シャンパンなんてガチャガチャ、ガチャ
ドアノブを弄る音が響く。リッパーは開かずにがたがたと揺れる扉を見た。
皆を震わせている凶悪なハンターの元へノックもせずにくる奴など1人しかいない。約束もしている。
クリスマスの夜は甘い時間を過ごすと前々から決めていた。彼も頷いて、滅多に崩さない顔を綻ばせて楽しみだ、と柔らかい声で言っていた。
それにしたって、扉くらい開けられないのか。
疑問に思いつつもソファに背を付けて腰を痛める体勢をしていると、ようやくその扉が開く。
「……………」
「ナワーブ?」
ゆっくりと開いた扉からぬっと脚が割り込む。とん、とん、と2歩進んで現れたのは俯いてフードに顔を隠されたナワーブだった。
「ナワーブ?どうかしましたか…?」
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