……人間が自然の理に反し、あらゆるものを汚し、破壊したために自然界の怒りを買い、このままでは高天原も中ツ国も共に滅んでしまう。……人間と言う種、それ自体が絶滅してしまう。それを防ぐには、五つの勾玉を集め、自然の怒りの中心でどうにか世界を維持している、天照のもとに向かう必要がある。
王都である、神王宮の城下町で、風の精霊はゲンにそう告げた。
あまりに容赦のない現実。現実感のない絶望。脳裏を、走馬灯のように大切なひとたちが過っていく。
どくん。どくん。……いやに、鼓動が大きく響いた。
滅ぶ。……死ぬ?みんな、消えてしまう?
親しい友人も、家族も、仕事で関わった人たちも、…………も?
……どくん。
一際大きな鼓動に、心臓が凍りついたような錯覚を覚える。
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