イザナミの諦観「おかえり、恵。ご飯もうすぐできるけど食べてくでしょ」
扉を開けるとそこには五条悟が仁王立ちをしていた。伏黒が口を開く前に、さも当然かのように伏黒の手を引き、室内へと連れ込む。靴をまだ脱いでいなかった伏黒は、慌てて靴を脱ぎ捨て眉間にシワを寄せたが、すぐに穏やかな表情へと戻った。
「久しぶりですね。アンタが飯作って待ってるなんて」
「最近会えてなかったからね。どう?最近。元気してた?」
伏黒の手を引く五条の表情は、伏黒には見えない。
「まぁまぁですね。それより俺はアンタの方が心配でしたけどね。会えない恋人より、会える昔の恋人かと。とっくに忘れられたもんだと思ってました」
五条もまた伏黒の表情は見えないまま、たどり着いたダイニングテーブルの席へと伏黒を強制的に座らせた。
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