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    konose_ju

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    konose_ju

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    ポイピク実験。
    スレの祓本たちです。
    ※五がちょっと体調悪そうです。

    #夏五
    GeGo

    ドタバタと騒がしい足音に、夏油はふと目を開ける。
    ぼんやりと意識が覚醒してくると、途端に主張してくる朝日、アラーム音、寒さ、喉の乾き、エトセトラ…。それらに観念して身体を起こすと、布団まで剥ぎ取られていてつま先はすっかり冷たくなっていた。時刻は朝九時過ぎ、休日の起床時間としては及第点だろう。ブレイクしてから今やテレビに引っ張りだこの祓ったれ本舗だったが、今日は久々の全休だ。昨日どこかに遊びにでも行こうかなどと話していたから、悟の奴が張り切っているんだろうなと当たりをつけつつ夏油がリビングに入ると、予想通りテンションの高い五条がそれを迎えた。

    「やっと起きたな!今から掃除機で顔吸いに行こうと思ってたんだぞ!」

    「あぶな…」

    「朝飯作った!食え!そんで遊びに行くぞ!」

    顔面の無事を噛み締めつつ食卓につく夏油の、ありがとうという言葉は途切れ、中途半端に放られる。理由は明白、目の前の豪勢すぎる朝食のせいだ。炊き込みご飯にだし巻き卵、焼鮭に味噌汁におひたしと、ここまではいい。朝から炊き込みご飯なんて手が込んでるな、くらいだ。
    けれど更に揚げだし豆腐に茶碗蒸し、トースト、クロワッサン、ベーコンとソーセージ、パスタサラダ、カットフルーツにヨーグルト、なんかよくわからないけどお洒落そうな料理などなど…。和洋折衷大量の皿が所狭しと並べられていて、どこかの料理店の宣材写真みたくなっている。並べられた箸は一膳だが、どう考えても一人分の量じゃない。
    唖然としていた夏油だったが、未だパタパタと忙しなく部屋を行き来している五条の様子にある可能性が思い当たった。スマホを操作し、彼と共に過ごすようになってからインストールしたアプリを確認してため息をひとつ。すぐに五条を捕まえてキッパリ問いただす。

    「悟、体調悪いだろ」

    突きつけられた画面に表示されているのは気圧の変化を知らせるアプリだ。右肩下がりのグラフと警戒の赤文字に、五条はあからさまにバツが悪そうに端正な顔を歪めた。

    「この前の誓約書を忘れたのか?」

    「申告とは書いてなかった。隠蔽はしてないだろ」

    「まったく…」

    目を背け、口を尖らせ、いかにも拗ねてますといった顔をする五条から手から布巾を取り上げソファへと誘導してやると、最初は渋々といった様子だったがすぐにその身体を深く背もたれへ沈ませた。緊張の糸が切れたようだった。一度止まると動けなくなりそうで嫌だ、とは日頃からの彼の言い分だが、夏油からすれば困った悪癖だ。今日も例に漏れず、自らの不調から目を背けるために朝から動き回っていたのだろう。その結果があの豪勢すぎる朝食だ。

    「吐き気は?」

    「ない。頭痛いだけ。」

    「薬は飲んだ?まだなら」

    「イヤだ。眠くなるから絶対飲まない。くそ、なんで今日に限ってさぁ、あーもう、ほんとムカつく」

    子供のような仕草でそっぽを向いてしまった五条に、夏油は眉を下げ微笑んだ。愚痴を連ねるその饒舌さが彼のやるせない気持ちを物語っていて、堪らなくなる。たった一日の休日の為に、自分の為だけに、こんなにも健気に振る舞う彼が愛おしくないなんて、そんなはずはないだろう。夏油は床に膝をつき、少し冷たい五条の手をあやすように握る。

    「何時から起きてたの?」

    「…6時前。暇すぎて洗濯も掃除も全部やった」

    「それじゃあ今日はもう怠惰に過ごそうよ。あんなに量があれば夕飯にも困らないだろうし。」

    夏油がこうも穏やかに笑う時、五条はいつも少しだけいたたまれなくなってしまうのだ。そんな顔をさせているのが自分自身だなんて思いもせずに。指先に伝わる夏油の熱が、虚勢を溶かしていくような感覚がした。ごめん…と、小さく零すと、夏油はそれを笑い飛ばし、頬に優しく触れてさらに大きな熱で五条を包み込む。

