人殺し____オレ、生まれて初めてアイクに会った時。あ、天使がいる。って思ったんだ。
ちょうど沈んでいく途中の西日がお前の背後から差し込んで、まるで日光に照らされたステンドグラスみたいにアイクの髪がきらきら光ってて。
よろしく。ってその右の手のひらが差し出された瞬間、オレは、この人に救われるんだっていう強い確信を持った。
でも実際、アイクの手を握ると、そこには確かにぬるい温度があった。
ほっとするような暖かさじゃなくて、ゆっくりと夢から覚まされるような少し冷たいぬるさ。
その温度を感じて初めて、オレは自分が覚えた感覚が白昼夢のそれだってことに気が付いたんだ。
そんな出会いから一年近く時間が過ぎて、ミスタとアイクはお互いにはっきり友人だと言い切れる関係になった。
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