流刑地基本的に放任主義で何をしても怒られないリーバルだったが、アジトの外庭には子供の頃から決して近づいてはならないと言われている大穴があった。
義父のコーガは親切だがそこに近づくと人が変わったように恐ろしく怒る。
リーバルが成長し、恋人を作るようになると付き合う男達が次々と謎の不審死を遂げる。
泣いてアジトに帰ってくると、コーガはいつも優しく慰めてくれた。
リーバルの心の支えはいつしかコーガだけになっていき、自分でも知らぬ間に家族・友人・恋人すべての関係をコーガに求め始める。
そのうちリーバルはコーガが男達を処分しているのではと疑い始める。
言い合いになるがリーバルの心は既にコーガに支配されていた。
ある日決して近づいてはいけないと言われる大穴に、過去の男の遺品が落ちかけて止まっているのを見つける。
突如背後から笑顔を張りつけたようなコーガの「何か見つけたか?」という声。
その恐ろしさにリーバルは竦み上がるが、振り返ってその姿を見ると溢れ出た感情は愛おしさだった。にっこりと笑ったリーバルは 「ううん、なんでもないよ」と言ってコーガの手を取りアジトに戻っていく。
初めてコーガの深淵を覗いた。この歪な男を愛してあげられるのは自分だけなのだという優越感。長年支配されてきたリーバルの頭もコーガと同じところまでおかしくなっていたのだった。
閉幕。
フライヤーの写真は笑顔で薄暗い食卓を囲む2人 その両脇には死体の山
煽り文句は この家族 どこかおかしいーー。
ー終ー
地方の単館で1ヶ月だけ上映してあとは知る人ぞ知るみたいになるやつ。