【一+半】
一之瀬は校舎の壁に凭れながら日向と日陰の境界線を見つめている。「はっきり区別できるっていいね」彼は呟く。「曇りだったら境目が曖昧だけどな」そう言うと彼は一瞬驚いた顔をしてから笑った。「俺は君のそういうところが好きだよ」「そういうところ?」聞いても彼はただ笑っているだけだった。
【松→半→風 せつない】
「風丸のこと好きなんでしょ」そう言うと半田は驚いたように振り返った。「な、なんで……」「見ればわかるよ」そう、見ていたんだ。ずっと半田のことを。だからその視線がどこを向いてるかなんてすぐに分かった。「このことは、」「言わないよ」皮肉にもそれが二人で交わした初めての約束だった。
【半→風→円 せつない】
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