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    rara_wcat

    SS進捗や二次短歌の下書きのスクショなどの置き場。絵は殆どないし下手絵だけです。

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    rara_wcat

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    ウルボザとリーバルが喋ってるだけのお話。ちょっとだけDLCのネタバレ有り

    ##SS

    神獣の一撃を放つ時のポーズにこだわるリーバル君の話「なぁ……あんたさ、神獣の一撃を厄災に食らわす時、どうするの?」

     いつかの英傑同士の会合後、リトの英傑が変な事を聞いてきたことがあった。

    「どうって……そりゃ、こう雷を放つ時みたいに指を鳴らして」
    「右手か、右手だね」

     右手を振り上げて指を鳴らすフリをすると、リーバルは私が答え終わる前にまた変な確認してくる。

    「そうだけど……一体どうしたんだい?」
    「…………」

     どことなく焦ってるようにも見えるが、今度は何を気にしているのやら。
     悪い奴じゃないとは思うのだが、リンクとのリトの村での一件から見ても如何せん若いのに気難し過ぎるのではと最近常々思う。

    「土壇場になって左手でやったりなんて事……しないよね」
    「…………」

     何となく、このリトの青年の今気にかけている事が分かってしまった。

    (まさか神獣を繰る時のポーズにまで拘るなんてねぇ…)

     いつも大人ぶっているが、リーバルはごくたまにどこか子どもっぽい所を覗かせる。
     叙任式の日に皆でウツシエを撮ろうとした際、私とポーズが被りかけたのが余程嫌だったのだろう。あの時目の端でこの英傑が小さく舌打ちしながら組んだ腕を下ろしているのが見えて、密かに吹き出しかけたのが懐かしい。

    (ま、その後もっと面白いものを見せてもらったが…)

     その事に触れてやらないのも大人の務めかもしれない。

    「しないしない。私はアンタと違って器用じゃないからさ」

     ひらひらと手を仰ぎ、そんな気一切ないとアピールする。

    「……今の言葉、覚えておくからね」

     私の返事にとりあえず納得したのかリーバルは英傑の間を去ろうとする。

    「あぁでも……」

     少しだけイタズラ心が湧いて、青いヴァードの背中を呼び止めた。
     僅かに振り向いた群青によく馴染んだ風の神獣のスカーフがふわりと揺れる。

    「アンタが素直じゃない事ばかりしてたら、悲しくて被っちまうかもねぇ」
    「!?」
    「……フン、ゲルドの族長サマは勘が良過ぎてホント腹立つね」
    「褒め言葉として受け取っとくよ」

     笑顔でウィンクしてやれば、リーバルは余計嫌そうに舌打ちしていた。

    「チッ……これだから嫌いなんだよあんたは…っ…!」

     リーバルは吐き捨てるようにそう言って、本丸からタバンタの方角にあっという間に飛び立っていた。


     ◇ ◇


    「ふふっ…あいつはやっぱりからかうと面白い」

     リトの戦士が落としていった青い羽根を拾いあげながら、一人ごちる。
     あと十年もすれば、今の刺々しさも抜けてもっと良いヴォーイ…もとい良い戦士になるだろう。

    「その姿を見れるかはまだ分からないけど……」

     誰一人欠けること無くガノンとの決戦を乗り越えて、いつか皆が酒を飲めるようになったらあんな事もあったねと思い出話に花を咲かせられる日が来ることを祈るばかりだ。

    (でも、もし出来なかったら…)

     厄災の討伐に失敗すればその未来も潰えてしまう。
     私やダルケルはまだ良いが、他の三人はまだ若い。そんな事、絶対にあってはならない。

    「ま、そうならないように私も気合い入れるかね」

     リトの英傑が飛び立ったタバンタの方角を見つめながら、そう呟いた。
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    DONE■レオマレ■診断
    ベッタ再録
    ■片思いレオマレにしてみた。
    ↓診断結果
    もなかのれおまれさんには「終わりが見えない」で始まって、「君の名前を呼んだ」で終わる物語を書いて欲しいです。季節を感じる話だと嬉しいです。
    #書き出しと終わり #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/828102
    終わりが見えない。
    嫌われているのに、これ以上相手に嫌われるのは・・・・。
    いつからこの思いが自分の胸を甘い痛みとなって身体を蝕んでいるのかもう忘れた。
    自覚なんてしたくなかった。こんなに苦しいなら。
    諦めようと何度もひと目がつかない場所で、静かに涙を流してしまうというのに。
    「それも青春のひとつじゃ」
    リリアに相談したが、楽しそうに微笑まれて何も解決もしなかった。

    月夜が学園に振り注ぐ。
    マレウスは日課である廃墟巡りに向かうため、寮をこっそりと抜け出した。
    静寂に包まれた目的の廃墟までの道のりで、今日も一人物思いに耽る。
    今日こそは、歪み合わずに話をしようと決めていたのに駄目だった。
    どうやったら、普通に話すことが出来るのか。ほんの少しでいいから歪み合わずに話すことはできないか。
    そんな考えが頭を駆け巡り、答えがなかなか出てこない。簡単に相談出来る内容でもない。
    ひとりで考えても答えが出ないとわかっている。気軽に相談出来る友がいないのであれば、相談することも難しいだろう。
    悩んでいるマレウスを嘲笑うかのように、月の光は闇夜を照らす。
    溜息を一つ零すと、目的の廃墟まで向かっていた足が 1215