Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Iz_Mas_x

    @Iz_Mas_x

    @Iz_Mas_x

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍶 🍷 🍺 🐰
    POIPOI 12

    Iz_Mas_x

    ☆quiet follow

    女体化魏嬰ちゃん第八話です。
    小悪魔魏嬰ちゃん、完全復活しました!!

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #MDZS
    #忘羨
    WangXian
    #女体化
    feminization

    献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第八話 翌朝、二人は連れ立って行路嶺に向かったのだった。
     石室の中では、魏無羨が金如蘭を掘り起こした壁に、聶懐桑が門弟たちを使って新たな死体を埋葬している最中だった。もう一度修復する必要があると伝えると、彼は酷く慌てふためき止めようとしたが手遅れだった。
     魏無羨が手にした避塵に修復したばかりの壁を切り刻まれる様を、涙が滲むまなこで見るより他なかった。好き勝手する魏無羨の隣に佇んでいた藍忘機から説明を受けると、聶懐桑は此処は先祖の墓であること、埋葬した死体に四肢が欠損したものは無いことを必死で訴えた。
     だが、彼の言い分に耳を貸さずに死体を検分していた魏無羨が、藍忘機の「脚だ」という言葉に慌てて下衣を脱がせるよう命じたものだから、聶懐桑は魏無羨の恥知らずな言動をたしなめた。
     それに対して、魏無羨が「恥ずかしいも何も、此処に居るのは男だけだろ」と返したものだから、その場は変な空気に包まれてしまった。何故なら、そう言ったのが絶世の美女だったのだから。
     聶家門弟たちは一様に頬を赤らめ、反対に聶懐桑は顔色を失った。自らの失言に気付かない魏無羨に代わり、常と変わらず感情の乗らない白面の藍忘機が「莫殿は先日まで、亡き御母堂のご遺志に従い公子として過ごして居られた故」と説明することで、その場は辛うじて収まったのだった。
     地面に並べられた死体の下衣に意気揚々と手を伸ばす魏無羨に、聶懐桑は死後にご先祖様から一人一回ずつ平手打ちにされ来世も能無しに違いないと涙し、聶家門弟たちは姑蘇藍氏の校服に身を包み仙姿玉質な莫玄羽の姿をした魏無羨の暴挙に更に赤面した。
     そして、魏無羨の動きを制した藍忘機が信じられない申し出をした。何と彼は「私がやる」と言い出したのだ。しもの魏無羨も怪訝な表情で本当にやるのかと訊ねるが、藍忘機は柳眉を僅かに痙攣させながらも「君は動くな。私がやる」と頑なに繰り返すのだった。
     その言葉に、聶懐桑と門弟たちは今日一番の衝撃に愕然とし、魏無羨は物珍しさに瞳をキラキラと輝かせた。
     勿論、雅正を家訓に掲げる姑蘇藍氏の若君が、幾ら死体とは言え人の下衣を脱がせる訳もなく。避塵の剣気により死体の服を少し割いて、隠された肌を覗かせるようにしただけだった。
     そうして藍忘機が一体ずつ検分してゆくが、然程さほど経たぬうちに彼は「見つけた」と静かに口を開いた。藍忘機の視線の先に皆の視線も集まった。その死体の両腿にはうっすらと横に線が走っており、注視すればその線の上下で皮膚の色も僅かに違って見える。
     何者かの手によって、この死体の両脚が縫いつけられたことは明確だった。「何とおぞましい……」「一体、誰がこんなことを──」門弟たちの口から、次々と嫌悪の言葉が漏れる。
     祭刀堂に納められる死体を誰が選んでいたかという魏無羨の問いに、聶懐桑は自分が選んだこと、しかし五官と四肢が揃っていれば全て引き取ったことを呆然としながらも伝えた。
     これ以上彼から得られる情報は無いと判断したのだろう。魏無羨は手間取りながらも死体から両脚を取り外すと、それを新しい封悪乾坤袋に収めた。
     別れ際、聶懐桑は「それでは、また」と挨拶したが、あの怯えようからして、彼は今生で【また】会うことを望んでいないだろうと魏無羨は苦笑した。座学の頃から、彼は厄介事を避ける性質であったからだ。
     だが、魏無羨が彼を臆病者と思ったことは一度もない。彼は慎重に、物事の本質を見抜く確かな目を持っていたからだ。意外と宗主に向いているのかも知れないと、魏無羨は柔らかな眼差しで彼を見送ったのだった。

