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    gt_810s2

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    言い訳また子のために鬼兵隊は生まれた。
    高杉は鬼兵隊の道標だった。
    万斉は高杉という「人」を護っていた。
     なら武市はなんだろう、と考えた時、きっと彼は「高杉の望みを理解する」役割だったんじゃないかと思います。
    岡田は「鬼兵隊の下に集った多くの仲間(屍)」の象徴として、万斉を迎えに来ました。私の中で鬼兵隊主要キャラの役割はそれぞれ異なります。

     万斉と武市は「友」であり、また子は「象徴」だった。これが意味するところ、高杉がまた子を武市に託したのは「鬼兵隊の次の道標はまた子だ」ということだったんじゃないかな、とも。「鬼」であった高杉の「人」の部分は、武市と万斉だけが見据えていたように感じます。
     また子はよくも悪くも、高杉の「人」の部分を知らなくていい。本質的に感じていた部分も沢山あるけど、また子にとっての憧れ、キラキラした存在でいることで彼が彼でいられた部分もあるだろうし、その特殊な関係性を支えていたのが「友」である二人。
     ただ、高杉は「友」に最後背を向けましたし、武市も手を伸ばしきれませんでした。


     武市は理性的で恐らく全ての行動に理由付けが出来る人です。合理的で、判断力もある。また子の「どうしていいか解らなくなっちゃって」という言葉を最後に答えることなく、最後の決戦に姿を見せなかったのは、彼の迷いがそうさせたのではないでしょうか。
     ここで先述した「高杉の望みを理解する」という点に戻りますが、理解する、というのは必ずしも、実行に移すことを意味しません。武市は高杉の願いを理解し、そのために必要なことを考える人でした。鬼兵隊参謀としては鬼兵隊全体として、未来のことを考えながら、高杉が鬼兵隊総督として生きるに必要なことを知りながら策を立て、彼の無理を聞いてきたのだと思います。ただ、高杉が最後に直接武市に任せたのはまた子のことで、その願いは「鬼兵隊を終わらせるな(また子を護れ)」ともとれる内容でした。自分がいなくても、鬼兵隊が生まれた理由であるまた子を守ることが、鬼兵隊の仲間に、万斉という共に報いることになるのだと、高杉は考えていたように思えます。
     これを受けて武市の迷いが見えるのが、75巻です。
     高杉が船に乗り込んだとき、飛び出そうとするまた子を武市は抑えています。高杉が自分達に背を向けた理由を、自分達に生きていてほしい、もう自分の背を追わなくていいという「願い」を知っていたからなんじゃないでしょうか。高杉は「すまねえ」と言い残しながらも、二人に背を向けます。これはきっと「友」として「鬼兵隊」を続けさせるためにまずまた子の身柄を優先して出る行動です。
     けれどその後、また子を江戸に連れて行こうともしています。ずっとまた子の後ろから高杉を追いかけていた武市が、先に立って「あの人を追いかけよう」とまた子を導こうとしています。けれどまた子が「邪魔しちゃいけない気がする」と足を止めると、彼も足を止めました。
     また子の願いと、高杉の願い、そして武市自身の願い。合理的な彼は全てを尊重しようとして「体勢を整えて高杉を追いかける」ための算段を立てましたが、それは同時に誰かの願いを捨てる可能性を孕んだものになったでしょう。だから迷っていました。故に彼はまた子の言葉を無視できなかったのだと思います。
     武市が迷っていなかったのなら、彼の言う通り急げばきっとあの戦いに彼らは立てていました。また子を説得し、何を言っているんだ、私たちの鬼兵隊総督は彼じゃないか。私たちのいる場所は、彼のいる場所だと進めることが出来たと思います。そのため、あの時の武市の「高杉を追う姿勢」はポーズのように感じてしまいました。理屈で考えて一番そうすべき行動が高杉を追う、だけど、決定打はとらない、そんな印象でした。
     武市が「これは鬼兵隊(われわれ)の贖罪なのだから」と口にした後、また子が赤子を見つける場所に武市はいません。これはまた子が武市を導いた故に、主体的に高杉を追ったのはやはりまた子だからで、武市がまた子を引っ張った訳ではないのだと思います。また、彼が「贖罪」と表現したことからも後ろめたさを感じているように見えますし、迷いの結果行動にうつしきれず、彼の中で後悔が残ったのが最終訓後だったのだろうなと考え、武市に「案山子」と己を表させるまでに至りました。
     あとは彼の行動原理が贖罪のままなのは悲しいなと思ったので、また子を通して武市にも希望を見据えていて欲しいなあ、結果を期待していて欲しいなあ、と、こういう言葉選びをしましたが、正直、武市のことがもっと掘り下げられる回が欲しかった…………。高杉のために命を遣う、が主従に近いのか情に近いのか、どちらで捉えるかでこの話が腑に落ちるかどうか変わる気はしているのですが、私は武市のことも高杉の友でいて欲しいというか、そばにいたいからいる、なんて関係ではないけど鬼兵隊というつながりを愛した彼らであって欲しいのでこういう描き方になりました。
     75巻の武市の行動から迷いを拾ってはいますが、彼が常に感情的にならないことの表れでもあるとは思うので、また子の迷いを聞いてはじめて「これは最善手ではないかもしれない」と気付き、そこで「感情的なまた子、論理的な自分」の対比から後悔が生まれたのかなあ、とか、そういう話ですが、単に鬼兵隊総督という象徴を彼に望んだのもとめられなかったのも自分たち、とか、そういう捉え方も出来ます。
     彼が贖罪という言葉を使うまでに至った過程は恐らく単行本一巻分ぐらいになるんじゃないですか!? なるよね!?
     武市があまりにも合理的過ぎるとじゃあなんで赤子が鬼兵隊の救いになるんだろう、とか色んな疑問が生まれてきてしまうのでやっぱり私は高杉の友である武市をとりたいかなあ……人間くさくあってほしいなあ……いや、非道な人なんですけどね。銀時のこと殺そうとするし。でもギャグで収めるし。なんか、必要な行動と高杉が望んでることと、自分がしたいことのバランスが取れてないと有耶無耶にしたがる性質の人だから高杉に殺されるならまあいいかと思ってたのも納得いくのでやっぱり75巻って悩んでいたっていう描写だと…………人の意見がこんなに聞きたいと思ったのは久しぶりです。以上です。




     何言ってんだろうなと思われる前に私自身も何言ってるんだろうなと思ってるよということを残したかっただけです。鬼兵隊という存在に対する理解が及んでいないので、思い出したようにもう一度書くかもしれません。お題で出た「案山子」という言葉を一番使いそうなのは武市だよなあという安易な考えと深夜の勢いで書いたものです。長々とした言い訳まで読んでくださった方がいらっしゃったらありがとうございました。
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