの冨岡と恋人になるなんざ、以前の自分に聞かせたら、刀を持って追いかけられる位の出来事だ。まあ、先に逝った同僚達も、彼岸から驚いていて見ているだろうなぁと思う。
だが仕方ないだろう。
見た目完璧な冷徹な水柱様が、こんなほやほや野郎になるたぁ、あの頃は予想出来なかったし、決戦を生き延びた冨岡が、本当は口下手な気の良い奴だと知ってしまった。
大願成就し、過去の呪縛から解き放たれた冨岡に、俺は恋に堕ちたのだ。
そして今、俺は冨岡義勇と共にいる。
彼を好いている。愛している。
大事にしたい。
指輪を気に入って貰えたか、大きさは問題ないか、答えは勿論気になるが、実弥の鼓動は恐れではなく、期待に高鳴っていた。胸が轟くように踊るこの時を、愛おしく思う。
腕の中、実弥の肩に寄りかかりながら、律儀に指輪を動かし装着具合を確かめる恋人は、ああでもない、こうでもない。外したり、抜き差しし、ようやく首を後ろに反る形で実弥を見上げ、左手を互いの顔の間に翳した。
「大きさは丁度良い。凄いな!どうやってこんなぴったりに作れたんだ?」
「そりゃあ、お前が涎垂らして寝ている間に、指に糸巻いて、それを店にもっていった。後は職人の技だなァ」
「そうだったのか。気付かな………っ!?待て、俺は涎など垂らしていない!」
おや。ちゃんと聞いていたのか。こいつ右から左に言葉が抜けている時があるからな。無視しているのではない。童みたいに何かに気を取られているだけ。蝶屋敷で療養中に、初めて知った。
さらりと混ぜたからかいに反応してくれた義勇の頬が、ぷくりとお餅のよう。それをツンツンしつつ、実弥はニカリと笑う。
「垂らしてるだろう?いつも間抜け顔で朝まで起きやしないじゃねぇか」
「そ、それは!?お、お前が、あんな事をするからだろうがっ!!」
盛大に吃りながら大声をあげる様子に、実弥は抑えきれず苦笑を零す。
くるくる廻る表情。水柱時代に終ぞ見れなかったものを、惜し気もなく晒してくれる愛しい人に、実弥は奥底に灯る愛の情を感じていた。
今にも爆発しそうに赤く熟れる人を、実弥は優しく抱き締める。逞しい腕に閉じ込められ、義勇は可愛く囀ずっていた口をピタリと止めた。
なに、どうするの?
期待に満ちた青い目。ご要望に応えるように、実弥は慣れた手つきで空色の着物を引き、向きを回転させた。向き合う体勢になり、義勇が何か言う前に顔を寄せ、唇を重ねる。一瞬驚いて硬直した義勇だが、すぐに自らも唇を寄せた。
昨夜より軽い触れあい。けれども昼間交わすにはあまりに丁寧な口付け。熱く貪る舌は、唾液の糸を絡ませ混ぜていく。一つになる口中。思い出す甘やかな時間。
想いが通じて以降、二人は可能な限り肌を重ねた。まるで一時も離れる事が耐え難いように。
否、嫌だ。離れたくない。一つになるあの時。あれだけが情を確かめる術ではないが、残された時間が少ない二人には、濃厚で確かな方法だった。
それ故、実弥は義勇を求め、義勇は実弥を受け入れる。
「んん………っ、ふぁ……ぁ……んんっ。あ…ぇ?さね、み。もぅ、おわ…り?」
唇をゆっくり離していけば、蕩けた顔で途切れ途切れ聞かれ、実弥は困ってしまう。
くそ可愛い過ぎなんだよ、こいつは!