    「なんで謝るんだ。悟が楽しくないならなんの意味もないよ」

    「…傑と一緒ならなんだって楽しい」

    「じゃあ少し眠ったあと、ゆっくり話でもしていようよ」

    家事、たくさん頑張ってくれてありがとうね。なんて言われて頭を撫でられてしまったら、もうその胸元に飛び込んで情けなく緩んだ顔を隠すしかなかった。











    「なんか、昔を思い出すなぁ」

    二人で少しだけ朝食を食べて、薬を飲んだ五条がベッドに入ると、そばに腰掛けた夏油がそう呟く。昔とは夏油と五条が同居を始めてすぐのことで、一番初めの小さなボロアパートを見た時の、ここで暮らすの?この物置部屋で?などと言い放った五条の憮然たる面持ちは今でもよく覚えていた。

    「昔ぃ?なんで」

    「悟がさ、酷い熱を出したことがあっただろ」

    きっと、環境や生活の質が一気に変化したせいだろう。五条が高熱を出して寝込んだ時があった。隙間風の通る部屋で、ペラペラの布団のなか魘される彼の様子は今思い出しても少しゾッとさせられる程に、夏油の脳に苦い思い出として刻まれている。
    五条はそんな昔話にケラケラ笑っているが、夏油には罪悪感すらあったのだ。なにか美しい存在を俗世に引き摺り降ろしてしまったような、天使から羽を捥ぎとったような、そんな感覚。それくらい、彼の白い髪も青い目も、黄ばんだ壁やくすんだ床には不釣り合いだった。それでも五条はその頃から上だけを見て、昂然と高みへと突き進んでいた。それはつまり、彼の悪癖は昔から、という意味でもあるけれど。

    「人間の脳には限界があるんだからな」

    「そーだな…へへ」

    普段はこんな風に正論でもって窘めると辟易と顔を歪めるはずなのに何故だか嬉しそうな五条を怪訝に思いつつも、「今は良いベッドが買えるようになってよかったよ」と夏油が一息つくと、未だ弾んだ声色のまま五条が異議を申し立ててくる。

    「俺は昔の部屋も好きだったけどな」

    「なんで、物置部屋とか言ってただろ」

    五条はそりゃまぁ…と前置きをしてから、狭いし汚いし建付け悪いし隙間風寒いし隣の部屋の喘ぎ声はうるさいし…と、今更好きだと覆すには難しいんじゃないかと思うほど容赦なく文句を付けていき、けれど屈託なく笑った。

    「布団、傑と隣だったし。寒いって言えば入ってきてくれたから」

    「………別に今だって入ってあげるけど」

    思わぬ台詞に面食らってからしっかり三秒後。何とか絞り出した固い声と無愛想な返しに五条が大笑いするので、夏油はもうどうにでもなれとふわふわの羽毛布団ごと彼を抱きしめた。
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    konose_ju

    DONEポイピク実験。
    スレの祓本たちです。
    ※五がちょっと体調悪そうです。
    ドタバタと騒がしい足音に、夏油はふと目を開ける。
    ぼんやりと意識が覚醒してくると、途端に主張してくる朝日、アラーム音、寒さ、喉の乾き、エトセトラ…。それらに観念して身体を起こすと、布団まで剥ぎ取られていてつま先はすっかり冷たくなっていた。時刻は朝九時過ぎ、休日の起床時間としては及第点だろう。ブレイクしてから今やテレビに引っ張りだこの祓ったれ本舗だったが、今日は久々の全休だ。昨日どこかに遊びにでも行こうかなどと話していたから、悟の奴が張り切っているんだろうなと当たりをつけつつ夏油がリビングに入ると、予想通りテンションの高い五条がそれを迎えた。

    「やっと起きたな!今から掃除機で顔吸いに行こうと思ってたんだぞ!」

    「あぶな…」

    「朝飯作った!食え!そんで遊びに行くぞ!」

    顔面の無事を噛み締めつつ食卓につく夏油の、ありがとうという言葉は途切れ、中途半端に放られる。理由は明白、目の前の豪勢すぎる朝食のせいだ。炊き込みご飯にだし巻き卵、焼鮭に味噌汁におひたしと、ここまではいい。朝から炊き込みご飯なんて手が込んでるな、くらいだ。
    けれど更に揚げだし豆腐に茶碗蒸し、トースト、クロワッサン、ベー 2645

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