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    たんごのあーる

    遅ればせながら、久方ぶりに沼入り。
    夏+五。幸せだったら、それでいい。

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    たんごのあーる

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    これが、本当に一番最初に書き上げたヤツ。
    百鬼夜行後。

    #腐術廻戦
    theArtOfTheRape
    #夏五
    GeGo
    #さしす
    point

    「すまん、起こしたか?」
    静かに戻ってきたつもりだったが、どうやら起こしてしまったらしい。今朝早く姿を見せたかと思ったら、「ちょっとここで寝かせて。」と有無を言わさず、硝子の職場でもある医務室のベッドに、五条が潜り込んだのは数時間前。
    柔らかな午後の日差しが差し込むベッドの上で半身を起こしながら、まだ少しぼんやりとした表情をしているが、その人並み外れた美貌は損なわれない。ペットボトルの水を手渡しながら、小言を言ってみる。
    「ちゃんと寝て、ちゃんと食べないと。お前も人間なんだから、一応。」
    「一応、って。相変わらずだよね、硝子は。」
    まだ眠いのか、眼を擦りながらぼやく五条は、やはり疲れているように見えた。
    「大人なんだから、睡眠も栄養も、ちゃんと摂ってるよ。そもそもどっちも少なくても、大丈夫。僕、最強だから。」
    立て膝に頬杖をつきながらにんまりとする顔に、学生の頃の屈託ない笑顔がよぎる。
    「大人、ってのは、自分のことは自分でちゃんと出来るヤツのことをいうんだ。まぁいいけど。私の手を煩わすようなことはするなよ、五条先生。」
    「わかってるよ、硝子せーんせ。クソ爺ィの相手やら、連日の任務とかでもうクッタクタ。ちょっと最近夢見も悪くってさ。ここは静かだし居心地いいから、しっかり眠れた。…ぬっるい、この水。」
    しかめっ面で文句を言う顔も様になるが、そんな顔見たところで、ときめいたり動揺するような付き合いでもない。
    「文句言うなら、飲まなくていいんだぞ、五条。」
    当たり前のように我が儘をいう五条に、当たり前のように隣にいた、あの男なら何て返すんだろうと、ぼんやりと思ってしまった。夢見が悪いのも、きっとあの男のせいなんだろうと。


    五条の心に焼きついたまま、忘れることも許さないと、そんな呪いをかけていったあの男は、最期に何を思ったのだろうか。何を見たんだろうか。
    街で出会ったあの時、殺されてでもあの男を止めていたなら、五条は今頃、夢も見ずに眠れていたのだろうか。温もりを分かち合えた、あの男の隣で。
    疑問符ばかりが頭にちらつき出したので、らちもないと、一旦考えることも思い出すこともやめて、
    「めんどくさいやつ。」
    と、ひとつ呟いた。
    「硝子?」
    思わず漏れた言葉に、五条が顔をあげた。
    「なんでもないよ。今夜はちゃんと自分の部屋で寝な。」
    今は、自分より低い、白い毛玉のような形のよい頭をポンポンと撫でてみる。
    願わくは、今夜はゆっくりと眠れますように。夢を見るなら、優しい夢でありますように。
    気付かれないよう、心の中でそっと願う。


    抜けるような青空の下、波打ち際で戯れた夏の日。
    大人になった二人が笑いあっている。


    そんな夢をみた。
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