Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    HayateFuunn

    @HayateFuunn

    @HayateFuunn

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 51

    HayateFuunn

    ☆quiet follow

    ノヴァヴィクのつもりでノヴァヴィク未満のノヴァとジャクリーンちゃまによるヴィクの髪をラプンツェルにしちゃおうみたいな話(?)3章のEDスチルが可愛くて
    メインストの流れはガン無視しているので普通に仲いい

    捏造幼少期・ヴィクのパパとママの容姿を捏造してる描写・最後の方の終わり方がなんか納得いかない などなどの懸念材料があります

    #ノヴァヴィク
    novavik.

    珍しく外に出ていた。
    ジャクリーンが外に行きたいと言い出して、それならと本を読んでいたヴィクも誘って連れ出そうとしたんだ。
    ヴィクには読書の邪魔だとか真顔のまま不満そうに言われたけど、最終的には読んでいた本を抱えて、ついでに分厚い本を二冊ほどおれに押し付けるように持たせつつ、大人しくついてきてくれた。
    本はめちゃくちゃ重かったけど、拒んだらヴィクは絶対についてきてくれないから、まあこれくらいは対価だと思って甘んじて受ける。
    外と言っても父さんの研究機関にある小さな中庭だ。
    そんなに広くなくて、円形の小さな開けた空間のど真ん中にいちょうの木が一本どんと植えてあってその木を見れるように四方にベンチが置いてあるだけ。
    それでもジャクリーンははしゃいで駆け回っているし、日差しもちょうど差してきてぽかぽかで気持ちよくて、その日差しを浴びるベンチで読書しているうちにヴィクの機嫌もいくらか直ったみたいだ。廊下を歩く研究員の大人たちがおれたちを見つけて手を振ってきたから振り返す。
    ヴィクの髪は陽の光を透かしてちかちかと瞬いて見える。
    そっと触ってみるけど何も言われなかった。かなり集中して読んでいるらしく特に気にならないみたいだ。
    嫌なら無表情のまま無言で睨まれるので、それはほんのちょっと怖い。
    ヴィクが無表情なのはいつものことだけど、大人になったらヴィクは絶対美人になるし、『美人の真顔は怖い』って言うけど、今の時点で怖いんだから大人になったらもっと怖いに決まってる。
    ヴィクの髪は淡い金が混じった銀髪だ。光の加減によっては逆にも見える不思議な色合いで、こうして陽に当たっていると星が瞬いているみたい。
    指どおりのいい髪は触り心地がよくて、ついずっと撫でてしまいたくなる。
    ふと思いついて、長く垂らしている一房を三つ編みにしてみることにした。
    やったことないけど、ヴィクのお母さんがたまにしているのを見たことあるし、多分できる。はず。
    指で梳いて、するする抜ける髪をどうにか三つに分けてより合わせていく。
    学んだことは、意外と長さが足りない、ということ。
    「わっ」
    もう少しで完成、というところでヴィクが不意に顔を上げ、びっくりして手を離してしまった。
    ヴィクはヴィクで、おれが至近距離にいたことにほんの少しだけ驚いたみたいだった。
    「ノヴァ? 何をしていたのですか」
    「みつあみ……ほどけちゃったけど」
    ヴィクは首を傾げて、自分の髪に指を絡ませる。
    ゆるくしていたとはいえ、ヴィクの髪にくせはつかずにするりと抜けた。
    「ヴィクのかみ、きれいだよねえ」
    エメラルドの碧い目がぱちりと瞬く。
    大きくて、落ちないのかなぁと思った。
    「そうでしょうか」
    「うん。お母さんにそっくり」
    「はあ。かみしつは母のいでんだと思いますが」
    ちなみに髪と目の色はお父さん似だ。二人とも美人だから、いいとこどりみたいな可愛い見た目のヴィクが将来美人にならないはずがない。
    「ヴィクのお母さんもヴィクも、ラプンツェルに負けてないよね」
    「……母はともかく、なぜわたしまで」
    「かみの長い男のひととかいるじゃん。ヴィクもにあうと思うんだよなあ」
    「のばせと?」
    「見てみたいなあとは思う」
    「ノヴァがのばせばいいじゃないですか」
    「おれがかみ長いの見たい?」
    「全く」
    おお、会話が続いてる。ぽかぽか日差しの効果かな。
    普段のヴィクなら早い段階で会話を切りあげるし、集中してたり機嫌が悪いと無視されるのに。
    よく見ると広げていた本はもう最後のページだった。読み終わったところでおれが三つ編みをしていたことに気づいたらしい。
    「パパとヴィクターちゃま、二人だけでお話しててずるいノ! ジャクリーンも混ぜてほしいノ!」
    「ごめんごめん」
    いつの間にかひとり遊びに飽きたらしいジャクリーンが近くに来たから、抱き上げて膝に乗せ、ヴィクの髪で遊んでいたことを話す。
    ヴィクは次の本に手をつけるのは会話を切りあげてからと決めたらしく、本を閉じてこっちに意識を向けてくれていた。
    本当に機嫌がいいみたいだな。日差しばんざい。
    「で、ヴィクファミリーはラプンツェルとわたりあえるよねってはなししてたの」
    「そんなはなしでしたか?」
    「ラプンツェル、ジャクリーン知ってるノ。前にヴィクターちゃまが読んでくれた絵本ナノ」
    ジャクリーンがにこにこと教えてくれた話に、思わず「え、」と声が漏れた。
    「ヴィク、そんなことしてくれてたの?」
    「……せがまれたので」
    ヴィクはジャクリーンの構造が不思議でたまらないみたいだけど、なんだかんだジャクリーンの押しに弱いところがある。
    あくまでロボットとして接するなら、絵本の読み聞かせなんて『無駄なこと』をヴィクは自分からはしないと思うから、言葉通り沢山せがまれて折れてくれたんだろうな。
    おれはヴィクの、こういうちょっと分かりづらい優しさが好きだ。
    「ヴィクターちゃま、ラプンツェルみたいに髪を伸ばすノ?」
    「そのつもりは……」
    「きっととってもキレイナノ~♪ ジャクリーンもヴィクターちゃまの髪でみつあみしたいノ」
    「そんなりゆうで……」
    「ヴィクターちゃまのママみたいに、ヴィクターちゃまニモとっても似合うノ、ジャクリーン楽しみナノ~♪」
    「……」
    ほら、押されてる。
    表情は相変わらずほとんど変わらないけれど、少しだけ困っているような気がする。
    理屈をこねるよりも先にジャクリーンが無邪気に未来を描いていくから、優しいヴィクはおいそれと無下にはできないんだ。
    これがおれが伸ばしてみたら? なんて言おうものなら氷点下50度くらいの真顔で「は?」って言われて終わりなのが想像できる。
    何故だろう。ジャクリーンが女の子だからちょっと甘いとか、そういうことなのかな。
    「……手入れをするの、わたしなんですけど」
    やがて諦めたように小さくふぅと息をついたヴィクは、もう一度自分の髪を触ってみていた。
    「絵本のプリンセスと同じように、というのはぶつり的にむりがあると思います。ホルモンバランスなどもありますし、いしきしてのばすとなると気をつけないといけないことがふえてくるでしょうしそもそも」
    「やったジャクリーン、ヴィクかみ伸ばしてくれるって」
    「やったナノ~! ヴィクターちゃま、ありがとうナノ!」
    「……。プリンセスのかみはフィクションだからなりたつ長さですけど、どこまでのばせるものかけんしょうしてみたくなっただけです」
    長くなりそうだったからさえぎったら睨まれたけど、物理的に無理と断言しておきながら言い訳みたいなことを言うものだからおかしくなってしまう。
    笑ったら怒られたりやっぱり伸ばすのをやめる、とか言われそうだったから我慢したけど。



