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    藤 夜

    成人⬆️基本は夏五!書くのは夏五!!ほのぼのいちゃいちゃを日々妄想中^ ^

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    藤 夜

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    教師×教師if 
    「……、 洗わないとだめ?」って指先を怪我した悟が傑に訊いたワケは……
    GEGO DIG. SUMMERでpixivにて展示した短編になります。

    #夏五
    GeGo

    【ひよこ色】 絆創膏「いぃってぇっっっ」
     長期任務から戻った久しぶりの教師業で、少しはいい所を見せようと張り切っていたらしい。見本演習も兼ねているため、無下限を張らずに手合わせをしていた悟から、珍しく声が上がった。私が繰り出した手刀を避けきれず、防御のために翳した手の甲を、爪先で皮膚を裂いた感覚が伝わる。中止の合図が入る前に歩み寄ると苦笑された。
    「悟」
    「このぐらい、何ともないって。そんな今にも地球が滅亡しそうな顔しなくても」
    「見せてみな」 
     憮然とした表情で怪我をさせた腕を掴んで顔を近付けた。うっすら滲んだ血を見咎めると、掴んだままの腕に身を屈めた。血が滲んだ指先に唇を寄せて、ぺろりと舌先で舐め上げそのまま口に含んだ。
    「えっ、すぐる」
     動揺か焦りか、震えて聞こえた呼び掛けに、ちゅっと吸い上げるように食んだ指を咥内から出すと、謝りの言葉を口にした。
    「ごめんね」
    「大したコト、ないし」
     珍しく焦って言い淀んだ様子がかわいらしくて、思わず口に含んでしまった指先で別の想像してしまい、私まで動揺してしまった。必死で昼間の授業中には似つかわしくない妄想を、頭の隅に追いやりながら、先ほどの指先に視線を落とす。
    「でも普段、怪我するようなこと、ないでしょ」
    「そうだけど」
     視線を彷徨わせ珍しく言い淀む様子が学生のようで、強いとわかっていても構いたくなるのは、仕方ないんじゃないかな。
     見学をしていた悠仁がこちらの様子が気になるらしく、堪えかねて声を上げた。
    「せんせー、傷は舐めても菌が入るから、洗った方がいいと思う」
     そうだね、知ってるよ。知ってるけどね、悟は特別。
    「悟、手、洗っておいでよ。絆創膏、後でつけてあげる」
    「……、 洗わないとだめ?」
     小声で訊く声が、どことなく残念そうに聞こえるのは、私の勝手な思い込みだろうか。それでも洗った方がいいのは間違いないので、促すように質問を質問で返す。
    「なんで」
    「……、 しみそう」
     そう答えた耳が僅かに朱色に染まり、驚きで慌てて視線をずらしたものの、見間違えかと再度こっそりと視線を戻す。やっぱりうっすらと染まっているように見える。
     えっ。
     なんで。
     照れる、の。
     それって。
     思わず、自分勝手な都合のいい、解釈をしたくなる。
     だって。
     私の抱えている、好きのイミは。
     だから思わず、怪我した指を口に含んでしまったぐらいだし。こんな千載一遇のチャンス、そうあるものじゃないから。
    「大丈夫、しみないよ」
     そんなの、ただのごまかしかもしれないし。
     でも。
     なんの、ごまかし。
    「そのまま、絆創膏でいいんじゃない」
     当たり前のような口調だけど、先生のトーンからは外れた甘えた口調に、つい特別扱いして甘やかしたくなる。小首を傾げて訊かれたら、頷くしかなくない、こんなかわいい仕草。
     それでも。
    「悠仁の言うことも一理あるから、洗っておいでよ」
    「んっ。そしたら、傑が貼れよ、絆創膏」
    「わかったよ。でも、どうして、絆創膏」
    「僕が出張の時、恵に貼ったんでしょ。僕にも貼ってよ。恵ばっかり」
     ずるい、そう、口の中でしか聞こえない声。予想外の言葉に目を見開いたまま、棒立ちになっていると、返事はと催促を受けた。
    「絆創膏ぐらい、貼ってあげるから、まずは濯いでおいで」
     優しく促すような平坦な声は意識をしないと出せなくて。
     半分冗談のように恵に貼った絆創膏は、菜々子がくれた可愛らしいひよこ柄で、苦情のつもりで五条に告げたのだろう。
     それなのに。
     私がこっそり妬いている恵に対して、五条も妬いてくれたんだろうか。むずむずと喜びが浮かび上がって頬が緩みそうになるのを抑えきれない。
     
