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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-06-24/空閑汐♂デイリー1本目。乗り物だったらだいたい何でも好きな空閑汐♂がツーリングをはじめる話。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:24 片道で約一八〇〇キロ、今回は往復で三六〇〇キロ。それが今回の旅程で。飛行訓練を他のクラスメイト達よりも早く修了する事が出来た空閑と汐見は、日本校に帰る事なく数ヶ月の滞在に必要だった荷物だけを送り返し寮を出た。
     二週間かけてルート66の一部を往復しようという計画を立て、必要最低限の荷物だけを手に飛び込んだのは訓練期間中にレンタル契約をしておいたバイクショップ。日本ではまだ乗ることの出来ない大型バイクに跨った汐見は楽しげに頬を緩めていた。
    「相変わらず、乗り物なら何でも好きだよね」
    「それはお前だってそうだろ。アメリカでハーレーに乗れるってのに、真顔でいられるわけないだろ」
     揶揄うような空閑の言葉に、汐見は頬を緩めたままで言葉を返す。トランシーバーをセットしたヘルメットを被り、通信テストとばかりに二人は会話を交わしていく。
    「乗り心地はどう?」
    「最高」
     声だけでも浮かれているのが分かる汐見の言葉に、空閑は小さく笑みを漏らす。飛行訓練の日程調査票を渡された途端にアメリカでツーリングをすると言い出したのも、そのルートを決めたのも汐見で。そして汐見は空閑が何も言わずとも、空閑と走る事を前提に彼へとその計画を話していたのだ。
     調査票を渡された後、部活へと向かう廊下を歩いている時に隣に連れ立って歩く汐見から突然「キャデラックランチには行きたいよな」と言われた時は正直何事かと思った。そもそもキャデラックランチとは……? という所からはじまったのも、空閑にとっては楽しい記憶だ。
     訪れる人々が大地に刺さる車にスプレーで落書きをするという、不思議な風習があるらしいその場所を目指し彼らはアクセルを回しエンジンを鳴らす。
     市街地を走っていれば、その道はいつしか緑が多くなり――ついには緑がまばらな砂漠へと繋がっていく。建物が極端に少ない砂の大地に敷かれた一本のコンクリートの上を走りながら、空閑は汐見の背中を追う。
    「とりあえず、バグダッドカフェまで休憩なしで行くからな」
     トランシーバーからは、汐見の声が届く。その声に「了解コピー・ザット」と返した空閑は汐見の背中を視界に入れ、その荒涼とした大地を走っていく。彼と二人であれば、このままこの道のどこまでも行けてしまいそうな気分になりながら。
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