    そこまでして髪の長いヴィクを絶対に見たい、なんてこの時は思ってなかった。
    だけどジャクリーンのお願いだからなのか、一度自分で決めたことだからやり遂げたくなったのか、この日からヴィクは本当に毛先を整えたりする以外でばっさり髪を切るということはなかった。
    ラボに足を踏み入れると、モニターとにらめっこしている横顔が最初に目に入る。
    今や腰に届くほどまで伸びた髪。さすがにこれ以上は年齢やホルモン関係を鑑みても伸びないだろう。
    その髪が、いつもは流れるに任せておろされているのに今日は違うことに気がついた。
    「ヴィク」
    「今度はどうしたんですか」
    モニターから視線は逸らさないまま、いささか投げやりな返答が返ってくる。なんだか年を重ねるごとにおれの扱いが雑になっていってる気がする。そういうところで、無駄にヴィクがO型だったなーというどうでもいい考えがよぎった。
    血液型と性格に関連性があるならヴィクの部屋もラボもこんなに綺麗に片付いてない。
    「や、ただの息抜き。ヴィク、今日髪型違うね?」
    「……ああ、お転婆ロボさんの戯れです」
    顔をあげたヴィクの長い髪は少し歪な三つ編みを施され、毛先を白いリボンで留められていた。
    「ジャクリーン三つ編みうまくなった?」
    「さあ……初めての頃よりは、見られるようになったんじゃないですか」
    ヴィクの髪はすっかりジャクリーンの遊び道具になっていて、時折こうやって三つ編みをして遊んでいく。
    不慣れでぐちゃぐちゃになっても毛先がばらばらになってもヴィクは好きにさせていて、そのおかげか今日は今まで見て来たなかで一番上手にできていた。
    ヴィク曰く『斬新』な似顔絵もちゃんと受け取ってどこかにしまっているらしいし、相変わらずジャクリーンのことが分からなくても受け入れてくれていることが嬉しくなる。
    「ふふ~」
    「……なんですか」
    「やっぱりヴィクは優しいなぁと思って」
    思ったままを言っただけなのに、心の底から意味が分からないみたいな顔と地を這うような声で「は?」と言われたのだけはデジャヴも感じてちょっと解せない。
    昔のおれへ、ヴィクは想像通り美人になったし、真顔は相当怖いよ。
    「ラプンツェルにはなれそう?」
    「一年で伸びる長さが短くなってきましたし、そろそろ打ち止めでしょうね。極端な例をあげればそういうサブスタンスの作用でもあれば可能性はあるでしょうけど」
    「ピンポイントすぎる」
    検証はそろそろ終わるけれど、ヴィクはもうこれが一番落ち着くと言って自分から切るつもりはないみたいだ。
    10分ぐらい駄弁ってから、ヴィクがモニターに視線を戻したのをきっかけにしてラボを出た。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💞💞🙏🙏🙏🙏🇱🇴🇻🇪☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    HayateFuunn

