「大丈夫ですか、ダビィさん」
そんな声が後輩から降ってきたのは、ナポリ戦のハーフタイムのことだ。
ダビィはベンチに座ったまま、上を向いた。ユニフォーム姿の日向小次郎が、首にタオルを掛け、スポーツドリンクを片手に持って、目の前に立っていた。
「だーれが大丈夫だって?」
言いながらも、その反論に力がないことをダビィは自覚していた。
ナポリ対ユベントスのセリエA開幕戦、前半は、ユベントスが攻められ続ける展開になった。中盤がディアスに翻弄され、ほとんど機能をしなかったせいで、ディフェンスラインに過度な負担がかかった。ダビィもナポリの攻めを止めるために走り回ったとはいえ、その結果が出たとは言い難い。零対二。厳然と、スコアはユベントスの窮地を指し示している。
14937