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    すずとら

    @sztr0xxx
    twst/🍩と♥️推し(ラギ監・エー監)
    鋼/エドエン
    腐も夢もおいしい´༥`

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    すずとら

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    🍩と🌸♀の👻寮週末お泊まりの様子。全年齢

    #twstプラス
    twstPlus
    #ラギ監
    lagiAuditor

    週末、寒い夜はキミとフツフツと鍋の中身が煮立ち始める音と一緒に温まり始めたミルクのいい香りが鼻を擽ぐる。夜も更け始めたオンボロ寮のキッチンでミルク番をしながらラギー先輩が手馴れた様子で戸棚からカップを2つ下ろす姿を、お風呂上がりの温もりの残る身体でぼんやりと眺めていた。
    相棒のグリムはハーツラビュル寮に泊まりに行っていて、今頃きっとなんでもない日のパーティーの料理に舌鼓をうっているに違いない。前もって週末はオンボロ寮に泊まるとラギー先輩に言われてから、購買のクロワッサンと引き換えに週末グリムの事をよろしくとこっそりエースとデュースに頼み込んだのは秘密だ。理解あるマブに心の中でこれでもかと感謝しつつ、ラギー先輩との週末を楽しみにしていた。
    「ラギー先輩、何を作ってるんですか?」
    「ん?ホットミルクッスよ」
    鍋に注がれた牛乳が温まったのか、ラギー先輩が火を止めた。そして戸棚から貰い物の蜂蜜の入った瓶を取り出すと、ラギー先輩はそのまま鍋の上でゆっくりと傾ける。すると蜂蜜が黄金色に輝きながら鍋の中に流れ落ちていき、ラギー先輩が木べらを鍋の中で回しながらかき混ぜれば、あっという間に蜂蜜とミルクが混ざり合い黄金色から乳白色へと姿を変えた。
    「わぁ……いい匂い……」
    「シシシッ!でしょ?」
    思わず感嘆の声を漏らせば、ラギー先輩は得意気に笑ってみせる。そしておたまでカップにホットミルクを掬うと、それを私に差し出した。
    「はい、どーぞ」
    「ありがとうございます!」
    カップを受け取って、湯気の上がるホットミルクにフーッと息を吹きかければ、乳白色の水面が微かに揺れる。一口飲めば蜂蜜の甘さとミルクの温かさが口の中に広がって、身体の奥からじんわりと温まっていくのを感じた。
    「美味しい……」
    「それは良かったッス」
    私の隣に立って同じようにホットミルクを飲むラギー先輩の尻尾がご機嫌に揺れているのを見て思わず口元が緩む。そんな私を見てラギー先輩は目を細めた。
    「今日の放課後はモストロラウンジでバイトしてたんでしょ?お疲れさん」
    「ありがとうございます。ラギー先輩もおつかいご苦労様でした」
    「シシシッ、まぁレオナさんの使いっ走りなんて慣れっこッスからね〜」
    そう言って笑うラギー先輩につられて私もクスクスと笑う。そんな私を見ながらラギー先輩は口を開いた。
    「せっかくだし、ユウくんの用意してくれたドーナツでも食べながらゆっくりしましょ。ほら、行くッスよ」
    ラギー先輩は私の手からカップをひょいと取ると、そのままキッチンを出て談話室に向かって歩いていく。慌てて後を追いかける私にラギー先輩は振り返って目を細めた。
    「今日は1日付き合って貰うッスからね?」
    その言葉に胸が高鳴り頬が熱くなるのを感じて思わず俯く。ラギー先輩と過ごす時間がとても楽しくて、このままずっと一緒にいたいと思う気持ちと同時に胸に広がる甘い痛み。この感情の名前を私はもう知っている。
    「ユウくん?」
    立ち止まった私を不思議そうに見るラギー先輩に慌てて駆け寄る。そして何でもないですよ、と笑ってみせればラギー先輩は小さく首を傾げてからまた歩き出した。
    談話室に着くとラギー先輩はコトリとカップをテーブルに置いていつもの指定席のソファーに座る。私もその隣に腰掛けて、ラギー先輩の淹れてくれたホットミルクを一口飲んだ。蜂蜜の甘さとミルクの温かさが身体に染み渡っていく。
    「ラギー先輩、ありがとうございます」
    「どういたしまして」
    ラギー先輩はそう言って微笑むと私の頭を優しく撫でる。その手つきが心地良くて思わず目を細める私にラギー先輩はまた笑った。そしてそのまま私の頬に手を伸ばし、そっと触れる。柔らかな感触を楽しむように頬を指でなぞりながらラギー先輩は目を細めた。その眼差しに胸の奥底が甘く疼いて、思わず目を逸らす。そんな私にラギー先輩は小さく笑ってから手を離した。そのまま机の上に置かれたカップとドーナツに手を伸ばし、一口齧り付く。
    「んー!うまいッスね!」
    「はい!ラギー先輩と一緒に食べるから余計に美味しいです」
    そう言って私もドーナツに齧り付く。ふわりとした食感と口の中に広がるほんのりとした甘さに自然と頬が緩んだ。そんな私をラギー先輩は優しい眼差しで見つめていて、その視線がなんだかくすぐったい。誤魔化すようにホットミルクを口に含んで流し込めば、また蜂蜜の甘さが口いっぱいに広がった。
