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    Kuoniori0903

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    いつ書いたかもわかんないやつ。脳内プロットすら紛失した

    #炭善
    TanZen

    別れのスケルツォ多分、もうお互い限界だったんだと思う。親友の延長線上で、真面目という自覚のある自分にしては意外な話だが、付き合ったのは流れのようなものだった。お互いの親族以外の誰にも言ってなかったから、近所の人なんかがお見合い写真を渡してくることも多々あったし、断りをいれれば「良い年になってきたんだからそろそろ結婚しないと、お家のこともあるでしょう?兄弟が多いって言ったって、炭治郎ちゃんが長男じゃないの。そろそろお母さんを安心させてあげなさいよ」なんて、なんて事のないように言われて。そんなのが日常茶飯事だった。自分は好きだけれど、相手は愛情を頻繁に伝えてくるような人間ではなかったから、一方通行の思いなんて安っぽいラブソングでやけに心が痛んだ。
    2人で町中を歩けば大学の友人が声をかけてきて、一緒に合コンに行こうだの、そろそろ彼女作れだの、そこの友達も一緒にどうだとか言ってくる。行ったことは一度としてなかったけれど、友達とわかれた後の彼の顔はいつも悩んでいるような、泣きそうな、そんな顔だった。
    別れ話が最初に出てから、一週間も経たない内に俺たちの関係は終わりにすることになった。丁度善逸も就職をして、離れた土地に向かうことになったからだ。遠距離恋愛は辛いと聞くし、もう本当に、潮時だったんだと思う。
    「バイバイ」
    別れの挨拶はいつもと同じで、彼はこのまま引っ越し先に向かうからと駅で手を振った。彼の乗った電車が少しずつ遠ざかっていくけれど、悲しさや名残惜しさなんてものは頭になかった。今日は日曜日だ。明日からはまた日常が始まる。だから俺は、電車が見えなくなるのも待たずに家へと向かった。

    「ただいま!」
    「おかえり、お兄ちゃん」
    俺が家に帰ってきても、禰豆子はいつも通りの笑顔を見せていた。それもそうだろう。善逸に無意識だろうが大層懐いていた彼女には、俺たちが別れたことをまだ言っていないから。禰豆子だけじゃない。うちの家族の誰にも、まだ言えていない。自分でもなぜだかはよく分からないのだが、なんとなく言葉にするのが躊躇われていた。だから俺が今日、最後の書類だの善逸の部屋にいくらか置いていた荷物だのを整理するために彼に会っていたのも、恐らくはいつも通りにデートをしていたと思われている可能性が高い。だが、俺と善逸の関係は決してそんな甘酸っぱいものではなくなっている。総じて勘の鋭い女性陣にはそのうち指摘されるかもしれないと思っていたのだが、結局この1週間何も言われることはなかった。身構えていた身としては少し拍子抜けしてしまったが、大事なことなのだから気づかれるのではなく、自分から伝えたいと思っていたのもまた事実なので、ある意味僥倖だったのかもしれない。
    男同士という少々、いや、大分イレギュラーな関係だった俺たちだけど、5年というそこらのカップルよりも長い時間を一緒にいられたのはきっと家族の優しさも大きかったのだと思う。普通ならば嫌悪されてもおかしくないのに、俺の自慢の家族は心から受け入れてくれた。忌避されることを全く心配していなかったと言えば嘘になるが、心の広い彼らのことを信じていたから、それが事実であることが嬉しかった。
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