「外出中」「先生……、と」
保健室の扉を開けると、いつも先生が座っているデスクにその姿はなかった。
「いない……なら外のボードに一言書いてあるよな……トイレとか?」
絆創膏一枚あればよかったので、先生にはあとで言うとして戸棚から一枚だけ拝借しようとそっちに足を向けたとき、奥のベッドのほうからごそごそと誰かが寝がえりでも打ったみたいな音がした。
よくよく見ればカーテンが閉められていて、具合が悪い生徒かはたまたレンが寝ていたのだと気づいて、そこまで大声を出していたわけではないけど思わず手で口を塞いでいた。
レンなら起きないだろうけど、他の誰かだったら悪い。
そう思って物音を立てないようにしようとゆっくり戸棚の戸を開けようとしたら、そのベッドから声がした。
1940