    そんな私にラギー先輩は小さく笑うと言った。
    「シシシッ、ユウくんもすっかりブッチ家の味に慣れたッスねぇ」
    「ラギー先輩のおかげです!」
    胸を張ってそう答えれば、ラギー先輩はまた笑う。そしてそのまま私の頭を撫でて言った。
    「可愛い恋人のために毎日せっせと作ってる甲斐があるッスね〜」
    その一言に、心臓がドキリと跳ね上がる。顔が熱くなっていくのを感じながらもなんとか平静を装って言葉を返した。
    「そ、そうですね……でも私ばっかり食べてたらグリムに悪いから……」
    そんな私を見ながらラギー先輩はニヤリと笑って言う。その笑顔はどこか意地悪で、嫌な予感しかしなかった。
    「大丈夫ッスよ!グリムくんの分はちゃんと残しておくんで」
    「そ、それなら安心ですね……」
    冷や汗をかきながらそう返せばラギー先輩はまた一口ドーナツを齧る。そしてそのまま私を見て言った。
    「でもユウくんはもっと食べた方がいいと思うんスよね〜」
    そう言って空いている私の手に手を添えると親指で優しく撫でる。その感触に思わず肩が跳ねれば、ラギー先輩は楽しそうに目を細めた。
    「こんなにちっこくて細っこい手して……こんなんじゃ、悪いハイエナにバクッ!と食べられちまうッスよ?」
    ラギー先輩は私の耳元で囁くようにそう言うと、そのまま私の手を取って口元に近付ける。そしてラギー先輩の柔らかな唇の感触を感じて思わず硬直した。そんな私に構う事なくラギー先輩は私の手に何度もキスを落とす。その度に心臓がドキリと跳ね上がり、身体中が熱くなるのを感じた。
    「ら、ラギー先輩……っ!」
    そんな私を見てラギー先輩は楽しげに笑う。そのままスルリと指を絡めるとそのままギュッと握った。
    「シシシッ!これで逃げられないッスね」
    悪戯っぽく笑うラギー先輩に何も言えずにいれば、不意に唇が重なる。突然の事に驚いて目を見開く私の視界いっぱいに大好きな人の笑顔があって、心臓が大きく高鳴った。
    「っ……ん……」
    触れるだけの優しいキスなのに頭がクラクラする。ゆっくりと離れていく唇に名残惜しさを感じながらもぼんやりとした頭で見つめれば、ラギー先輩は優しく微笑んで言った。
    「可愛い顔しちゃって……」
    そう言ってもう一度軽く口付けるとラギー先輩は絡めた指にキュッと力を込める。そしてそのまま私を引き寄せれば腕の中に閉じ込めるように抱き締めた。
    「ユウくんはオレのモンだから……他の奴には絶対渡さない……」
    そう言って抱きしめるラギー先輩の腕は力強くて、でもどこか不安げに震えていた。そんなラギー先輩の背中をぎゅっと抱きしめ返せばラギー先輩は小さく笑う気配がする。その温もりが心地よくて思わず目を閉じれば、ラギー先輩が私の髪に顔を埋めるようにして擦り寄ってきたのが分かった。まるで甘えるような仕草に胸が締め付けられるような愛おしさが込み上げてくる。
    「……好き……」
    無意識のうちに小さく呟いた言葉にラギー先輩の身体が微かに揺れた気がした。そしてゆっくりと身体を離したラギー先輩が私を見つめると、その瞳には隠しきれない熱が宿っていてドキリとする。そんな私にラギー先輩は困ったように眉を下げて笑った。
    「ユウくん、それ反則ッスよ」
    そう言ってまた私の髪を優しく撫でる。その手つきがあまりにも優しくて思わず擦り寄れば、ラギー先輩はクスリと笑った。
    「ほんと可愛いんだから……オレ以外の奴にそんな顔見せちゃダメッスからね」
    そう言って頬をむにりと軽く摘まみながら擽るように撫でられると、そんなラギー先輩の仕草に思わず口元が緩んでぽかぽかとした気持ちになっていく。ラギー先輩と一緒にいるといつもこうだ。胸の奥底からどんどん温かいものが溢れて、幸せな気持ちでいっぱいになる。
    「ふふっ、はぁーいっ」
    クスリと笑いながら返事をすれば、ラギー先輩も笑ってくれた。
    そんなやりとりをしながらゆっくりとした時間を過ごしていると、気が付けば時計の針は22時を超えていて、そろそろ寝る時間だという事に気づく。ラギー先輩もそれに気づいたのか、私の手を引いて立ち上がった。
    「さてと……明日も早いんで、もう寝るッスよ」
    「そうですね!」
    ラギー先輩に手を引かれて談話室を後にする。そのまま薄暗い廊下を月明かりを頼りに進んでいけば、あっという間に自室の前に辿り着いた。
    「それじゃあユウくん、また明日ね」
    そう言って隣の部屋へと戻っていこうとするラギー先輩の服の裾を思わず掴んで引き止める。そんな私の行動に驚いたように目を丸くするラギー先輩と目が合った。
    「どうしたんスか?」
    首を傾げるラギー先輩に私は意を決して口を開く。
    「あの……もう少しだけ一緒にいたいです……」
    そんな私の言葉にラギー先輩は一瞬目を丸くした後ニヤリと悪戯っぽく笑うと、そのまま私の手を引いて自室への扉を開いたのだった。

