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    k_kirou

    @k_kirou
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    k_kirou

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    最終巻の書下ろしカットネタの没プロット

    兵不二薫の結婚式。
    招待され、今日ばかりは休戦ということにした兵部と不二子。
    薫と皆本からそれぞれ二人で来てと言われ、不審に思いながら待ち合わせて来たら親戚…にあたる席次に二人の席が用意されていた。新郎新婦、いずれかの友人でも職場関係者でもなく。


    結婚式の後。
    兵部を抱きしめる不二子。
    「弟を大事に思わない姉なんていないわ」
    ずっとこうしたかった。今日は休戦なので。

    兵部の犯した罪は許せない。それはバベルの蕾見不二子として。
    けれど姉として、この子が誰も頼らずにどんなに頑張ってきたか知っている。間違ったことをしたとしても、それは、褒めてあげたい。

    いつかと同じような状況で抱きしめられ、はっとする兵部。
    まったく、こんなのはいつぶりだか。

    あの時と違って不二子に離れるように促す。
    大人しく腕を解いて寂しげな不二子。

    サイコキノで肩を押す。
    一瞬虚をついて不二子に隙が出来た瞬間に兵部が不二子を抱く。
    「きょ、京介……!? ちょっと、苦しい……!」
    女性を抱くには些か不躾な、だけども家族じゃないか。
    「…………、」
    兵部が何も言わないので不二子も兵部の背に手を回す。

    「馬鹿ね、口紅ついちゃうでしょ」

    寂しがりで、ひとと触れ合うのが好きな姉だった。
    男所帯で物怖じせずに仲間として暮らした。
    けれどもやっぱり男と女の壁はあって、京介だけは少し近くにいた。姉弟だから。
    年頃になって二人の体格に差が出てもそれは変わらなかった。
    多分、彼女は寂しかったのだ。
    本当は抱きしめるよりも抱きしめられたいと求めるひとで、その相手はいなくなったから抱きしめるしか彼女は出来ない。

    あの日、特異点の奇跡の中で志賀と不二子を見て思った。
    だが自分にはその資格はない。彼女が自分を許さないので。

    止まったままの時間。更新されたあの日。白紙の先へ進んだ未来。

    「ねぇ京介、あたくし……」
    許してしまいそうになる不二子。
    彼女の頭を胸に押し付けて言葉を塞ぐ。その先は聞けない。
    不二子も察する。

    何も言わずに身を離して、明日からいつも通り。
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