Black Velvet1、霞ヶ関 中央合同庁舎 某会議室
「ライ。本名、国籍、出身不明。年齢二十代後半から三十代。ブルネットの長髪、グリーンアイズ。左利き。話せる言語は確認できただけで英語、日本語、中国語、スペイン語にフランス語」
「東洋の血が入っているのに間違いはなさそうだが…緑の目とは珍しい。コンタクトか?」
スライドに映し出された画素の荒い資料写真。遠目に写った男は黒いロングコートに大きなバッグを背負っている。スナイパーライフルだ。表情までは分からないが只者ではないオーラを放っている。
会議室には限られた人間だけ。降谷が黒の組織に潜入するプロジェクトは、当然のことながら極秘中の極秘だ。公安、しかも精鋭部隊のゼロに配属となれば潜入捜査は当然こなさなければならない職務だったが世界を股にかけた巨大犯罪組織に全くの新人をというのは異例中の異例で、上層部の反対もそれなりのものだった。一部署どころか警察組織の威信をかけた大博打。しかしそんなプレッシャーも、降谷にとっては楽しめる程度の心地良いものでしかない。
10475