あの子と僕/吹雪[リバミファ]「ミファー……」
僕の家には僕だけが残された。
部屋に置いてある何もかもが僕を冷ややかに見てるように思えた。
「追いかける? いや、でも…」
あれこれ思案している内に、急に天気が崩れてきてあっという間に吹雪となっていた。
「あのゾーラの嬢ちゃん、足元覚束ない感じだったが大丈夫なのか?」
心配した村の連中が僕にそんな事を言ってくる。
まだそこまで遠くには行ってないはず。
「仕方がない……」
ミファーを探す為、吹雪のなか村を飛び出した。
◇
ミファーは村からやや離れた場所で倒れていた。近くの山小屋に連れてきた時、彼女の意識は既になかった。
「軽めだけど低体温症だ。このままじゃミファーは……」
悩む時間は残されていない。
「絶対に死なせない…!」
鎧と服を脱ぎ、生まれたままの姿で意識の失ったミファーを抱きしめた。山小屋の古いベッドがギシリと鳴る。
この際このまま振られても良い。だけどどうにかミファーには助かってほしい。
リト族の体温は他の種族よりもうんと高い。軽めの低体温症ならこれでなんとかなるはずだ。
全身で触れるお姫様の体はひどく冷たくて、そして柔らかかった。
ただひたすら、意識が戻ることだけを祈って彼女の頭をかき抱いた。