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    jooo_taros

    @jooo_taros

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    jooo_taros

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    高専五七。初えっち後のそれからの話。短いです。

    紆余曲折ありつつも五条と付き合いはじめてから半年近く経った。五条とはじめて身体を重ねてからは特に大きな喧嘩をすることもなく(くだらない小さな喧嘩はする)、お付き合いは順調である。
    順調ではある。
    順調ではあるが。
    「ななみ、えっちしよ?」
    五条の部屋で、二人で過ごしている時だった。
    ちゅ、と首筋に吸い付いてくる五条は、一応お伺いは立ててくるものの七海の返事なんて聞いちゃいない。そのままベッドに押し倒されて、あれよこれよという間に全裸にされて、気づいた時にはもうとろとろにされてしまう。
    クリスマスの夜にはじめて身体を重ねて以降、五条はずっとこんな調子だ。二人で過ごす時間はほぼセックス。この間なんて最悪だった。二人揃って一日任務がなかったため、七海は久しぶりに五条とデートができると楽しみにしていたのに、五条が離してくれなくて結局前日の夜から翌日の夕方までずっとベッドで過ごす羽目になった。機嫌を損ねた七海に五条がしこたま有名ベーカリーを駆け回ってさまざまなパンを買ってきてくれたため仲直りしたが、せっかくの貴重な休日が台無しになった。
    (まさか、身体目当て……)
    そこまで考えて、いやいやと頭の中で否定する。
    五条とは付き合ってからセックスをするまでに随分時間がかかったし、自分は男だ。身体目当てで付き合うなら、女性の方が絶対いい。五条なら引く手数多だろうし、身体だけでも繋がりを求める女性はいくらでもいると思う。
    七海だって五条と身体を繋げることは嫌いじゃない。むしろ好きだ。でも、もう少し加減して欲しい。最近は二人で過ごす時間はセックスをしてばかりでゆっくりと話もしていない。身体の繋がりだけではなく、心の繋がりも大事にしたいと思うのは、七海だけなのだろうか。
    「ななみ〜今日も最高に可愛かった。なぁ、七海も気持ち良かった?」
    「はあ、まあ、はい。そうですね…」
    セックスを終えたあと、べたべたと甘えてくる五条を腕に抱えて七海はため息を吐く。なんだかんだと言いながら結局七海も五条に流されてセックスに応じてしまうので、我ながらチョロいよなと思う。しかし、普段の暴君ぶりはなりを潜め、まるで猫のように擦り寄って甘えてくる五条は可愛い。自分の見た目を最大限に理解したうえでやっているのだからタチが悪いとは思うが。
    「ななみ〜」
    「なんですか?もう一回は無理ですよ」
    甘えた声で名前を呼んでくるときは、大体二回戦にもつれ込みたい時だった。明日も任務なのだ。これ以上は無理だ。断固として拒否の姿勢を取る七海に五条はちげーし!と声を荒げる。
    「そうじゃなくて」
    「?」
    「……これやる」
    ぶっきらぼうに言った五条が七海に差し出したのは食パンの形をしたマスコットだった。ころん、と手のひらに落ちてきたそれを受け取って、はっとする。
    「なんですか、これ」
    「ゲーセンで取った」
    「いや、そうじゃなくて。この鍵…なんですか」
    食パンのぬいぐるみについたボールチェーンの先にくっついている鍵の形には見覚えがあった。何故なら似たような鍵を七海自身持っているからだ。
    「俺の部屋の鍵」
    「なんで…」
    やっぱりだった。突然前触れもなく渡された合鍵を持て余す七海に、五条は早口で続けた。
    「これからはさ〜、いつでも俺の部屋来ていいから。俺がいないときに来ていいし!むしろ待っててくれたら嬉しいってゆーか…」
    「……はぁ。多分あんまり使わないと思いますけど…」
    「はあ?なんでだよ!使えよ!」
    むっとする五条に七海は当たり前でしょう、と続ける。
    「アナタがいない時にアナタのいない部屋に入るなんてできませんよ」
    付き合っているとはいえ、他人の部屋だ。五条の部屋自体には何度も出入りしているが、本人が不在の際に部屋に入るなんてできない。しかし、五条はやはり納得できないようだった。
    「俺は全然気にしないけど…卒業したらどうせ一緒に住むんだし、関係なくね?」
    「ど、同棲するって…アナタが勝手に言ってるだけで、私はまだ了承してません!」
    「卒業までにぜってぇ七海の口から同棲するって言わせるし!いいんだよ!」
    五条の中では卒業後に七海と一緒に暮らすことは既に決定事項らしい。確かに同じ部屋に住むなら同じ部屋の鍵を持っているのは当たり前だ。卒業後のことなんてまだわからないのに。どんなに卑屈に考えても、七海の身体だけを目当てにしているとは思えない五条の態度に一気に脱力した。
    「……なんか、悩んでるのが馬鹿らしくなってきました」
    「え、なに。なんか悩んでんの?」
    「なんでもないです。もう解決しました」
    「なになに?なんだよ、教えろよ」
    「もう疲れたから寝ます。おやすみなさい」
    しつこく聞かれるが、絶対に教えてやるわけにはいかない。七海はぴしゃりと言い切ると、シーツを手繰り寄せて目を閉じる。疲れていたのは本当なので、目を閉じると一気に眠気が襲ってきた。うつらうつらと微睡む七海に、五条もさすがに諦めたのかおとなしくなる。
    「おやすみ、ななみ」
    頭のてっぺんにキスをされて、ぎゅう、と抱きしめられる。胸元に顔を寄せると五条の心臓が音が聞こえて、七海は幸せいっぱいのまま眠りに就いた。


    おわり
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