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    さくらい

    @ysakurai19

    さくらい(@ysakurai19)の自主練絵をぽいぽいできたらいいな。

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    さくらい

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    診断メーカー様より。

    ◎さくらい家のじろさぶは「5分間恋人繋ぎしないと、媚薬を飲まされる部屋」に閉じ込められました。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/940400

    #じろさぶ
    JiroSabu

    False Fairyland◆◆

     どこだかわからないマンションの一室で三郎と二人、肩で呼吸をしつつ互いを睨み合っている。
     三郎は俺を捕まえたくて、俺はそれから逃げたくて、最終的にはソファーの周りをぐるぐると走っていたのだが、埒が明かずにこうなった。
    「いい加減、おとなしく捕まれよ!」
    「嫌だね!」
     どっちも引く気ねぇから、ずっとこんなだ。

     そもそも──。

    ・・・

     目が覚めた時には、見たことのない部屋にいた。
     ありがたいんだかなんだか、体はふかふかなベッドの上に転がされていたし、痛むところもない。
     手足は自由に動くから、隣で寝ている三郎が起きる前に、この場所について調べようと起き上がる。
     部屋は、俺の自室より少し狭いくらいか。アイボリーの壁紙に木製のドア。窓がないから、ブクロにいるのかどうかはわからない。
     ベッドは俺と三郎で横になっても狭いと思わなかったから、セミダブルってとこだろう。あまり寝具に使わないのではないかと思うような、真っ赤な掛け布団カバーが目に痛い。
     ベッドの隣にはサイドボードがあり、メモ帳とボールペン、ティッシュが並べてある。
     誰か住んでるのかもしれないと思い、恐る恐るドアを開けてみると、狭い廊下に部屋の前は壁。左手に玄関。
     人の気配がないから、玄関に行き冷たいノブに手をかけるけれどガチャガチャと鳴るだけで開かない。普通なら、ドアノブ付近に鍵があるんじゃねぇのかよ。そう思って、隅から隅まで探すけれど、それらしきものはついてなかった。
    「出られねぇのか…。」
     仕方ないから反対方向へ行く。目覚めた部屋を通り過ぎて左側がトイレ、風呂。正面には木製のドア。それを開けるとリビングがあった。
     緑色のソファー、大きなテレビ。キッチンもある。
    「また窓がねぇ。」
     結局、どこにいるか検討もつけられないままでいると、三郎が起きてきた。
    「じろう、ここ…。」
    「わかんねぇな。さすがに壁は壊せねぇしよ。」
    「すぐ破壊行動を取ろうとするなよ、低能。」
    「るっせ。早く出たいだろ、こんなとこ。」
     だいたい今日は、こいつと二人きりで過ごせるチャンスだったのに。いや、今も二人きりってことに変わりはねぇけど。
     その時、勝手にテレビの電源が入り、ザザッとノイズの音がする。思わず悲鳴を上げて三郎にしがみつけば、「だっさー」と笑われた。
     現れたのは、真っ黒な画面に白い文字。

    ──五分間恋人繋ぎをするか、媚薬を飲むか──

    ・・・

    「なんで簡単な方法を取ろうとしないんだよ! 五分間手を繋いでいれば出られる可能性があるってことだろ!」
    「嫌だ。これ飲んだ三郎が見てぇ。」
    「変態か、お前は!」
    「健全な男子高校生だ!」
     あの画面のあと媚薬の位置が表示されたから疑いつつも確認すると、映し出されたものと同じソフトカプセルのシートがあった。
     今、俺の手にあるものが本物の媚薬かどうかまではわからねぇが、これ飲んでいつもより乱れた三郎が見たいと思ったっていいだろ。
    「じろにぃ…。」
    「うっ…!」
     こっの……。俺がその上目遣いに弱いことを知っててやるんだ、こいつは。
     アザトいって思ったって、わかってたって、かわいいもんはかわいいんだよ。
    「わかった。俺の負け。」
     降参の意を示すために両手を挙げてソファーにどさりと腰を下ろすと、えへへっと笑って隣に座った。
    「ここから出るためだからな。ほら。」
     ツンツンした態度で右手をひらひらと見せてくるから、それを取って指を絡める。
     すると、テレビ画面にタイマーが表示された。
    「~~~~~っ⁉ いちいち、おっかねぇな!」
    「あははっ! さすが低能。同じことで何度も驚けるなんて、ある意味羨ましいよ。」
    「うるせぇわ! もうちょっとかわいければ、こっちだって初めから手を繋ぐ方を選んでやったってのに。」
    「……かわいくない?」
     俺の肩に三郎の頭が遠慮がちにコツリと乗っかる。
     すげぇ、かわいい。めちゃくちゃ、かわいい。
    「なんてな。別に、お前に可愛いだなんて思われなくたっていいんだよ。」
    「……そう言うと思ってたけどよ。」
     くっそ。少し絆されてやってもいいかって思ったのに。
     面白くなくて手にしたシート上から黄色いカプセルを親指でパチパチ弾く。
     それにしても、こんな小さな粒にニンゲンが興奮するだけの薬が入ってんのかよ。
     世の中ってすげぇな。マジで。
    「あと一分か。意外と早かったな。」
    「さぶろう。」
    「なんだ…んっ⁉」
     繋いだ手を離して華奢な体を抱く。逃げらんねぇように後ろ頭を押さえて唇を塞ぐと、背中をどんどんと拳で殴ってくるが、そんなモン痛くも痒くもねぇ。
    「んーっ! んっ…んんっ!」
     ソフトカプセルを口の中で噛んで中の液体を出し、それを唾液と一緒に三郎に流し込む。
     ゴクリと喉が鳴るが、俺の舌に残る甘ったるい味も全部くれてやるつもりで丁寧に短い舌と擦り合わせると背中を叩いていた手が止まり、ふにゃりと腕の中で脱力した。
    「ばかっ…。」
    「少し、じろにぃと遊んでいこ…?」

    ── To be continued …… ? ──
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