False Fairyland◆◆
どこだかわからないマンションの一室で三郎と二人、肩で呼吸をしつつ互いを睨み合っている。
三郎は俺を捕まえたくて、俺はそれから逃げたくて、最終的にはソファーの周りをぐるぐると走っていたのだが、埒が明かずにこうなった。
「いい加減、おとなしく捕まれよ!」
「嫌だね!」
どっちも引く気ねぇから、ずっとこんなだ。
そもそも──。
・・・
目が覚めた時には、見たことのない部屋にいた。
ありがたいんだかなんだか、体はふかふかなベッドの上に転がされていたし、痛むところもない。
手足は自由に動くから、隣で寝ている三郎が起きる前に、この場所について調べようと起き上がる。
部屋は、俺の自室より少し狭いくらいか。アイボリーの壁紙に木製のドア。窓がないから、ブクロにいるのかどうかはわからない。
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