    DONEノヴァヴィクのつもりでノヴァヴィク未満のノヴァとジャクリーンちゃまによるヴィクの髪をラプンツェルにしちゃおうみたいな話(?)3章のEDスチルが可愛くて
    メインストの流れはガン無視しているので普通に仲いい

    捏造幼少期・ヴィクのパパとママの容姿を捏造してる描写・最後の方の終わり方がなんか納得いかない などなどの懸念材料があります
    珍しく外に出ていた。
    ジャクリーンが外に行きたいと言い出して、それならと本を読んでいたヴィクも誘って連れ出そうとしたんだ。
    ヴィクには読書の邪魔だとか真顔のまま不満そうに言われたけど、最終的には読んでいた本を抱えて、ついでに分厚い本を二冊ほどおれに押し付けるように持たせつつ、大人しくついてきてくれた。
    本はめちゃくちゃ重かったけど、拒んだらヴィクは絶対についてきてくれないから、まあこれくらいは対価だと思って甘んじて受ける。
    外と言っても父さんの研究機関にある小さな中庭だ。
    そんなに広くなくて、円形の小さな開けた空間のど真ん中にいちょうの木が一本どんと植えてあってその木を見れるように四方にベンチが置いてあるだけ。
    それでもジャクリーンははしゃいで駆け回っているし、日差しもちょうど差してきてぽかぽかで気持ちよくて、その日差しを浴びるベンチで読書しているうちにヴィクの機嫌もいくらか直ったみたいだ。廊下を歩く研究員の大人たちがおれたちを見つけて手を振ってきたから振り返す。
    ヴィクの髪は陽の光を透かしてちかちかと瞬いて見える。
    そっと触ってみるけど何も言われなかった。かなり集中して読んでいるらし 3876

