挨拶という魔法 三日後に神獣繰りの試練を控え、私達は城で姫様とプルアさんから試練の概要を聞かされた。
――いよいよルッタが目覚める。
あの可愛らしい神獣が動く様子を想像するだけで胸がドキドキして、その日の夜は中々寝付けなかった。
「だめだ…全然眠れない」
少しだけ外を散歩でもしようかと思い立ち、宛てがわれた部屋を抜け出す。
静かな長い廊下を抜け、この間ウツシエを撮った中庭にたどり着いた。
「あれ……?」
いつかのあずまや近くまで来た時、見知った後ろ姿が視界に入った。
「こんばんは、リーバル」
「……なんだ、君か」
こちらを振り向いた翡翠の瞳には篝火の赤が差し色のように入り込んでいた。
リト族って鳥目で夜目は利かないって教わったのだけど大丈夫なのだろうか。お城(ここ)は外も夜警の兵士の為に篝火が焚かれているから、夜でも出歩けるのかもしれない。
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