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    【ランアグ】
    ポイピクへのアップロードテストを兼ねて。
    今朝ぷらいべったーにあげたのと全く同じものです。

    眠るアッ君なランアグ。
    この人たちもデキて間もないっぽい。

    #ランアグ
    lanag

    明けの星ごくごくたまにではあるが、眠るアグラヴェインが涙を流していることがある。

    ランスロットが最初にそれに気づいたのは、本当に偶然だった。
    深夜になんとなく目が覚めて、そのまま傍らに眠るアグラヴェインの顔をじっと見つめていた。
    その、息をしているのか不安になるほどに静かに眠る彼の目元に、すっと光の筋が流れ落ちるのが見えたのだ。

    涙だ、と思ったのはほとんど直感だった。
    その時は見間違いかとも思い、その次に見たときには起きているのかとしばらく様子を窺ったが、そのどちらも違っていた。
    常夜灯の微かな灯りの下、横臥しているアグラヴェインの漆黒の睫毛の下にゆっくりと涙の雫がもりあがり、やがて目頭から細い鼻梁に向けて滑り落ちてゆく。
    ほんの一瞬それは光を含んで、すぐに闇へと消えていった。
    注意深く見守っていなければ、まず気づくことは無かったろう。
    その様は、まるで彼の精神の欠片があふれ零れてゆくようで、ランスロットの胸をひどくざわつかせた。

    それでも、見ていた自身でさえ夢だったのではないかと思いかけていた翌朝。
    寝起きの彼の目元に僅かに涙の跡があるのを見つけてしまった。

    頭痛でもするのか、まだぼんやりとしていたそのアグラヴェインの目元をうかつにもランスロットは拭ってしまったのだ。
    自身が寝ている間に時折涙を流しているらしいことを彼自身も自覚していたのだろう。
    知られた、と察したアグラヴェインのこわばった表情がランスロットの胸に突き刺さった。

    ランスロットには、いつものように彼を引き寄せ抱きしめることができなかった。
    自身には彼に触れる資格すらないように思えて、ただ唇を噛む。

    「君の、……」
    そう、彼の、何を、と言えばいいのだろう。
    過去?心?そんな通り一遍の言葉では言い表せない、そう、アグラヴェインの。
    自分などにはまだ触れようのない彼そのものを、土足で踏みにじるような真似だけはしたくなかったのに。

    「…すまなかった」
    そう項垂れたランスロットに幾らか毒気を抜かれたように苦笑したアグラヴェインが、軽くランスロットの肩を小突いてベッドを降りて行った。
    呆然とその背を見送ったランスロットをアグラヴェインが振り返る。

    「何をしている。
     コーヒーを淹れるのは貴様が無難にこなせる数少ない家事だろうが。さっさと湯を沸かせ」
    そう小言をくらったランスロットがようやく顔をほころばせて立ち上がった。
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