    HayateFuunn

    DONE貴方はノヴァヴィクで『名前を呼んで』をお題にして140文字SSを書いてください。

    140字をゆうに超えた
    まだお互い上手くやれていた頃
    ヴィクターと呼んでみてください。
    唐突な言葉にヴィクの意図を掴みあぐねて、瞬きをして振り返る。
    ソファで寛ぐヴィクは向こうを向いていて表情は読めなかった。
    「えと……ヴィクター?」
    ひとまず望まれるままに呼んでみるも、違和感が物凄い。
    ヴィクターと呼んだのなんて、それこそ出会った頃の初めの数回だ。たった二文字言うか言わないかだけなのに、他の人は皆ヴィクターと呼んでいるのに、彼の名前がヴィクターであること自体が間違いのような気さえしてしまうのだから、慣れというものは不思議だ。
    ヴィクはヴィクで押し黙ってしまうし、本当に何がしたかったんだか。
    「ヴィク?」
    「……顔が見えなければあるいは、と思いましたが。似ていませんね」
    くすくすと肩が揺れて、ヴィクのしたかったことを理解した。複雑なようなそうでもないような。ヴィクの声音はなんとなく楽しそうだっだから、まあいいか。
    ヴィクはそれ以上何も言わなかったし、俺も特に追及する気はなかったからモニターに視線を戻す。
    ヴィクが飲んでいるエスプレッソの香りだけがふわりとラボに漂った。 464

    recommended works

    HayateFuunn

    DONE貴方はノヴァヴィクで『名前を呼んで』をお題にして140文字SSを書いてください。

    140字をゆうに超えた
    まだお互い上手くやれていた頃
    ヴィクターと呼んでみてください。
    唐突な言葉にヴィクの意図を掴みあぐねて、瞬きをして振り返る。
    ソファで寛ぐヴィクは向こうを向いていて表情は読めなかった。
    「えと……ヴィクター?」
    ひとまず望まれるままに呼んでみるも、違和感が物凄い。
    ヴィクターと呼んだのなんて、それこそ出会った頃の初めの数回だ。たった二文字言うか言わないかだけなのに、他の人は皆ヴィクターと呼んでいるのに、彼の名前がヴィクターであること自体が間違いのような気さえしてしまうのだから、慣れというものは不思議だ。
    ヴィクはヴィクで押し黙ってしまうし、本当に何がしたかったんだか。
    「ヴィク?」
    「……顔が見えなければあるいは、と思いましたが。似ていませんね」
    くすくすと肩が揺れて、ヴィクのしたかったことを理解した。複雑なようなそうでもないような。ヴィクの声音はなんとなく楽しそうだっだから、まあいいか。
    ヴィクはそれ以上何も言わなかったし、俺も特に追及する気はなかったからモニターに視線を戻す。
    ヴィクが飲んでいるエスプレッソの香りだけがふわりとラボに漂った。 464

    HayateFuunn

    DONEノヴァヴィクのつもりでノヴァヴィク未満のノヴァとジャクリーンちゃまによるヴィクの髪をラプンツェルにしちゃおうみたいな話(?)3章のEDスチルが可愛くて
    メインストの流れはガン無視しているので普通に仲いい

    捏造幼少期・ヴィクのパパとママの容姿を捏造してる描写・最後の方の終わり方がなんか納得いかない などなどの懸念材料があります
    珍しく外に出ていた。
    ジャクリーンが外に行きたいと言い出して、それならと本を読んでいたヴィクも誘って連れ出そうとしたんだ。
    ヴィクには読書の邪魔だとか真顔のまま不満そうに言われたけど、最終的には読んでいた本を抱えて、ついでに分厚い本を二冊ほどおれに押し付けるように持たせつつ、大人しくついてきてくれた。
    本はめちゃくちゃ重かったけど、拒んだらヴィクは絶対についてきてくれないから、まあこれくらいは対価だと思って甘んじて受ける。
    外と言っても父さんの研究機関にある小さな中庭だ。
    そんなに広くなくて、円形の小さな開けた空間のど真ん中にいちょうの木が一本どんと植えてあってその木を見れるように四方にベンチが置いてあるだけ。
    それでもジャクリーンははしゃいで駆け回っているし、日差しもちょうど差してきてぽかぽかで気持ちよくて、その日差しを浴びるベンチで読書しているうちにヴィクの機嫌もいくらか直ったみたいだ。廊下を歩く研究員の大人たちがおれたちを見つけて手を振ってきたから振り返す。
    ヴィクの髪は陽の光を透かしてちかちかと瞬いて見える。
    そっと触ってみるけど何も言われなかった。かなり集中して読んでいるらし 3876