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    SS供養

    過去に書いたSSを一部修正して再掲しています。

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    SS供養

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    オルフェウス対リトルギガント戦直後のお話。

    試合終了のホイッスル。それだけは認識できた。
    歓声か、どよめきか。これはどちらの声だろう。

    スタジアムに響き渡る音という音すべてが、波がひいていくようになくなってしまう感覚。
    先ほどまで止まることなく動いていた足は鉛のように動かない。

    左腕につけたキャプテンマークにそっと触れる。
    もうこのままここで倒れてしまおうか、なんて考えてしまった自分に余計に悔しさを感じた。



    「マルコ、フィディオは?」

    「ずっとあのままさ」

    「そうか……」

    「なぁジャンルカ。フィディオは俺たちの仲間だよな?」

    「何を言い出すんだ急に」

    「……なんだか遠い存在に思えてきたんだ」

    「どうして。ずっと一緒にサッカーしてきただろう」

    「どんどん先を走って俺も追いつこうとするのに追いつけない」

    「マルコ、フィディオは俺たちの仲間だ。あいつは俺たちを放って行ってしまうような奴じゃない。キャプテンも認めてるんだぞ?」

    「そう、だよな」

    「じゃあ行くか」

    「あぁ、みんなを呼んでくるよ」



    扉が開いた。光を眩しく感じていつの間に夜になったのだと気付く。

    「いつまで落ち込んでるんだ」

    「そうだよフィディオ!僕たちねー、さっき良いアイデアを思いついたんだよ!」

    ブラージのすぐ隣で跳びはねているアンジェロが嬉しそうに言った。

    「負けたからって、それで俺たちの役目が終わったわけじゃないからな」

    ラファエレが扉に寄りかかりながら廊下にチラリと視線を送った。

    「フィディオ、俺たちオルフェウスがイナズマジャパンにリトルギガントとの試合について教えるんだ」

    「実際に戦った俺たちなら彼らに色々とアドバイズが出来るだろう?」

    「リトルギガントに負けたこともイナズマジャパンと決勝で戦えないことも悔しい。それはみんな同じさ。だからこそ俺達は俺達の出来ることをしよう」

    ジョジョとマルコとジャンルカの言葉を呆然と聞いていた。
    何をやっていたんだろう。キャプテンは俺にチームを任せてくれたのに。

    「みんな……」

    俺は一人で落ち込んでいた。仲間がこんなに考えていてくれたのに。こんなに近くにいたのに。

    「さぁ。フィディオも早く、そんな暗い部屋にいないでこっちに来なよ!」

    差し出されたアンジェロの手は自分よりも小さかったけど、あたたかくて優しかった。

    「このチームで本当に良かった」

    そう呟くとみんなはとても嬉しそうに笑っていた。
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