奥様は18歳(仮)見渡す限りの青い山並み。東京とは名ばかりの、地元の人でも滅多なことでは近付くことがないほど山奥。公道から一本外れた先に石造りの古めかしい階段があって、数十余段を上り切ると厳かな大鳥居が待っている。苔の生い茂る石灯籠がずらりと並んだ、長い参道のその先に神社の拝殿を模した東京都立呪術専門高等学校はあった。宗教系の私立校を装っているが、千余年の間、連綿と暗躍を続いている呪術界の最高教育機関であり、要のひとつである。
見渡す限りが呪術高専の敷地だという広大な土地に神社仏閣を模した建物がひとつどころではなくいくつも乱立している。まるで神社仏閣のバーゲンセールのようだが、その半分は張りぼてだということはあまり知られていない。大事な呪具や呪物をしまっている忌庫や武道館の他、使われているのはたった十数人の為の校舎と寮、それから高専を拠点に活動する呪術師の居住スペースぐらいだった。
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