Good-by, sweet Whiteday. 「お客さん、みんな喜んでくれて良かったですね」
ホワイトデー公演の帰り道。薄暗くなり始めた道の中で美咲がぽつりと零した。公演は大成功に終わり、バレンタインに愛を向けてくれた子猫ちゃん達もとても喜んでくれた。
美咲も公演で披露する曲を作ってくれたり、裏方の仕事を手伝ってくれたりと、去年に引き続き世話になってしまった。本当に感謝が尽きない。
「美咲、まだ時間はあるかい?」
ホワイトデー終了まで残り六時間。美咲を家に送り届けている途中だが、まだやらなければいけないことがある。私は尋ねながら、いつもの公園を指差した。首を傾げてから頷く美咲の手を引いて公園のベンチへ。
既に時報のチャイムが鳴った後の公園に人の姿は殆どなく、春特有の強めで生暖かい風が髪を撫でていくだけだ。
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