座薬と、嘘つきと、肘鉄 熱があるしなかなか下がらなくて食べられなくて元気はない。だから体力は谷底状態だし、そのわりにまた汗をかいてて気持ち悪かった。
なのに、だ。
「おい。君何してる?」
「んー?」
バレバレの聞こえないふりをしてる恋人。昨日から甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのはいい。消化の良い食事を作ってくれて、シーツを変えて洗濯までしてくれて。
「あかざ、こら、」
だが寝汗でベタついた服を取り替えてくれ、なんて一言も頼んでない。寝ている背後から近づいてうっかり下のスウェットなんか下ろされたら、流石に病人の杏寿郎も抵抗した。下着までずり下げようとした手を止めようとしたけれど、熱で力の抜けた体では役に立たなかった。
「何も悪さはしないさ」
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