まるで物語のように進む僕達の恋は きしむ窓をザラリと開いてやると、閉め切られ、停止していた気配が少しずつ動き出してくる。新鮮な空気だ。司は、そんな様子を慣れた調子で感じつつ、気を良くして何度も深呼吸。そして、腰に手を当てては持ち前の超大デシベルの大声で「帰ってきたぞ!」などと高らかに叫んでみるのであった。
久しぶりの我が家。前に住んでいたのはもう一年以上前にはなるが、やはり自分の家というのは落ち着くというものだ。
浮ついた気分。
そのまま、彼は勢いづいて美しくターンしながら踵を返す。そして、そんな司の奇行をクスクスと笑いながら見つめている、彼の愛おしい人に向き直り「はじめるぞ、類!」と軽やかに声かけるのだった。
「水道とガス、電気は問題なく通っているみたいだよ。部屋はこれから見てくるね」
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