【hrak】上耳のおでかけ フードコートの椅子に腰を下ろすと、耳郎は脚がずっしりと疲れているのを自覚した。外出用のとっておきのブーツがいつもの靴より重いせいかもしれない。
──って言ったって、ヒーロースーツのブーツもこれくらい重いんだから、もっと体力と筋肉つけなきゃ。それと、軽量化できる素材がないかサポート科に相談……。
日常の小さなきっかけで感じた課題点は、携帯電話に内蔵のメモ帳に書き留めておくようにしている。耳郎が鞄から携帯を取り出したところで、「お待たせー」という呑気な声と共に、目の前にタピオカミルクティーのプラカップが二つ置かれた。上鳴がどうしても飲みたいと言っていた、話題の店のイチ押し商品だ。
上鳴と二人で出かけるのは初めてだった。
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