     戻ってきたら、早く治るおまじないだと言って絆創膏の上から、ふれるだけのキスをしよう。

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    藤 夜

    DONE生徒たちのクリスマス会からの、ふたりだけで、一緒に過ごす、しあわせな時間。
    離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    キヨシキョシ 悟視点 
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆五◆ 好き クリスマスケーキにシャンメリー、ケンタのチキンをメインにデリバリーのデリカが所狭しと並んでいる。悠仁と恵が飾り付けたのか、壁や天井に星を始めとした色とりどりのポップな装飾がなされ、楽しげな雰囲気満載だ。
    「先生も食べていけばいいのに」
     当然だと言わんばかりに声を掛けてくれるのは優しい悠仁ならではで、当然嬉しくもあるけれど、それはそれで少々困る時もある。
    「こういうのは学生だけの方が盛り上がるよ、ね、憂太」
    「ええっと、でも先生も」
    「気を遣うことないって。どうせこいつはさっさと帰りたいだけだろ」
     同じく優しさの塊と言いたいところではあるけれど言い切れない乙骨が、助けを乞うように視線を向け小首を傾げて微笑むと、隣にいた真希に、冷ややかな視線と共にばっさりと切り捨てられた。それでも目の奥が笑っているので、僕たちふたりの様子を見慣れた彼女たちは、またかと呆れているだけだろう。憂太に頷いて貰う前に角が立つことなく帰れるからいいけれど。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師if 伏黒視点 
    例年別々に過ごすイブを、珍しく伏黒姉弟と一緒にケーキ作りをする夏五のお話
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆三◆ スカイブルー「それじゃ、僕と一緒に恵たちとケーキ作ろうぜ」
     故あって保護者の真似事のようなことをしている姉妹が私にはいて、毎年クリスマスには彼女たちと一緒にケーキを作ってささやかなクリスマス会をし、サンタクロースの真似事をしていた。それが今年は、
    「私たちだけで作ったケーキを夏油様に食べて貰いたいから準備ができるまで他所のお家で遊んできて」
     と言われてしまった。成長が喜ばしくもあり、寂しくもあり、ならば非常勤として働いている高専で事務仕事を片付けようと思っていた所に、悟に声を掛けられた。
     彼にも保護者と言うより後見人として面倒を見ている姉弟がいる。こちらはクリスマスに一緒にいても鋭い目つきで邪険にされるそうだが、それは表面上だけで、それなりに楽しんでくれているみたいだから、と毎年ケーキやらプレゼントやらを携えていそいそと出掛けていく。紆余曲折があった上でクリスマスは一緒に過ごしたい間柄になったにも関わらず、優先すべき相手がいることに互いに不満を言うことはない。私はそんな悟だからこそ大切だし、悟だって私のことは承知している。それでも世の浮かれたカップルを見れば羨ましくなるのは当然で、イブじゃなくてクリスマスに一緒に過ごすようになった。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師×教師 虎杖視点 
    クリスマスプレゼントにまつわる惚気のひと幕

    【雪が融けるまで725秒】の開催、おめでとうございます&ありがとうございます♪
    ひと足先にサンプルがわりに第1話を掲載します^^
    ◆一◆ 久遠「しょうがない、伏黒が迎えに来るまではここで寝てなよ」
     そう言って家入は空いているベッドを指差した。申し訳なさに仕事は、と問えば、
    「仕事納めはまだ先だから、私のことは気にしなくてもいいよ」
     積み上がった書類の奥で目元を細めて頷かれた。閉じたカーテンの向こう側にあるベッドに寝転ぶと、冷えたシーツが火照った肌に心地よく、横たわれば楽になった体に、疲れていたのだと実感した。
     クリスマス明け、最後の任務に出掛けたところでやけに暑いと感じたら、伏黒に思いっきりどやされた。どうやら珍しく風邪を引いたらしい。ただ、風邪なのか、呪霊に中てられたのか、イマイチ判断がつきかねるからと、怒鳴った伏黒に連れられてやってきた医務室で様子見と相成った。まあ、伏黒が俺の代わりにまとめて報告書を作成して、提出してくるまでの間、寝て待っていろ。と言うのが正しいのだろう。年末だから年内に提出しとけって言うなら、こんな年の瀬に駆り出さなくてもと思わなくもないけれど、年の瀬だからこそ、刈り取れる危険は摘んでおけと言う理屈も当然理解はできる。猶予があるからとクリスマスに予定を入れられなかっただけで、御の字なのだろう。
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