     魏無羨は藍忘機と共に宿に戻ると、左腕と両脚を改めて細部まで調べた。肌の色も骨格や筋肉の付き方からも、同一人物から切り取られたものだと思えた。何よりも、三つの部位は並べると共鳴するように震えだしたことから、二人は同じ人物の四肢なのだろうと確証を得るのだった。
     この四肢の持ち主は生前、大柄で筋骨隆々とした修為の高い男性であったと容易に想像出来た。だが、それだけでは持ち主の特定は難しく、状況が好転したとは言い切れなかった。
     それでも、左腕が再び道を指し示したことで、二人が希望を捨てることは無かった。左腕の導きにより、二人は南西──櫟陽に辿り着いたのだった。

     ◇

     櫟陽の町に入ると、情報を得る為に二人は多くの人が行き交う大通りを歩いた。とは言え、魏無羨は藍忘機が引く林檎ちゃんに乗せられたまま。そして、この旅路で度々あった装飾品の贈り物攻撃もなく彼が真っ直ぐに宿を探している様子からも、藍忘機が魏無羨の脚に残る悪詛痕を気にしていることは想像に難く無かった。
     当初、魏無羨は自身の陰の気に対する耐性を過信していたが、金如蘭が左腕の持ち主の両脚の近くに埋められていたことから、かなりの怨念が染み付いていたと身を以て知った。
     案の定、彼は悪詛痕の具合に付いて訊ねてきた為、魏無羨は素直に少しは引いたが完全には消えていないこと。左腕の持ち主の身体を全て揃えるか、少なくとも頭だけでも見つけ出せれば悪詛痕を消す方法が見つかるであろうことを告げた。
     何れにせよ大したことはないと付け足すが、藍忘機は少しとはどれくらいだと更に訊ねてきた。魏無羨はこのくらいだと両手で大きさを示しながら少しは少しだと、何なら此処で脱いで見せようかと言った。
     藍忘機は部屋に戻ってからと抑揚なく応えたが、眉根を寄せたことから魏無羨は彼が本気にしていることを察し楽しげに笑い声を上げたのだった。
     正体を見破られていたことを知って尚、魏無羨はこれまでに彼にしてきた数々の恥知らずな言動を恥じることはなかった。だが、魏無羨と知っていて愛を告げていたことは未だに理解が及んでいない。
     座学で初めて会った時から死ぬまでの間、彼に好かれたことなど一度もなかったのだから。仲良くなりたいとあれこれちょっかいを掛けたことで疎まれ、残念ながら友達にすらなれなかった。今生で漸く友達になれたのだから。
     やはり、彼は莫玄羽を愛しているのではないかと魏無羨は思った。大梵山で再会した時に自分が白塗りだったことを思い出した魏無羨は、藍忘機が莫玄羽だと判らなかったのだろうと踏んだ。
     莫玄羽はこれだけ美しく、莫家で虐げられてもやり返せずにその恨みを献舎で晴らすことに一縷の望みを託すような大人しい女性だったのだろう。如何にも真面目な藍忘機が好みそうではないか。
     魏無羨の魂が収まったことで結丹していなくとも修為は高くなったのだから、藍二公子の妻として迎えるに当たっても都合が良い筈だ。だが、あの藍忘機が見てくれだけで中身がかの無上邪尊夷陵老祖だと知りつつ姑蘇藍氏に迎えるとは、魏無羨にはどうしても思えなかった。
     そもそも、莫玄羽の中身が魏無羨であると、何故判ったのかも謎のままだ。訊ねたところではぐらかされることは目に見えていたため、魏無羨は他の話を振って油断させてから突然訊いてみることにした。
     左腕を莫家に放り込み姑蘇藍氏の弟子たちを襲わせた者と、両脚をわざわざ別の死体に縫い付けて祭刀堂の壁に隠した者が同一かどうか訊ねると、彼は「別の者だ」と明言した。
     彼が自分と同じ考えだったことに満足した魏無羨は満足げに微笑み、謎が益々増えたと言えば、彼は一つずつ解明してゆこうと当然のように返してくれる。それが心強く感じられて、魏無羨は笑みを深めた。

    「うん。でさ、何で俺の正体に気付いたんだ?」
    「自分で考えなさい」

     素っ気なく返されてしまい、魏無羨は目論見が敢えなく失敗したことに肩を落とした。これは手強いと唇を尖らせつつも、魏無羨はめげずに新たな話題を振ったのだった。
     櫟陽に来たことがないことを理由に彼に聞き込みをするように提案すると、彼は何とこの地を管理する仙門世家に訊きに行くと言うものだから、魏無羨は慌てて彼を引き留める羽目になった。
     つい、世渡りに関しては自分が居ないと如何に彼が駄目なのかを得々と語ってしまったが、何故か藍忘機は優しく穏やかな眼差しを此方に向けるだけだった。
     相変わらず口下手で無愛想な男だと心中で楽しげに突っ込みながら、魏無羨は彼に聞き込みの真髄を手解きすることにした。

