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    しえる🍙

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    しえる🍙

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    さんくえる君の誕生日とさいちの話
    (身内向け)

    「たんじょうび?」
    「そう。あなたの誕生日を教えて欲しいんだ。」

    「俺の……」

    思わず言葉に詰まった。

    物心ついた時には既に独りだった俺は、自身の姓すら知らなかった。

    そんな俺が自分の誕生日なんて知る筈もなく。

    とはいえ、これまで自身の素性を極力明かさぬ様に生きてきた身としては、それで別段困ることも無かった。

    だが……

    「ねぇ、貴方の誕生日は?
    この間はほら、私のを祝ってくれたでしょ。
    だから今度は私が祝ってあげたいなって思ってさ。……あ、嫌なら良いんだけど」

    「ああ、その。嫌って訳じゃ……ないんだが。」

    ……自分が生まれた日なんて、知らなくて。

    ふと視線を逸らしながら呟けば、
    彼女ーさいちは少し驚いたような、しかし何処か納得したような顔で俺を見つめた。

    「あっ……、そっか。
    そういう事もあるんだ。それじゃあそうだな、うーん……。」

    彼女は少し考え込むと、それからぽんと何か考え付いた様子で手を打ち言った。

    「私が貴方の誕生日を探してあげる。」
    「えっ……?」

    俺の誕生日を探す?

    「まさか、俺の両親でも探して聞くつもりか?
    そんな……いくら何でも無謀過ぎやしないか。君は知っていると思うが、俺は……」

    「流石にそんな事は出来ないよー!貴方がここの住人でない事は知ってるもの。」

    そう。

    この世界の『俺』の両親は確かに探せばまだどこかに居るのかもしれない。

    だが、両親はおろか、俺が生まれ育った世界は、俺を一人残し崩壊した。
    仲間も、守りたかった大切な人も、もう何処にも居ないのだから。

    「貴方がこのエオルゼアに来た日を探すのよ。言ってしまえばそれって、貴方が生まれ変わった日とも捉えられない?だから、その日を貴方の誕生日にするんだ。どう?」

    「どう?……と、聞かれてもな。俺の生まれた日を求めているのは君だろう?
    俺は別に知らないからと言って困る事はないからな。それに……他に知りたいと思ってる様な奴も居ないだろうし。」

    「あ!またそういう言い方をする!
    もー、じゃあ良いよ。勝手にさせて貰います!」

    そう言うとさいちは頬をふくらませ部屋から出て行ってしまった。

    ……何かまずい事を言っただろうか?
    でも、事実じゃないか?

    自身の言動を振り返りながら首を傾げてみても、やはり1人では答えは出ず仕舞いだった。
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    しえる🍙

    MOURNINGさんくえる君と帝国の兵士の話眩い月明かりの下、必死に救いを乞う兵士を男が静かに見下ろしている。
    「し、しし、仕方がなかったんだっ!俺だって本当は嫌だった!でも、でも命令だったんだよぉ!!」
    「それで?」
    かぶりを振って後退る兵士に、男はゆっくりと歩み寄り確実に退路を塞いでいく。
    ついにはその背には壁のみとなり、完全に逃げ場を失った兵士は半狂乱になり泣き叫ぶ。
    「いっ……嫌だぁアァァ!!死にたくない!!
    何でもする、何でもするから命だけは…!」
    地べたに額を擦り付け、必死に許しを乞うその姿に男は舌打ちをする。
    「お前は、そうやって命乞いをする人間をこれまでに何人嬲り殺してきた?」
    怒気を含んだ声音に、兵士はビクリと大袈裟に肩を震わせる。
    「そ、そんな……だって彼奴らは蛮族だぞ!?
    属州民にかける情けなんて……ギャアッ!!」
    恐怖故か開き直る兵士の腕が、宙を舞った。
    「痛いか?痛いよな。……お前が殺してきた人々は、それよりも更に酷い苦痛を味わってきた。」
    憤怒と憎悪を滾らせた隻眼が、激痛に呻く兵士を見下ろしている。
    「お前が踏み躙ってきた大地は、そこに暮らす人々が大切に受け継いできたものだ。
    お前が殺した子供達は、こ 909

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