    ーーーーーー

    忙しくて中々2人きりの時間が取れないから、と無理くり捩じ込んだ週末のオンボロ寮への泊まりは恋人のユウくんとの甘い時間を満喫できて大満足だった。
    元々料理は得意だし、ユウくんには毎日オレの飯食って欲しいと思っていたが、まさかこうして恋人にまでなれるとは思っていなかったから人生何が起きるか分からないもんだ。
    それにしても寝る直前になってもう少し一緒に居たい、だなんて。ほんとこの子はその言葉の意味分かって言ってるんスかね?そう思いながらチラリと横目で見れば、ユウくんは嬉しそうにニコニコと笑っている。
    「……ユウくんってほんと、オレの事好きッスよね」
    思わずそう呟けば、ユウは一瞬キョトンとした後すぐに頬を赤く染めた。そして恥ずかしそうに俯くと小さな声で呟く。
    「だって……ラギー先輩のこと好きだから……」
    そんな可愛いことを言う恋人に思わず口元が緩むのを感じた。あぁもう!本当にこの子は!! 今すぐ抱きしめてキスして、なんならこのまま取って喰っちまいたいという衝動をグッと堪えて、さも余裕ですと言わんばかりに笑顔を作る。
    「シシシッ!嬉しいッスねぇ〜オレもユウくんの事、だーいすきッスよ!」
    そう言って頭をポンポンと叩けば、ユウくんは照れたように微笑んだ。その笑顔が可愛くて愛おしくて胸がいっぱいになる。
    「さ、身体が冷える前にさっさとベッドに入った入った!」
    「わっ!?」
    そう言って半ば無理やりユウくんをベッドの中に押し込むと、ユウくんは小さく抗議の声を上げた。はいはい、と適当に返事をして部屋の電気を消すと自分も布団に潜り込む。そのままユウくんの身体を抱きしめれば、ひんやりとしたシーツとユウくんの体温が心地よい。
    「ラギー先輩、あったかーい……」
    そう言ってスリッと胸元に擦り寄ってくるユウくんを抱きしめて、そのまま優しく背中を撫でる。
    「そりゃどーも。オレがあったかいんじゃなくて、ユウくんが冷えてるんスよ」
    そう言いながら背中をゆっくり撫でてやれば、暖を求めてすり…と無防備に擦り寄ってくるのだから心臓に悪い。大事に大事にここまで育ててきた愛しい恋人は、オレの事を信頼して甘えてくれるようになった。それが何よりも嬉しくて愛おしい。それと同時に、ここまで無防備にされると少し心配にもなる。
    「ねぇユウくん」
    「……はい?」
    名前を呼べば眠たげな声が返ってきた。その反応にクスリと笑いながら言葉を続ける。
    「オレ、男ッスよ?そんな無防備にしてると、何されるか分からないんスからね?」
    そう言って軽く額に口付ければ、ユウは一瞬キョトンとした後すぐにクスクスと笑い出した。そしてそのままギュッと抱きついてくる。
    「ふふっ……ラギー先輩だからいいんですよ」
    そんな可愛い事を言われて思わず天を仰いだ。この子は全く……本当に困った子ッスねぇ。
    「……オレだからいいって、どういう意味で言ってるか分かってるんスか?」
    「…?えっと、ラギー先輩は恋人だから……ラギー先輩のこと信用してるって事です」
