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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ポッキーを食べるガンマト

    #ガンマト
    cyprinid

    ポッキーの日「ほれ、あーん」
     マトリフは手にした細長い棒状の菓子をガンガディアに向けた。その菓子は羽ペンの軸ほどの細さで、甘く味付けされている。サクサクとした食感で、子供向けの定番の菓子だ。
    「私にくれるのかね」
     ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じると、差し出された菓子の先端に口をつけた。ガンガディアなら一口で全てを食べられるほどだろうが、マトリフが菓子を持ったままだからか、少しずつ食べ進めていく。
     ガンガディアが半分ほど食べてから、マトリフは菓子から手を離した。そしてさっきまで持っていた菓子の端に口をつける。棒状の菓子はガンガディアとマトリフの口を繋ぐ線のようになっていた。
     ガンガディアは何も言わずにマトリフを見る。マトリフの意図を探ろうとしているようだ。ガンガディアが食べ進めるのを止めてしまったから、今度はマトリフが食べはじめる。そのためガンガディアの口とマトリフの口が少しずつ近づいていった。
     菓子の残りは少ない。それでもガンガディアは動じなかった。マトリフはゆっくりと菓子を食べ進めて、やがてガンガディアとマトリフの唇が重なる。マトリフはすっとガンガディアから顔を離した。ガンガディアに特に変わった様子はなく、穏やかに微笑んでいる。
    「もうちっと面白い反応しろよ」
     マトリフは菓子を飲み込んでつまらなさそうな顔をする。マトリフはガンガディアが可愛らしい反応をすると思ったのだ。
     ガンガディアはマトリフの持っていた箱から菓子を摘み上げると、マトリフに差し向けた。マトリフは向けられた菓子を咥える。しかしガンガディアが反対側の端を食べるなんてことはなく、マトリフはポリポリと菓子を食べていく。
    「君の突拍子もない行動に毎回驚いてはいられない。慣れたよ」
     ガンガディアはマトリフが菓子を食べ終えるのを見届けると、音を立ててマトリフの唇に口付けた。その仕草は熟れている。ガンガディアと恋人になって十数年が経つからキスも数え切れないほどしてきた。
    「今さらキスくらいで可愛らしい反応もないか」
     マトリフが肩をすくめると、ガンガディアは「そんなことはない」と言った。
    「私は今でも君との口付けに胸が高鳴っている」
     ガンガディアは胸の音を確かめるように手のひらを胸に当てた。マトリフはまさかと思いながらガンガディアの胸に直接耳を当てる。すると本当にいつもよりも早い鼓動が聞こえてきた。
    「おまえ、ほんとオレのこと好きだよな」
     ガンガディアに抱きつきながらマトリフは言う。ガンガディアはマトリフをそっと抱きしめた。
    「当然だ」
    「オレのほうが好きだけどな」
    「残念だが、それは違う。私のほうが君のことを好きだ」
    「あ、食わねえならそのお菓子ちょうだい」
     ポップに言われてマトリフは菓子を箱ごとポップに差し出す。ポップはずっと二人と同じ部屋にいて、一部始終を見聞きしていたが、二人のバカップルぶりに慣れてしまっていてツッコミすらしなかった。
    「あ、これ美味ぇ」
     ちょうど小腹がすいていたポップは、バカップルをよそにポリポリむしゃむしゃと菓子を食べた。



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