これが鬼と戦っていたとか、隣で肩を並べていた己でも信じられないくらいだ。本来の自分を出すようになった義勇は、非常にあやうい。笑顔が眩しいし、綿みたいにぽやぽやだし、あと可愛い!あの冨岡がと過去の自分は信じないだろうが、この可愛いくていじらしい奴が、いつ他の輩に取られないか、実弥としては気が気じゃない。
今も震える身体を支える為、必死に実弥の着物を握り締める様が愛らしいらしい。恋に堕ち、更に惹かれていく。堕ちて堕ちて、お前しか見えなくなるみたいだ。
実弥とて、これ以上先に進めたい欲はある。
けれども。ふと外に窓側に向ければ、障子が開いた隙間から、明るい光が射し込んでいる。本日は快晴。お陰で洗濯物は干したまま。夕餉の支度もしていない。今日も今日とて、義勇の好物の鮭大根を作る為、旨そうな鮭を一匹買ってある。
今週献立に上がるのが三回目とか、正直飽きもくるが、実弥とて男。己の不満より、好いた人の好い顔。あれが見れるならなぁ…。多少の不満はなんのそのである。
というわけで、夕飯に間に合うよう鮭を捌かなくてはいけないし、流石にあれを無駄にするのは忍びない。
「なんだ、そんなに気持ち良かったかァ?」
「うん……、いい。実弥との接吻は、いつも夢見心地になるんだ」
うっとりとしながら義勇は答える。
口付けで甘やかされた身。ぷるぷる震える肩ごと引き寄せて、実弥は色に溶けそうな瞳を見ながら、義勇の形の良い耳に顔を寄せた。
「後は夜にな。なぁ………、義勇」
低い声。外の風の音に紛れてしまいそうな細やかなもの。だけど義勇の耳に届いた好きな人の言葉は、脳天に一撃を喰らったかのように刻まれ沁みていく。
林檎より赤い顔をコクコク上下させて返事をする義勇に、実弥は満足気に笑みを深め髪を撫でた。
愛しい人は、どこまで俺を虜にしてくれるんだ。
実弥の恋の心は、雪のように溶けて消えてしまったけれど、代わりに育まれる愛が、この身を滾らせる。滾る熱は義勇の一挙一動に揺れ動かされ、その度に俺に幸せをもたらしてくれる。
「ふふ、なぁ実弥?俺、今から宇髄のところ行きたい」
「あ?なんであいつのところなんざ行くんだよ?」
折角の誕生日に、恋人の前で別の男の名前を呼ぶとは良い度胸だ。とは言えず、悶々ムカつきを募らせる実弥に、胸に寄りかかりながら義勇は指輪を熱心に見つめ、だって…と囁く。
「これを見せたいんだ。俺がお前のモノだって、知って欲しい」
「いやでもよォ、そんなんとっくに知られてるぜ?」
二人が結ばれ初めて身体を重ねた翌日。
宇髄から祝いの品が届き、実弥は真っ赤になり、義勇は笑いを堪えきれず吹き出した。
流石は元忍、元音柱。我等が同僚は凄いものだ。どうやって知ったのだろう。自分達でさえ、昨日まで把握していなかったのに。
輝利哉様から、見合い話をもちかけられて。
不死川はどうするのだろうと気になり、義勇は風柱邸を訪ねた。玄関先で話す内容じゃないだろうと家に招き入れてもらい、居間に通されて話しだして、で…………何故かこうなった。
いや、互いに好いていて、酒の延長でうっかり義勇が恋情を吐露して、実弥もお前が好きだと想いを打ち明け、晴れて結ばれたので、何故かも何も両想いだったわけだが。それにしたって、あっさりばれた事に感心しつつ、複雑な気持ちの二人だった。
炭治郎や村田。悩んだが輝利哉様にも、見合いのお断りの件もあり、正直に二人の関係を話した。予想に反し、皆が祝福してくれた。
その中でも、宇髄の喜びようは、とにかく凄まじかった。あいつも奥方達が懐妊し忙しいだろうに、まさか泣かれると思わず、文句を言ってやろうと意気込んでいた実弥など呆然とし。
しかし自分達の為に涙を流してくれる元同僚に、実弥も義勇も、せり上がる感謝を素直に伝えた。
以来、宇髄は二人の仲を応援してくれている。
嫁達にも言われてるから、大人しく世話されろと、我が物顔で風柱邸に乗り込んできて、差し入れやら、面白い話やら、様々なものを持ってきてくれるのだ。実に頼もしい。
やや世情に疎い義勇など、毎度目を輝かせ話を強請っているのだから、やはり黄泉いる柱達は目を丸くしていることだろう。
今回、誕生日祝いを選ぶのも、宇髄の助言で買えたものだ。勿論、義勇もそれはわかっているのだろうが、小さい唇は予想外の事を言い出した。
