本物「……マジで美味ぇ」
「でしょ?」
鉄のデカブツに乗らされて、何も食ってなかったからか甘いパンの味が染み入るな。驚く程鮮やかに食材庫を暴けば上等な酒瓶まで探し当て、適当なコップに注ぎ始める。
「ルークには、内緒ね」
口元に指を掲げ、戯けて笑う。あいつはこういうのも、許さねぇ奴だからな。口角が上がるのは美味い飯にありつけたからか、それとも。
「……嬉しそうだね、アーロン」
『変わらない』、奴だったからか。見透かした様に頬を緩め、喉を鳴らしながら酔い痴れる男を改めて見つめた。
銀に染まった髪からして、四十は超えているだろうか。ただショーだのテロリストだのに年齢すら感じさせない筋力と身こなしは、只者じゃねぇ。詐欺師野郎に目を付けられるのは正直、納得いかなくは無い。此処に連れてきたのも俺を気遣っただけじゃなく、まだ他の奴よりは居心地が良いからだ。
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