     ◇

     林檎ちゃんの手綱を引く彼の肩に手のひらを乗せ、嬉々として酒屋通りへと導いてゆく。こういった場所は毎日多くの客が通ることから話題が尽きないこと、変な噂が流れれば雇い人の耳にも必ず入ることなど、ご高説を垂れたのだった。
     藍忘機は大人しく聞いていたが、その顔には「ただ酒が呑みたいだけなのだろう」と解りやすく書いてあった。その通りなのだが、魏無羨は敢えてそれには気付かない振りをして、酒屋通りを奥へと進んで行くよう藍忘機に示した。
     美男美女の組み合わせはただでさえ人目を惹きつける。瞬く間に五、六人の雇い人に囲まれた二人は、彼らに熱心に売り込まれるのだった。その中で魏無羨の気を引いたのは、これを飲み干しても立っていられたら公子の姓を名乗りますと売り込んできた男だった。
     意気揚々と杯を一気に飲み干し、自分の姓を名乗るかと訊ねた魏無羨に、その雇い人は更に売り込みを続けた。一杯ではなく一甕だと。気を良くした魏無羨は三甕もらうと言い、藍忘機は黙って財嚢を取り出した。
     支払いを済ませ店内に入った二人と雇い人は、空いていた卓に着いた。魏無羨は早速酒を呑みながら、雇い人に親しげに話し掛けると直ぐに本題に入った。
     この町で奇妙な事件が起きていないかと問えば、常家一門皆殺し事件というお誂え向きな話題が彼の口から飛び出した。詳しく聞いた話を纏めると、要はこういうことだった。
     この地を管理する仙門世家の常家は、偶々その日出掛けていた宗主を除いて全員が一夜にして謎の死を遂げた。難を逃れた宗主も何か、またら誰かの手により凌遅されて殺された。原因は怒らせてはいけない人の怒りに触れた為で、それは夷陵老祖も関わっているとのことだった。
     櫟陽に訪れたこともなければ凌遅で命を奪った覚えもなく、魏無羨は余りに荒唐無稽な話に説明を求めて藍忘機に視線を向けた。それを待っていたかのように「行くぞ」とだけ告げた藍忘機の意図を正しく汲むと、魏無羨は立ち上がった。
     この短時間ですっかり気安くなった雇い人は無意識なのだろう、魏無羨の肩に手を掛けながら熱心にあれこれ話し掛けてきたが、不意に口を噤むと怖じ気づきながら何故隣の人物が睨んでいるのかと訊ねてきた。
     彼の視線を追えば、立ち上がって此方に背を向けた藍忘機が店を出て行く姿が目に入った。嗚呼、成る程と魏無羨はにんまりと口元に弧を描くと、雇い人に言った。

    「済まないな、俺の許婚は嫉妬深いんだ」

     その言葉に、自分が魏無羨の肩に手を掛けていることに漸く気付いたのだろう。彼は慌てて飛び退いたのだった。すっかり気分を良くした魏無羨は、ここぞとばかりに追い討ちを掛けた。
     一甕飲み干しても立っているだろうと問えば、彼は自分が最初に言った言葉を思い出したようで、魏無羨の姓を訊ねてきた。先ほど彼が言った【魏無銭】を思い出して言い淀んだ魏無羨は、直ぐに平静を装って「藍だ」と告げた。
     それを聞いた雇い人は、今日から藍姓を名乗ることを大きな声で宣言した。耳の良い藍忘機に聞こえていない筈もなく、店外で佇んでいた藍忘機の後ろ姿が一瞬ふらついたように見えて、魏無羨は悪戯が成功したことを確信した。
     藍忘機に追い付いた魏無羨は勘定の礼を述べると、「お礼にさっきの彼にお前の姓を名乗らせたよ」と茶目っ気たっぷりに告げたが、藍忘機は苦虫を噛み潰したような顔をしつつも何も応えなかった。
     その反応に満足しなかった魏無羨は、咄嗟の思い付きで更に言葉を足した。

    「今は許嫁だが何れは藍夫人になるなら、俺の姓でもあるのか」

     その言葉に耳を赤く染めた藍忘機の反応は、今度こそ魏無羨を満足させた。
     ガチガチに固まって動かない藍忘機に絡めた腕を引きながら、上機嫌な魏無羨は町を出て櫟陽常家を目指すのだった。

     《終》
     《続》
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍌
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works