「この指輪、えんげーじりんぐと言うやつだろう?」
「は?ちょい待て?お前知っているのかァ?」
実弥は宇髄から言われるまで存在すら知らなかった。結婚を約束した婚約の証として、相手から贈られる指輪。外国の習慣らしいが、なんとも小洒落た事だと鼻で笑うも、実弥は“結婚を約束“という言葉に惹かれた。
義勇は教養もあるし、育ちも良い。てっきり知っていたのかと思ったが、黒い髪が左右に揺れる。
「俺が幼少期に習ったのは語学だ。風習までは知らなかったし、左手の薬指につける意味は、宇髄から教えて貰った」
「はあ~?あいつ、先に言ってたのかよォ。たくっ、秘密の意味がないだろうがァ」
「それは…すまない。俺が聞いたからだ。実弥、最近遅くまで帰ってこなかったろう。それで…」
鬼殺隊解散後、実弥と義勇は悠々自適に日々を過ごしていた。想いを交わし、共に暮らすようになり、片腕の義勇の補佐をする為にも、どこにいくのも二人一緒。
それが急に一人の外出が増え、遅くに帰宅する。これで不安になるのは無理というもの。
ある日。出掛けた実弥を見送った後、玄関で立ち尽くしていた時、顔見せに来た宇髄に見つかり、つい尋ねてしまった。 実弥に別の好い人でも出来たのか、と。
多分宇髄は、沈黙を守ろうとしたと思う。実弥に言われていただろうから。でも心細さを隠すことすら出来ない義勇に、忍の世界にいた優しい男は、こっそり秘密にしている事を教えてあげた。
明かされた内容に目を白黒させる義勇。やがて頬を染め、嬉し泣きしそうな目元を、宇髄は遺った方の手で撫でてあげた。泣くのは早いぞ…、と。
花にじょうろで水をやるように、とろとろと話す短くなった義勇の髪を梳きながら、実弥は苦虫を噛み潰したような顔で天を見上げた。
おいおい。人が奔走していた裏で、そんなことになっていようとは。
「チっ!あの馬鹿忍野郎め!秘密は厳守するとかほざいた口は紛い物かァ。おし!決めた、後でしばく」
「しばくって、宇髄は俺達の為に手を尽くしてくれたんだぞ?」
頼むから止めてくれと口にする唇。なぞるように実弥の右手が覆う。欠けた指が目に入り、義勇は慈しむように己の左手を乗せた。重なる手から伝播する愛しい人のぬくもりに浸りながら、実弥は語調を和らげた。
「わぁってる。確かに宇髄には、世話になりっぱなしだァ。明日、礼の品持って訪ねようぜ」
「明日なのか?今から勘三郎に飛んでもらって文を持っていってもらえば…」
「ばぁ~か。時間考えろ。今から先触れしたとして、俺らが着くのは夕刻だ。人様の御宅に夕餉前に行ったら失礼だろうがァ」
「あ!?そうか、そう…だな。流石に実弥は気が利くな。すっかり気付かなかった」
人並みに気付くことだが、義勇に限っては、まあ。胡蝶曰く、こいつ天然ドジっ子幼女だし。
余談だが、当時は何言ってんだこの女と無言を通したら、胡蝶は笑顔のままツンツン突っついてきた。あれは痛かった。
「じゃあ、しばくのは止めてくれるな?」
「止めねぇよ。俺の気が収まらないからなァ」
「気が収まらないって…、え、何故だ?指輪の事を教えて貰ったことは尋ねた俺が悪いんだ。宇髄は悪くない」
「別に教えたことを怒ってんじゃねぇ。いや、それも一応含むが、本命はそれじゃなくて、な。ああ、お前も対象だなァ?」
「対象?何の??」
実弥はまるでわかっていない、しなだれかけたまま小首を傾げる人に、答えるように抱き締める腕に力を込めた。肩や胸に寄りかかったまま、まさに腕の鳥籠に閉じ込められた可愛い恋人に、実弥は拗ねた口調で、ぽつりと。
「恋人と他の男が二人きりなんざ、おしろくない状況だろう」
「二人きりって、相手は宇髄だぞ?あちらは奥方が三人もいるし、俺はお前の恋人。共に相手がいるのだから問題ないだろうが。それに、お前が俺を一人にしたんだが…?」
暗に放っておかれたことを示され、白い髪が肯定するように上下に揺れた。秘密裏に指輪を用意する為とはいえ、それについては申し訳ないと思う。
だからーーー。
実弥はニヤリと笑う。肉食獣のようにぎらついた目。義勇の背にゾクリと痺れが走る。
「寂しがらせた分、存分に愛でてやるよ。後、今日はお前の誕生日だしな。くく…っ、覚悟しておけェ」
か、覚悟って何の!?
