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    @prsk_ruirui

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    司と類の日常。

    お題「素晴らしい教室」
    15分トレーニング 1

    902文字(所要時間約2分)

    ##司類

    天馬司の机は教室の廊下側にある。
     2Aの教室は、それでなくとも階段のすぐ近くにあり、とてもよく見渡せるいい場所だった。

     類は、そのすぐ近くの廊下をひた歩く。
     時刻は午後一時。
     昼休みも終わり、気だるい五時限目が始まろうという時刻だった。

    「類!」

     聞き慣れた大声が聞こえてきた、ような気がした。
     実際は、分厚い壁よろしく張られたガラス越しに声を張られたようで、類の耳に彼の声は聞こえてこない。けれど、ちょうど屋上から降りてきた類が目の前の教室を見やると、その目の前にはこちらを振り向いて、目立つ大げさな動作で手を振りながら、激しい自己主張をしている司の姿があるのだった。

     司は、類の恋人だった。
     つい最近、彼に押し入るように告白されて、類はうっかり承諾してしまったのだった。

     恋人同士になったからと言って、二人の関係性な何一つ変わっていない。
     こうしてお昼の時間だって、相変わらず類は一人で屋上へ行き優雅な時間を過ごしていたし、司だって変わらず、教室の友人たちと健康的な食事をするなり好きにしていたようだった。

     けれど、司はそれでもめげる事はない。
     類が昼終わりにいつも屋上から降りてきて、五限目が終わるぎりぎりに、この1Aの教室横を通る事をしっかり知っているのである。
     だから、今日のように必ず部屋のガラス越しから呼びかけてきて、特に意味もなく、類への謎のアピールをするのである。

     類はくすりと笑う。
     司は、いつもその笑みを見て『にやけている』『何か企んでいるのか?』などと表現してくるのだが、類にとってその笑みは、心の底からの笑みなのである。

     そんな、含み笑いのような笑顔を向けながら、類は司に軽く手を挙げて返事をしてやった。
     何かしらを返してやると、司は満足そうにまた手を振り返し、ゆっくりと席につく。

     類はその様子を目の端で見やりながら、少しだけ、温かい気持ちになった。
     二人の関係性は、今はこのままだ。けれど、それがひどく心地良い。

     ワンダーランズ×ショウタイムで出会ったとしても、この事は二人共何も話さないのだろう。
     しかし、この日常が当たり前に過ぎていくことが、今の自分達の愛情なのだった。
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    はぱまる

    MOURNING昔書いたのを思い出して読み返してみたのですが、これ今から続き書くの無理だな……となったのでここに置いておきます
    後悔 酒は嫌いだ。正気を失うから。ショーに気を狂わせている方がよほど楽しい。
     そう笑う彼の瞳が輝いて見えて、ああ大きな魚を逃したなと思ったのだ。惜しいことをしたと思い知らされたのだ。
     司とは逆に酔う感覚がそれなりに好きな類は口惜しさにアルコールを摂取し、摂取し、摂取し、そこからはもうダメだった。もう一度僕に演出させてほしいと、君の演出家になりたいと、ズルズルと子供のように縋ってしまったのだ。はたまた恋人に捨てられそうな哀れな男にでも見えたろうか。なんにせよ、醜い有様であったことに変わりはない。
     類は知っている。高校生の頃、嫌になるほど共に過ごしてきたため知っている。司は人が好く頼み込まれれば基本的に断れないタチだ。しかも酷く素直で単純で、その気になれば口車に乗せることなど容易い。しかしこの男、どうにも頑固で仕方がないのだ。こうと決めたことは梃子でも曲げない。どんな話術を使おうと泣き落としをしようと首を縦に振らない。そして、司はワンダーランズ×ショウタイムからキッパリと縁を切っていた。
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