単なる遊び‥この玄関を開けるのも もう慣れた。
居心地の良さと ほんの少しの後ろめたさとも言える逡巡。初めて訪れた時に感じたその比重がいつのまにか逆転しかけているのに戸惑う自分がいる。
そして新しく加わった更に戸惑う感情。‥それは期待とも呼べるもので。
青木とは望めない この男が与えてくれるこの部屋での時間を望んでしまっている僕がいる。
「薪さん いらっしゃい。お待ちしていました。」
僕を招き入れるタジクに続いて部屋に入る。
咄嗟に俯いたとはいえ 僕の瞳に宿る期待は 押さえ切れない欲求は、きっとこいつにはお見通しだろう。
僕が おまえの僅かに弾んだ声にそれを聞き取ったように。
‥そう。僕らはお互い似た物同士で。
丁度いいんだ‥。たまに息抜きをする相手として。──相性がいいんだ。
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