    そう言ってふにゃりと微笑むユウくんに頭を抱える。あぁもう!この子は本当に……!
    「あのねぇ…オレだって男なんスよ?好きな子には触りたいし、キスしたいし、それ以上だってしたいと思ってるんスからね?」
    そう言いながらユウくんの頬に手を添えれば、ユウくんはきょとんとした後じわじわと頬を染めた。そして恥ずかしそうに目を伏せる。
    「そ、それって……あの……」
    ゴニョゴニョと言葉を詰まらせながら視線を彷徨わせるユウくんに思わず苦笑する。
    「まぁでもユウくんはまだお子ちゃまだからなぁ〜」
    そんな意地悪を言ってやればユウくんはむっとしたように頬を膨らませて反論してきた。
    「そ、そんなことないです!」
    「へぇ?じゃあ大人なユウくんは一体どんな事したいんスか〜?」
    ニヤニヤと笑いながら問いかけてみればユウくんは恥ずかしそうに俯く。そして消え入りそうな声で呟いた。
    「き、キス……したり……」
    「キスだけ?」
    「……え、えっと、ぎゅーってしたり……?」
    ウンウンと唸りながら絞り出した答えに思わず吹き出す。はぁ〜、ほんとこの子ってば。
    「まぁそれくらいならユウくんにはまだ早いッスかね〜?」
    そう言ってニヤリと笑って見せれば、ユウはくん不満そうに頬を膨らませた。そんなユウくんの頬を指でつつけばぷしゅりと空気が抜ける。それがおかしくてケラケラと笑えば、ユウくんはムッとしたようにオレの手を払い除けるとそのまま背を向けてしまった。そして小さく呟く。
    「……ラギー先輩の意地悪」
    拗ねたように言うその声が可愛くてまた笑い出しそうになるが、これ以上機嫌を損ねられても困るのでなんとか堪えて後ろから優しく抱きしめる。
    「ごめんッスよ、ユウくんが可愛いからつい意地悪したくなるんスよ」
    そう言いながら頭を撫でてやれば、ユウくんは少し間を開けてから小さく答えた。
    「……しょうがないから許してあげますっ」
    そう言ってこちらを向いて微笑むユウくん。あぁもう本当……この子には敵わないッスね。
    「シシシッ!ありがと」
    そう言って額に軽く口付ければユウくんはまた恥ずかしそうに笑う。そんな笑顔に愛おしさが募っていくのを感じた。
    「そろそろ寝ましょっか?」
    オレがそう言えば、ユウくんは小さく頷く。そしてそのまま目を閉じたかと思えばすぐに穏やかな寝息を立て始めたのだった。その寝顔を眺めながら優しく髪を梳いていく。すると気持ち良さそうに擦り寄ってくるものだから思わず口元が緩んだ。
    「まったく、幸せそうな顔しちゃって…もうちょっとだけ、勘弁しといてあげますか」
    そう呟いて彼女の頬にそっと口付けを落とす。そしてそのまま腕の中に抱き寄せると、じんわりと移り混ざる柔らかな温もりを噛み締めながらゆっくりと目を閉じたのだった。

    『週末の寒い夜はキミと』

    end.
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