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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-06-05/今日のデイリー空閑汐♂はササハラとヴィンから見た空閑汐♂である。
    この時点で空閑汐♂お互い恋愛感情については無自覚。
    距離感バク警察ササハラくんは頑張ってって感じ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:05「アマネ! 今日部活休みになったから、浩介くんとヴィンくんが宇宙港行かないかって」
     廊下に立つ篠原浩介は呼びに行った相手が居る教室から聞こえてきたその言葉を耳にして、少しの違和感に首を傾げた。隣に立つヴィンツェンツ・S・フェルマーはそんな篠原の仕草と、聴こえて来た言葉にどこか楽しそうな笑い声を小さく漏らす。
    「ねぇ、コースケ。ヒロミがアマネの事呼び捨てにしてるよ」
    「え? あぁ、違和感そこか。何かアイツら無駄に距離近いよな……」
     汐見と空閑の二人とは所属するコースが異なる篠原とフェルマーは、篠原が彼らと同じ部活であると言う所からよく顔を合わせていた。フェルマー曰く「コースは違うけど一年で浮いてるもの同士仲良くなる余地めちゃくちゃあるよね」と言う関係性で。
     入学から数ヶ月、入学より古い時代からの腐れ縁とも言えるだろう篠原とフェルマーはクラス内で浮いていても気にする事なく部活以外では連んでいて、汐見と空閑もクラス内で浮いている事すらどうでもいいと二人の世界を作り上げている。
     人当たりの良い空閑と人付き合いが絶望的な程不器用な汐見が彼らと行動を共にするようになったのは、部活内で空閑の指導を経験者である篠原と汐見で担当する事になった事が切っ掛けで。そこにフェルマーが顔を出し、何故か汐見に懐いたのだ。そして同じように、汐見もまたフェルマーに懐いているような素振りを見せていた。
    「ていうか、今日は一段と距離近いよねあの二人」
     廊下から盗み見るように教室を覗き込んだフェルマーは、楽しげにそんな事を口にする。ドイツと日本のハーフだという彼は、ドイツの血が強く出ているのか天然物の癖が付いたブロンドを揺らし整った相貌に埋め込まれた美しい空を思わせるトルマリンのような瞳を輝かせていた。フェルマーの言葉を確かめるように教室を覗き込んだ篠原は「そのうちそのままキスでもすんじゃねぇか?」と溢す。その距離は友人ではないだろうと。
    「浩介にヴィンも、何やってんだよ」
    「覗きかな?」
     教室を覗き込んでいた二人へ、呆れたように汐見が声を投げかける。呆れ顔の汐見へ、フェルマーは楽しげな声色のままで言葉を返していた。汐見の後ろには今日もにこやかに人好きのする笑みを浮かべる空閑が立っている。
    「宇宙港、行くんだろ。飯屋入る前に展望デッキ行きたいんだ」
    「いいね! っていうか、アマネって本当空飛ぶもの好きだよね」
    「そりゃ、パイロットコース選ぶ位だからなぁ」
     汐見の言葉に大きく頷いたフェルマーは、汐見と並びながら廊下を進んでいく。篠原と空閑も保護者よろしくその後ろに付き従って。四人で廊下を歩きながら、フェルマーは思い出したかのように言葉を紡いだ。
    「そういえば。ヒロミさ、アマネの事呼び捨てにし始めたけど、ヤったの?」
     明日の天気を訪ねる位自然な調子で紡がれたフェルマーの言葉に吹き出したのは、彼の隣に立つ汐見で。その後ろに立ったままの空閑は顔色ひとつ変える事なくにこやかな笑みを浮かべて口を開こうとする。
    「――何も、言うな」
     空閑の唇が薄く開いたその刹那、激しい音を立てて汐見の手のひらが空閑の顔へと貼り付けられる。地を這うような低い声でそれだけを口にした汐見は、フェルマーの手首を握り「行くぞ」と彼を引きずるように足早に進んでいく。
     先を進む汐見の耳が真っ赤に染まっている事を、彼らに置いてかれた空閑と篠原だけは気付いていた。
    「あー、お前さ、ヤったんだな?」
     状況証拠がすげぇんだけど。と重ねながら呆れの色を孕んだ声を零した篠原に、空閑は汐見に叩かれた顔面を撫でながら「あ、でも抜き合っただけだよ」と注釈を入れる。
    「そもそもさぁ、性欲が爆発しそうな男子高校生を同じ部屋で暮らさせて、何も起こらない筈なくない?」
     重ねられた空閑の言葉に、何も起こらない筈がないのはそれが好き同士だった時位だろうと内心で嘆息した篠原は、先を進む二人を追いながら空閑へと忠告じみた言葉を紡いだ。
    「お前らがデキようがデキまいが好きにしてくれとは思うけどな、犯罪だけは起こさないでくれよ。合意、大事、絶対」
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    PROGRESS魁のパート。ビール飲んでる。
    流心〜ドイツ編〜魁1
     十一月のドイツは想像以上に寒く、訝しがりながら持ってきたダウンが大活躍だった。見るもの全てが痛いほど新鮮に映る中、隣で穏やかに微笑む恋人が旅の緊張を解してくれる。距離も時差も超えて、こうして二人並んで歩くだけでも、思い切ってここまで来て良かったと思うには十分だった。
     ターミナル駅からほど近いその店は、入口の様子からは想像出来ないほどに中は広く、何人もの客が酒とおしゃべりに興じていた。柱や梁は艶のあるダークブラウンで、木製のテーブルや椅子が落ち着いた雰囲気を醸し出している。ぐるりと店内を見渡したときに目を引くのは、なんと言っても大きなビール樽だろう。その樽から直接ビールが注がれたグラスをびっしりと乗せて、店員がお盆を手に店内を動き回っている。その様子に目を奪われていると、店員の一人から“ハロー”と声をかけられた。こちらもひとまず“ハロー”と返すと、何か質問を投げかけられたようだったが、生憎俺は返す言葉を持ち合わせていない。助けを求める間もなく楓吾が最初の注文を済ませ、席に着くなりビールが二つ運ばれてくると、ドイツに来て初めての食事が始まろうとしていた。ふと向かいに目をやれば、赤銅色に染まるグラスの向こうで楓吾が再び店員と何やら話している。ガヤガヤと騒がしい店内で異国の言葉を話す恋人は、まるで別人のようだ。ひょっとして、話す言語によって人格も多少は変わるのだろうか。俺の知らない楓吾の一面があるのだろうか……そんなことを考えながら二人のやり取りをぼんやり眺めていると、楓吾がこちらに向き直って言った。
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