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    ばったもん

    ワヒロと浅桐さんと戸浅が好きです。

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    ばったもん

    MOURNING本になる予定だった頼矢
    卒業後のお話の冒頭シーン
    この後、頼城グループの競合相手がいろいろと悪い手を使ってきたりして
    いつもはばっくれる矢後さんが珍しくパーティの護衛に顔を出したら案の定、頼城さんを狙った連中とバトルになって
    二人で共闘するという壮大な話しになる予定でしたが、頼矢部分が納得いかず断念

    さぼり常習の矢後さんが素直に護衛の仕事に来る時は危険度Maxっていう設定を書きたかった
    「お前の事だ。ろくに進路など考えてはいるまい。卒業後は、俺の元で働くが良い」
     いつもの様に何処から滲み出るのか解らない自信で頼城紫暮が言い放つ。その言葉半ばで矢後勇成はくるりと踵を返した。
    「無視する気か? 不良。全く予想通りの反応だな。だが、昼寝はし放題で、仕事内容は強い奴と戦う事。と聞けばいくらお前でも……」
     さっさと立ち去ろうとしていた勇成の足が止まる。肩越しに振り返ったその表情を見て紫暮はやれやれと息を吐く。
    「……話しを聞く気になった様だな」

     勇成に与えられた肩書は、紫暮のボディガードだった。そもそも紫暮にボディガードなど不要にも思えるが、即座に対応出来ない場合も多いのだと、簡単に説明された。
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    PROGRESS【始まりの春】第三話
    (2021.05.16)
     崖縁工業名物の大量宿題と格闘していた宗一郎は、ペンを置いて大きく伸びをした。
     時計を見ると、あと一時間と少しで今日という日が終わろうとしている。そろそろ寝ようと参考書やプリントを片付けていると、着信を知らせるメロディが控えめに流れ始めた。
     手に取って相手を確認すると父だった。学校が始まってから、一度電話が有って様子を聞かれたが、そのときからまだ半月も経っていない。宗一郎は何かあったのかと少し緊張して通話ボタンを押した。
    「はい。宗一郎です」
     電話の向こうではTVの音らしき雑音が聞こえていた。

    『……ねぇ、慶二郎さん。これ、どうしたらいいの?? え? どのボタン? 受話器のマークが二つあるの』
    『ん? もう通話ボタンは押してあるよ? 呼び出し音が鳴ってるはずだが……』
    『え? そうなの? …… やだ。……ねぇ。何も聞こえないわよ?』
    『見せてごらん。……ん? もう繋がっているな』

     そんなやりとりが遠くに聞こえて口元が緩む。宗一郎の母は携帯電話を所持していない。本人は専業主婦なので家の固定電話だけで不自由は無いと言うが、この手のガジェットにはめっぽう弱いというのも一因だと宗一 7954

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    PROGRESS【始まりの春】第二話
    (2021.04.11)
    モルタルを丁寧に重ね、ブロックを積み鉄筋を横に組んでまたモルタルを重ねてブロックを積む。
     宗一郎としてはあまり器用ではないという自覚はあるので、できるだけ丁寧な仕事を心がけるしかない。
     家主である品の良い老婦人に見守られ、宗一郎が老婦人宅の壊れたブロック塀を補修しているのは、登校途中に出会った浅桐に、ヒーロー活動へ行くとそのまま連れてこられたからだ。
     昨日戦闘のあった地区では、住民達がイーターに壊された塀や庭、道路などの復旧作業をしていたが、驚いたことに作業をしている大半が職人では無く近隣住民だった。しかも作業に出ている住民はご高齢で瓦礫を除けるだけでも難儀している様だった。
    「職人が足りねぇんだよ。毎日の様にどっかしらイーターが壊しちまうからな。どうしてもライフラインや主要施設優先で個人宅ってのは後回しになるもんだ」
     浅桐にしっかり働けよと背を押され、住民の皆さんに若い労働力と大歓迎されたのが一時間ほど前の事。そして宗一郎は今、浅桐が「チヨ婆ぁ」と呼ぶ老婦人宅の庭で新しいブロック塀を積んでいる。
     こうして黙々とブロックを積んでいると、どうしても頭の隅に昨日浅桐に言われたこと 7625

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    PROGRESS【始まりの春】第一話
     今ではツーカー(古)な戸上さんと浅桐さんも、入学したての一年生の時には上手く連携出来なかったりしたのかなという妄想です。
    (2021.03.28)
    桜が舞う。
     満開の桜道の下、学び舎の門をくぐる若者達に今年もまた幼さの残る顔立ちが混じる季節になった。
     柔らかな春の日差しの中をはらはらと降り注ぐ薄紅の一片が、真新しい制服の肩へと舞い落ちる。
     桜が咲き誇る校庭を、戸上宗一郎もまだ身体になじまない赤錆色のブレザー姿で校舎へと歩いて行く。長身の宗一郎はゆっくり歩いていても歩幅の広さから進みは早く、その肩で一休みした花弁が風に浚われる様に飛んでいった。

    『ほら、あいつだよ。白星から来たっていうさ……』
    『ヒーローなんだろ? なんでわざわざ白星から?』
    『白星じゃレギュラーになれないからだろ。崖っぷちの崖縁なら誰でもなれるもんな』

     すれ違う生徒達の中に、時折そんな聞こえよがしの声がするが、宗一郎の歩みは変わらない。宗一郎がエスカレーター式に進学出来たはずのヒーローの名門高、白星第一学園の付属中学から崖縁工業へと外部進学する事を決めた時、それなりにゴタゴタも有り、仲間達やとりわけ後輩には迷惑をかけてしまった。そのことで古巣の白星でも宗一郎の選んだ道を快く思わない者も少なからず居た。
     だが、共にヒーローを目指して訓練していた仲間達の 7533