焦る義勇だが、否、わかっているとも。
義勇は下腹部を撫でた。昨日もこの身に、彼の熱を受け止めたばかり。
「だからあいつん家行くのは、明日か明後日だ。文は爽籟に持たせとく。勘三郎の爺さんじゃ、明後日どころか届くのか不安だしな」
恥ずかしいが期待に満ちた気持ちのまま、義勇はコクンと頷いた。素直な恋人に気を良くしながら、実弥は腕の中の宝物を抱き締めた。
義勇は逞しい腕に身を任せた。でも青い瞳は、指輪をずっと見つめたまま。一時も見逃したくない。その様子から、指輪を気に入ってくれたのだとわかる。胸が一杯になる。実弥の中に、熱くて嬉しいものが満ち溢れてくる。その想いは自然と実弥の表情を明るくし、柔らかな温もりとなり、義勇を照らす。実弥の笑顔に気付き、義勇も唇を綻ばせた。
「実弥」
「ん~?」
「指輪、本当に嬉しい!」
「そうかい」
見えない尻尾が揺れているよう。
嬉しくて仕方がないと全身で表し、義勇は甘えるように実弥の腕に自らの腕を絡めた。
「うん。だからな、やはり明日宇髄に見せたいんだ」
実弥を信じている。彼に愛されていることが誇らしい。だが、どれだけ愛しあおうと婚姻は出来ない。どこかに実弥に家族を作ってあげられない負い目があった。
見抜かれていたと思う。宇髄が色々教えてくれたのは、その為。今更気付いた。
すまないな、宇髄。遅い俺を許して欲しい。義勇は心の中で謝った。だけど宇髄が望むのは、謝罪ではない筈。祭りの神を自称する豪快な男は、謝んなと言うだろう。………そうだな、謝るのはこれでおしまい。
義勇は満面の笑みを浮かべ言った。
「宇髄に見せつけてやろう。俺達はこんなにも幸せだって。そして、たくさん惚気てやるんだ!
」
「惚気ねぇ。お前、そういうの嫌じゃなかったか?」
少し夜の営みのことを喋ったら、凄い勢いで止めてきたのは義勇だが。
「無論恥ずかしいが、でも言いたい」
「…………………あいつに知って欲しいからかァ?」
「そうだ。宇髄には俺達の惚気を聞く義務があると思う」
嫌だと言われても、既に知っていても。
聞いてもらおうじゃないか。二度と彼に心配かけないように。
とはいえ、俺達は今後も宇髄に世話になってしまうだろう。痣の代償。残り数年の命。短い人生の終着点。彼に見送ってもらうその時まで……。
しかし人は、元より有限の命だ。
皆、いつか死ぬ。
自分達は稀有なことに先がわかった。
これは、むしろ幸運なことではないか。
あの決戦が終わり二人が抱いたのは、生き残ってしまったことへの懺悔。何故、と憤った。自分より生きて幸せになるべき人が、たくさんいるのに、どうして自分が生きているのか。
なにもする気になれなかったが、精一杯看病してくれている神崎や蝶屋敷の者達の手前、闘病は真面目にした。
そして退院後は日がな一日、自宅で無為に過ごしていた実弥と義勇だったが、そういえば最後の柱合会議の後に、鰻を食べる約束をしていたと思い出し、どちらともなく文を送り合い、再会した。
久々に言葉を交わし、近況を報告して、美味しい鰻を食べて、はい、それでおしまい。
には、ならなかった。できなかったんだ。
闘病中に実らせていた義勇へのの恋心。ずっと仲良くなりたいと思っていた実弥への思慕。どちらも此れきりにするには無視できない想い。
結局、その後も何度も会い、互いの屋敷に行き、一緒に出掛けて、二人は結ばれた。
どれだけ後悔してもしきれない過去の痛み。
捨て去ることは出来ないし、したくない。
ならば抱え込み生きていくしかないのだ。
悲しみも、苦しみ、喜びも、楽しみも全て。
実弥も、義勇も、限られた生だとわかるからこそ、精一杯生きようと互いに誓った。先に逝った仲間達が、あの世で大笑いするくらい謳歌してやろうと思う。
そして、遺される唯一人の元同僚の中の自分達を、喜びと笑顔ばかりにしてやるんだ。
なあ、宇髄。
お前が手助けしてくれたこと、感謝してもしきれない。
だから、たくさん惚気を聞いてくれ。
「ふふ…、幸せだな、実弥」
「ああ、俺もだァ…義勇」
二人は爛漫と咲き誇る花のように朗らかに笑いあった。