Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    emotokei

    @emotokei

    @emotokei

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 84

    emotokei

    ☆quiet follow

    没…ぶったぎり。
    いつか再利用、するかも。A18バレ有。

    #アロルク
    allRounder

    アロルクワンライの没 ワンライはあした『父さんに、会ってきた』

     真夜中に突然、ナデシコから渡された端末が震えた。
     画面を見れば、連絡を寄越したのは唯一無二の相棒だ。
     何か考えるより先に応答すれば、開口一番それだけ告げて押し黙る。外出先なのか画面はひどく暗く、顔を少し伏せて画面の外に向けているからその表情までは伺えない。だが、僅かに掠れたような頼りないその声音は、あまり良い状態ではないことを如実に伝えていた。
     あの野郎に会えば、こうなることは明白だ。
    「……で?」
    『今、ミカグラにいて……多分僕は、君に今すぐ伝えなきゃいけないことがある。その……今は、僕も少し混乱してて、まとまらないし長くなると思うんだけど、』
     返す無言は、促しだ。
     それを理解しているんだろう、ルークが吐いた深い溜息は、僅かな安堵を滲ませていた。
     堰を切ったように話し出した内容は、どこか取り止めがなく覚束ない。自分の中で生まれた言葉の全てを口にしているような危うさがあった。
     普段はすぐに自分の内へ内へと答えを探す男が、つらつらと纏まり切らない考えや感じた全てを吐き出している。そうしたやり場のなさを向ける対象が、自分だということによくわからない高揚を覚えた。
     ざまあみろ、と言いたいような。
     それを言いたい相手はただ一人だ。画面の向こうにいる男と年齢は変わらないくせに保護者のように振舞って、いつの間にか自分より早く、コイツの中に確かな居場所を手に入れた存在。
     いつだったかルークがはにかみながら口にした言葉を、今でも苦々しい気持ちと合わせて思い出せる。
     ――全てを無くした……いや、元々、僕の手は何も持っていなかったし、誰ともつながっていなかったんだ……そう思って、諦めかけた時に、君たちが迎えに来てくれたんだ。はじめにチェズレイ、そしてモクマさん、それから……。
     最初に縋った相手が、よりによってクソ詐欺師だという事実に、こみ上げた怒りでその後に続いた言葉はあまりよく覚えていない。
     だが、今、情動を大きく崩された男が、普段だったら時差を考えて決してかけてこないような時間に求めたのは、他の誰でもない自分だった。今まで感じたことのない種類の欲が我がことながら随分あさましく思えて、口元が歪んだ。
     昏い優越感に気付きもせず、ただ、とつとつとルークが言葉を綴るその内容はといえば、本当に取り留めないことばかりだった。
     それは、偽りに満ちて、けれど確かに幸せだった、ルーク・ウィリアムズの記憶。
     ――本当は君が得るはずだった。僕が奪った。
     何かの呪文みたいに幾度も繰り返される文言に眉をひそめながらも、吐き出されていく言葉の塊をひとつひとつ拾い集める。
    「父さんは……裁かれるべきだ。そう思っている」
     だけど。
    「父さんのことを、諦めきれない」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏💴💴😭😭👏👏👏👏👏👏🙏🙏😭🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏👏😭😭👏👏🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works