Late Hours若い肌の弾力を味わうのも久しく、たまには悪くはなかった。軽い後悔はあったものの、そんな感情は興奮と快楽によってすぐにかき消される。男と過ごした時間の余韻が、心地よい刺激となって彼を包み込む。
同じ病院で働く佐伯との二人暮らしのマンションに帰宅すると、ドアを開けた瞬間、部屋の中には佐伯が立っていた。こんな時間、普段なら疲れ果てて、とっくに寝息を立てているはずの彼が。しかし、今日は明らかに機嫌が悪い。その厳しい視線に気づくと、渡海は一瞬足がすくむが、すぐに挑発的な態度を取る。
「ずいぶん遅かったようだな」
佐伯の声には抑えた怒りが滲んでいた。シャワーの残り香が漂う佐伯に、渡海は挑むように目を向ける。
「何?俺の行動がそんなに気になる?」
「お前がどんな行動を取ろうと、俺には関係ないと思っているのか?」
佐伯の静かな声には威圧感が漂っていた。
「別に…たまには楽しむくらいいいだろう?」
渡海は相手の怒りを感じながらも、挑発を続けた。
突然、佐伯の手が渡海の顎を掴む。強い力で締め付けられ、渡海は思わず顔を歪める。
「痛っ...!」
「…あまり軽く見ない方がいいぞ」
佐伯は冷静さを保ちながらも、内に秘めた怒りが滲み出ていた。激務でストレスを抱えた彼の姿は、普段とは明らかに違っていた。
渡海は強引に顔を上げさせられ、その鋭い目に怯むが、まだ態度を崩さない。心の奥では、次に起こることへの期待感が芽生えていた。
「そうか。なら、しっかり教えてやる必要があるな」
佐伯は渡海を力強くベッドに押し倒し、さらに追い詰めていく。二人の間に漂う緊張感は、これまでにない激しさを帯びていた。
* * *
「あ、あっ……! もうやだ……っ」
渡海の身体は佐伯の動きに敏感に反応し、恥ずかしい声を止められない。佐伯はその声を耳元で聞きながら、優しくも強引に渡海を責め続ける。
「逃げようとするな。これは自分で招いたことだろう?」
佐伯の声は低く、威圧感がある。渡海はその声に逆らえず、体を強ばらせた。
「……っ……たまたま、酔ってただけで……」
渡海は何とか言い訳をしようとするが、佐伯はそれを聞き流すように、渡海の腰をぐっと引き寄せる。アナルに冷たい指が滑り込んできた瞬間、渡海はビクッと身体を震わせた。
「……あっ……!」
「今日はもう解れてるだろ?」
佐伯の冷ややかな声が耳元で囁く。
「散々、他の男を咥えてるくせに...相変わらずきついな」
渡海はその言葉に何も言えず、恥ずかしさで顔が赤くなる。初めてではない浮気だと佐伯も気づいているのに、それでもこうして彼は渡海を「罰」し、同時に愛情を注いでいる。
「お前はいつも他の男に逃げるが、最終的に戻ってくるのはここだろう?」
佐伯の指がさらに奥へと進み、渡海の体をじっくりと探るように動く。
「んっ……あっ……!」
指が動くたびに、渡海は自分の意思とは関係なく、体が勝手に反応してしまう。羞恥心が増していく中で、佐伯のもう片方の手が彼の陰茎を軽く撫でた。
「あっ……!」
「お前がどうして欲しいのか、ちゃんと俺に言ってみろ」
佐伯の声は優しさと残酷さを同時に持っている。
「…っ…ん」
渡海は目を閉じ、恥ずかしさと快楽で混乱しながらも、強情に唇を噛み締めて黙り込む。それに対して佐伯は執拗に前立腺を圧迫し、渡海の意識が快感で霞むまで追い詰めていく。
「ここを責められるのが、一番感じるんだろう?」
「んっ...! あぁっ...くぅ...」
ようやく、渡海は観念したように震える声で答えようとする。
「い……、いきたい……っ……お願い……っ」
「まだだ」
佐伯は微笑みながら、さらに指を深く押し込む。その動きは緩やかで、じっくりと焦らすようなものだった。陰茎は熱を帯び、佐伯の手が軽く撫でるたびに快楽が増幅されるが、頂点には達させてもらえない。
「今日の男は満足させてくれなかったのか?」
(あんたがしつこすぎるんだよ...クソ...)
渡海は心の中で毒づきながら、それでも快感に溺れていく。
「お前はすぐに楽になろうとするな。私は傷ついたんだぞ?」
佐伯の言葉は冷静で、からかうような調子でありながらも、どこか愛情が含まれている。渡海の体をじらし続け、彼が完全に屈服するまで焦らし続ける。
「ああっ……もう、無理だ……っ!」
渡海は涙声で訴えるが、佐伯はその訴えに応えることなく、さらに執拗に指を動かし続ける。アナルに指が深く入り込み、陰茎への刺激が繰り返されるたび、渡海は狂ったように体を揺らす。鈴口を爪で軽く擦られ、声にならない声を漏らす。
「や、やめ...あっ...そこは...」
喘ぎ声と共にか細い言葉が零れるが、それは途切れ途切れで意味をなさない。
「言っただろう。俺が満足するまで終わらせない」
「うっ……あっ……ああ!……っ、もう……やめ……っ!」
渡海は完全に支配され、佐伯の前で涙を流しながら懇願する。だが、佐伯はそれを見てもまだ動きを止めない。
「お前は俺のものだ」
佐伯は指をさらに深く押し込み、渡海の体を徹底的に追い詰める。
「他の男のところに行ったこと、これで忘れられるな?」
よだれを垂らしながら、渡海は息も絶え絶えになり、ついに心も体も限界を迎える。前立腺への容赦ない刺激に、陰茎を触られることなく、背筋を大きく反らして達してしまう。
「……っ、ごめんなさい……もう、許して……!」
渡海の声は涙で滲み、彼は佐伯に完全に屈服した。佐伯はその様子を見て満足げに微笑み、ようやく手を止めた。
「よく言えたな。それでいい」
佐伯は愛情を込めて渡海の髪を撫で、彼を優しく抱き寄せる。お仕置きが終わった瞬間、佐伯の手は再び優しさに満ちていた。
* * *
結局あの後、渡海は謝罪の言葉を口にしたにもかかわらず、さらに激しく求められ続けた。佐伯に何度も貫かれ、ついには潮を吹くまで抱きつくされてしまった。
佐伯は年齢的なこともあり、普段は渡海の浮気に寛容な態度を示していた。だが、時折こうして若い恋人を徹底的に可愛がりたくなる。今回の出来事は、その絶好の口実となったのだ。
渡海は、佐伯の手から解放されたが、体はぐったりとベッドに沈んでいた。涙で顔はぐちゃぐちゃになり、ドロドロとした感情が胸の中に残っている。
「わかったなら、もう無駄なことはしないことだな」
佐伯は渡海の髪を乱暴に撫でる。渡海は息を整えながら、小さく「もうしない……」と呟く。