ノヴァヴィク「じゃあ、ヴィクが一緒に入ってくれるんだったらいいよ」
「え?」
「は?」
あ、しまった。とノヴァが思った時にはもう遅かった。
カウントするのを止めるくらいの数の徹夜をこなし。ラボから一歩も出ない生活を始めてから、はや数日。久々にノヴァのラボを訪れたマリオンが、足を踏み入れた瞬間にしかめっ面になって催促してきたのは入浴だった。そういえば最後に体を流したのはいつだったっけな、とその時になって何日もシャワーすら浴びていないことに気が付いていなかったノヴァは、どこか他人事だった。
あまりにも自分のことを言われている実感がなく、研究片手間にマリオンに返事をしたのがいけなかった。
酷使されてふわふわとした頭は正常な判断をせず、まあそのつまり、三大欲求が垣間見えてしまうのである。人間とは恐ろしい。
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