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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ガンマト。現パロで同棲している二人の嫉妬と独占欲

    三度の食事に君を食べたい 朝、起きると真っ先にマトリフを見る。宵っ張りのマトリフはまだ熟睡中だ。昨夜は何時まで起きていたのか、ベッドのそばにはノートパソコンと空のマグカップが置いたままだ。
     私は起きて湯を沸かす。電気ケトルは好きではなくて、鉄瓶を使っているのだがマトリフには不評だ。マトリフは自分用の電気ケトルで湯を沸かす。コーヒーもインスタントでいいと言い、そのくせ味にはうるさくて、自分が気に入ったメーカーのしか飲まない。私はマトリフが使ったまま捨てていないシュガーの袋を摘んでゴミ箱に捨てた。
     こだわりの強い無精者との生活は、いくつもの拾い物をする。それがシュガーの袋であり、何もついていない鍵であり、サイン入りの本だったりする。私はそれらをひとつひとつ拾っては、なぜ彼がそれを置いたままにしたのかを考える。
     どうやら昨夜は仕事が捗らなかったらしい。普段の彼はコーヒーにシュガーを入れない。それなのに入れたということは、よほど疲れていたのか、脳が糖分を求めていたのだろう。瓶のインスタントコーヒーは昨日見た時よりもかなり減っている。
     ならば彼が起きてくるのは昼過ぎか、夕方近くなるかもしれない。
     キッチンで微かに蒸気の音がする。私は机に残った数粒のシュガーを指で取る。
     キッチンの隅には小さな作業台がある。食材などを置くのに使うスペースだが、そこには見慣れない本が置いてあった。表紙を捲ればサインが入っていて、それはマトリフに宛てたものだ。作者の名前に見覚えがあり、私はそれが誰だったか思い出そうとしながら、沸いた湯で淹れた紅茶を飲んだ。だがやはり思い出せなくて、インターネットに頼る。作者の名前を入れればすぐに結果は出た。マトリフの友人の祖父だ。高名な学者だと聞いた覚えがある。そういえば先日にその友人と会っていたから、その時に受け取ったのだろう。その本をキッチンに置いたままということは、本を読んだままここで何か食べていたのだろう。
     私は冷蔵庫を開ける。夜食にでも、と伝えて入れておいた野菜スープがなくなっている。きちんと食べたのならよかったと冷蔵庫を閉めた。だが食べながらの読書はいただけない。消化に悪いし、本が汚れる。
     私は本を持って寝室へと戻った。少し開いた遮光カーテンから一筋の光が差し込んで、床に四角を作っていた。本をサイドボードに置き、空のマグカップを回収する。すると鍵を見つけた。キーホルダーなどはついていない。大きさから見て家の鍵だろう。
     その鍵に手を伸ばそうとして、やめた。その鍵がどこの鍵で、なぜここにあるのかを考えそうになる。そのような詮索をマトリフは好まない。
     私は逃げるように寝室から出た。詮索を好まないわりに、マトリフはあらゆる痕跡を残す。私が見たらあれこれ考えるとわかっているはずなのに。
     ベランダへと続くガラス戸を開ける。今日はいい天気らしく、日差しが当たれば暑いほどだった。シーツを洗濯するなら今日だろうと思う。明日からは雨だと予報で言っていた。
     私はキッチンに戻ってコップに水を汲む。それを持ってベランダまで戻った。オレガノは少し枯れていた。水をやってから枯れた葉をむしる。鉢を日影へと移動させた。
    「飯食ったか?」
     その声に振り返ればマトリフが立っていた。欠伸をしながら腹を掻いている。
    「もう起きたのかね」
    「今日はジジイのとこ行く用事があんだよ」
     マトリフは言いながら洗面所へと向かった。私はガラス戸を閉めてエアコンをつける。すぐに空気が出る音がした。
     朝食を準備していると着替えを終えたマトリフがキッチンに来た。うろうろとしてから寝室へと戻っていく。すぐに戻ってきたと思ったら、その手には本と鍵が持たれていた。
    「ジジイの書庫の整理を頼まれてんだよ。途中でポップも拾ってから行く」
     マトリフがジジイと呼ぶのは彼の師であるバルゴートのことだ。そしてポップはマトリフの教え子である。
    「あまり寝てないのでは?」
    「向こうで昼寝するからいいんだよ」
     マトリフは焼いたパンにかぶりついている。もぐもぐと動く彼の頬を見ながら、頬袋がある齧歯類のことを思い出していた。
    「お前も来るか? 今日暇なんだろ?」
    「私が行ってもいいのかね」
     私は幼稚な嫉妬心を見破られたのかと焦った。マトリフの交友関係は広くはないが、その数少ない友人や師にすら私は嫉妬する。マトリフを取られてしまうと、時々本気で思う。
    「オレの昼寝を守りたいだろ?」
     マトリフは本を手に取る。私は本を持つマトリフの指を見ていた。
    「この本、ジジイも読みてえって言ってたから、これ渡しておけば暫くは静かだろ。そのうちに書庫の整理して、開いた時間で昼寝すりゃいい」
     マトリフは反対の手で鍵を持つと私に向けた。
    「これ書庫の鍵な。そんで車も運転してくれ。持ち帰る本が多いだろうから車で行きてえんだ」
     私は鍵を受け取った。マトリフは私の詮索すら気付いていたのだろう。そんな詮索をするくらいなら自分の目で見てみろ、と言いたいのだ。
     マトリフとの生活はまるで荒波の甲板に立っているようだ。大きな波で甲板は左右に大きく揺れる。それに翻弄されながらバランスをとり、それすら楽しいと思えてくる。
    「夕食は二人で」
    「おまえの独占欲は嫌いじゃねえよ。でもそろそろ慣れろよ」
    「……夜は一緒に風呂に入りたい」
    「いいぜ。じゃあ行く準備しろよな」
     マトリフは立ち上がると私に顔を寄せた。キスを期待して私は目を閉じる。するとマトリフの唇は私の首筋に触れ、歯が微かに肌に食い込んだ。
    「……夜が楽しみだな?」
     マトリフは声もなく笑う。また掻き乱された感情が、大きく揺れる。ならばこちらもと、マトリフの細い手首を掴んだ。
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    recommended works

    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
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    なりひさ

    DONEガンマト「時の砂」その後の蛇足。弟子に会いたくて未来へ来ちゃったバルゴート
    なにこれ修羅場じゃん ポップは焼きたてのパイを持ってルーラで降り立った。アバンの料理教室で作った自信作である。折角なのでマトリフと一緒に食べようと温かいうちに持ってきた。
    「師匠ぉ〜ガンガディアのおっさん〜お邪魔するぜ」
     呼びかけながら入り口をくぐる。しかしいつもなら返ってくる返事がなかった。人の気配はするのに返事が無いとは、来るタイミングが悪かったのだろうか。ポップはそろりと奥を覗く。
    「えっと、これどういう状況?」
     ポップは目の前の光景に頭にハテナをいくつも浮かべながら訊ねた。
     まずガンガディアがマトリフの肩を抱いている。優しく、というより、まるで取られまいとするようにきつく掴んでいた。ガンガディアは額に血管を浮かべてガチギレ五秒前といった雰囲気だ。そのガンガディアに肩を抱かれたマトリフは諦念の表情で遠くを見ている。そしてその二人と向かい合うように老人が座っていた。ポップが驚いたのはその姿だ。その老人はマトリフと同じ法衣を着ている。かなりやんちゃな髭を生やしており、片目は布で覆われていた。その老人がポップへと視線をやると立ち上がった。
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