想いが欲しい『お前が好きだ』
何度この言葉を声に出して、文字にして百之助に伝えただろう。どんなに真剣に告げても、軽く口にしてみても。好きなところを並べてみても。返される言葉はいつも同じだった。
『揶揄うんじゃねぇ』
『たまにしか会わねぇからそんな気がするだけだろ』
『高校生なんか相手にできるわけねぇだろ』
俺が逮捕されてもいいってのか。帰省中に昼寝をする百之助へ半裸になって覆いかぶさったら、そんな事を言われた日もある。こちらを睨みつける目は完全に座っており、その時はさすがに『これはマズいな?』と思ったものだ。
幼馴染みの花沢兄弟。家族ぐるみの付き合いで、長期の休みは互いの別荘に数日間滞在したものだ。平之丞が大学生になり家を空ける事が増えると、音之進だけが花沢家に滞在する事あった。
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